欧州放浪記_15日目

今日は、パリからマンチェスターまでの空路での移動。そして、マンチェスターからリヴァプールまでの電車移動を挟んで、目的地のリヴァプールへ到着する。体調に若干の不安を持ちながらもなんとか無事にホテルまでたどり着くことができた。

パリの宿を離れる日。約1週間お世話になった宿。最後は皆とあいさつをして、この宿をさった。銀行のおじさんや、コンサルの兄ちゃん、シェフ、早稲田の学生など今週も体調が悪いながらいろんな人と知り合いになれ、大いに刺激を受けた。最終日、僕を見送ってくれたのは宿の大家。彼はパリにきて、アーティスト活動をしている。一方で大家としての仕事とアーティスト活動との両立が難しく、また宿がパリにいながらほぼ日本と同じ環境のため、なかなか殻に閉じこもってしまっているようにも見えた。彼が発しているオーラには、陽のものはないのだけど、それは僕にも共感できるオーラでもあった。僕が体調不良から決心してユニクロに行った日。彼もまた路上に出てアーティスト活動を再開することを決めていた。おせっかいな一言を言ってしまったと、気になっていたが、おせっかいなりに誰かの行動の背中を押せていたなら、それはそれでよいだろう。がんばれ。僕も

この日は、夜にリヴァプールについて、ビートルズの聖地きゃばーんクラブに行った。ビートルズのコピーバンドが聖地でビートルズの曲を歌っている。そして、それに世界中から集まったファンが盛り上がっている。この地のグルーブは本当に美しく、本当に音楽はいいなぁと感じた。
また、リヴァプールという田舎街から始まったビートルズが世界中に伝播して、リヴァプールに帰ってくる、その時には一つの人類の文化や歴史として昇華され、この地に世界中から人がやってくる。この一連の物語の美しさと数奇さをきゃばーんクラブで感じることができた。ビートルズが生み出した物語性にこそ、ビートルズが愛されてる所以があるとも思った。その物語は翌日に博物館にいけばよく分かるが、青春と成り上がりと別れと分裂、失望と愛と死別、この世のすべてが詰まっているといってよい。7年の大変濃い物語であった。これに共感できない人はいないだろう。僕らは皆、愛し合って、傷ついて、後悔して、笑いあって、そんな日々を過ごしている。そして、それと同じビートルズは音楽でそのすべてを表現した。そこに世界中で共感が生まれるのは必然である。ビートルズの大衆性には美しさがある。それがビートルズがすきな大いなる理由である。改めてリヴァプールに行って感じることができた。


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