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コロナ禍の黄色いバスの運転手・オンラインインタビュー<歴史と車体>from USA
NY州在住・スクールバスドライバー・ボリスさんのオンラインインタビュー記事の最終回です。今回はスクールバスの歴史、車体の色の意味などに迫ります!
――日本では、学校に行くとなると徒歩か自転車、もしくは電車や市バスなどに乗っていくというスタイルが一般的です。一方でアメリカはスクールバスが主流ですね。
ボリスさん:アメリカ全土では、毎日48万台のスクールバスが、2,600万人を超える子供を学校へ運んでいると言われています。
――それはもの凄い数ですね。想像するのすら難しい。
ボリスさん:スクールバスは、アメリカで最も大きな交通機関なんです。安全にそして確実に……。歴史も長く、スクールバスのシステムが生まれたのは1886年です。
――日本の明治時代ですか。ええと(ネット検索)……、1886年から約20年前に大政奉還、3年後に大日本帝国憲法が発布されている頃か。日本が近代化を推し進めていた頃、アメリカでは多くの子供を学校へ通わせるためのシステムが誕生したというわけですね。
ボリスさん:アメリカは先を行っているようでも、当時は馬車です。今のような車ではないですよ。
――そっか、そうですね。いくら近代化が進んでいたアメリカとはいえ、その頃はまだ馬車か。馬が運ぶとなると、乗れる人数も限られていそうですね。
1924年撮影のスクールバス。馬車だ。
ボリスさん:僕は今大型バスを運転しているので、毎日約100人の子供を運んでいます。これはつまり約100台分の自家用車通学に匹敵します。僕のバス会社は約100台の大型バスを運営しています。もしバスの代わりに両親が子供を自分の車で送迎するとしたら……これだけでも凄い数ですよね。
――子供の学ぶ権利を守るどころか、家族、主には両親の送迎負担もスクールバスのシステムにより軽減しているのですね。
ボリスさん:はい。インフラと同じ、生活の一部です。
――SDGsが重要視される中、個々の車で送迎しなくていいのはエコでもありますね。
ボリスさん:そうですね。
――さて、話題は変りますが、バスの車体についてご紹介いただけますでしょうか?
ボリスさん:先学期はコルベットバンをベースにした、ブルーバードのショートバスに乗っていました。正式な名称はマイクロ・バードG5スクールバス(Micro Bird G5 School Bus)です。通常より小型のバスになります。
小型のBue Bird Micro Bird G5 School Bus。36人乗りだ。
ボリスさん:今期からは、ブルーバード・オール・アメリカン・FE・ディーゼル(Blue Bird All American FE Diesel)に乗っています。こちらが通常サイズです。72人乗りで全長12メートルです。その他にSUVもあります。これは少人数を運ぶ時や、大型バスが入れない場所(山奥など)に住む子供たちの送迎用に使われます。あと従業員用に乗用車もありますよ。事前にバスのルート確認をする際なんかに使います。
大型の、Blue Bird All American FE Diesel。側面に黒のラインが入っているバージョン。
――何故、スクールバスは黄色いのですか?
ボリスさん:それはどこかの機関が最も見えやすい色を検証したところ、黄色が一番目立つという結論だったからだそうです。1950年代か60年代には、全米で黄色の車体がスタンダードになっていたようです。
――確かに黄色は目立ちますね。そうすると、あの車体側面にある黒いラインはなんですか?
ボリスさん:あれは、車内での床の高さ、座席の高さ、窓の高さのところでマークされています。ちなみに黒色にペイントしていない車体もありますよ。うちのバスはラインはありますが、黒のペイントはなしです。バスで事故か何かあり、消防隊がバスを切断する必要が出てきた時など目安になるようにラインで印がしてあるんです。
バスの車内。床、座席、窓の位置に合わせて、外側にラインでマークしていある。
――そんな意味があったのですか!?
ボリスさん:はい。細部まで意味があるんです。それとスクールバスの車体とフロントは、戦車並みに強化されているんですよ。とっても貴重な貨物を運んでますからね!
――子供たちは皆で守るべき宝ということですね。本当にその通りです!子供にも、家族にも、そして社会にも優しいスクールバス。アメリカは新学期が始まったばかりですが、これからも安全運転でグッドラックです!
ボリスさん:はい!ありがとうございます!
愛車(スクールバス)とボリスさん(8月に撮影)
このシリーズは今回が最終回です。1カ月以上に渡るインタビューにお付き合いいただき、読者の皆様、ボリスさん、どうもありがとうございました! 感想・ご意見等、気軽にお寄せいただけたら励みになります!