森博嗣、スカイ・クロラシリーズ考察(4)僕とは誰か-1
スカイ・クロラシリーズは短編集を除く全ての物語が、“僕”という一人称で書かれている。この「“僕”とは誰か」を考えることが、このシリーズを読み進む上での醍醐味とひとつとなってくる。
そしてその“僕”という人物はいったい何者だ?という疑問に発展していく。
本や映画がリリースされた当初、ネット上にはいろいろな説が上がっていた。Yahoo知恵袋なんかにも、質問が寄せられていたものである。
巷に溢れている説をざっとまとめてみると、このようになる。
『ナ・バ・テア』僕=クサナギ or 特に言及なし
『ダウン・ツ・ヘブン』僕=クサナギ or 特に言及なし
『フラッタ・リンツ・ライフ』僕=クリタ o クサナギ
『クレィドゥ・ザ・スカイ』僕=クリタ or クサナギ or カンナミ
『スカイ・クロラ』僕=下記のように多数の意見
a)(整形した)クリタ
b) クサナギのクローン
c) 整形したクサナギ(指揮官のクサナギは偽物)
d)『ダウン・ツ・ヘブン』のカンナミ
e) ティーチャとクサナギの子供
また、全体を通して下記のようにとらえている考察もよく見かけた。
・クサナギ=カンナミ
・クリタ=クサナギ
・クリタ=カンナミ
シリーズの時間経過の途中で、整形する、クローンが生まれる、性転換している、といったことが起きているため、上記のイコールで結ばれた人物の中で入れ替えが起きているという説も良く目にした。
こうしたさまざまな考察を踏まえた上で、「“僕”とは誰か」を考えてみる。
長くなるので、いったん切ります。