森を見ずして木ばかり見る
某所に「森を見ずして木ばかり見る」と有ったので、そんな馬鹿な!森を良く見なきゃどこから入って良いか分からないし、入らなければ木を見る事だって出来ないんだよ! 木を見ている人は既に森は見ているの!
と言うノリで書き始めてみた(笑)
よく言われる事として、
・ルーペを持ってへばりついている。
・ピクセル等倍で見ている。
等がある。 そう言う人にとっては
・作品を適正な鑑賞距離で見た時に影響がない程度の事ならば問題ない。
と言う事らしい。
等倍鑑賞は愚かだ!ルーペ使ってライトボックスで見てばかり居ないで撮りに行け!
そう思われている方は、時間の無駄になりますのでこの先は読まなくて結構です。
と言う事で、上記について私が考えている事を書いてみたいと思う。
・ルーペで何を見ているか?
先ずルーペについて。 色々な種類があるんですよね。
大きく分けて2種類。 透過原稿用と反射原稿用。 特にこの2種類は専用の物が有るわけではなく、通常はルーペの下側に付けるアダプターを付け替えて使用する。 光を取り込む為に反射原稿の時は透明素材を使用し、透過原稿の時は不透明な素材を使用する。 反射原稿用の透明な素材の物を透過原稿に使用する事は出来るが、その逆は事実上不可能となる。(見えない)
さて、何を見ているかなのだが、これには個人差が有ると思うが、私は主にフォーカスのチェックである。 特に8x10のような大判については、基本的に手ブレというかカメラブレは無いに等しい。 いや、雑に撮ればカメラブレも出るだろうが、そんな物は大中判等の撮影においては論外だろう。
撮影時に何処にフォーカスを合わせるかこだわった場合には、チェックも行う。 例えばHFDにフォーカスを合わせた場合など。
フォーカス以外にも見たい物を見ればよいと思う。 例えば人が写っているのであれば、その人の表情とか。
・ピクセル等倍で見ている。
この記事を書こうと思ったついでに8x10原板を久々に見てみた。デジカメ画像と比較する為にスキャン画像も探して見つけた。 スキャン画像と言っても1200DPIで25.4cm x 20.3cmと言う領域をスキャンすると 12000x9600になる。 およそ115MPである。 まぁ、これでは現実的ではないので600DPI、6000x4800の28.8MPにリサイズをしてみる。 アスペクト比の違いはあるが6000x4000、24MPのNEX-7とほぼ同じ解像度と思って良いだろう。
この画像をPhotoshopを使って23”のモニターで画面サイズに合わせて表示させると18.8%の表示となる。 右側の原板と大きさを比べてみて欲しい。
とにかく等倍鑑賞は悪のような風潮が有るが、まぁ、それも良いだろう。
でも私は等倍で鑑賞した事は今まで一度もない!
それは何故か? 100%表示で画像を見る事は有る。 と言うかフォーカスチェックの時は常に100%で見ている。 でもそれはチェックが目的であって、鑑賞する為ではない。 Lightroomを使っている人は分かると思うが、全体表示させた状態で画面上の任意の位置をクリックするとその周辺が1:1表示される。 もう一度クリックすると全体表示に戻る。
等倍表示が悪ならば、Lightroomと言う写真を管理し、画像を現像したり、用途別に書き出しを行うソフトに、何故このような機能が付いているのだろうか?
さて、その等倍表示であるが5xのルーペを使って8x10の原板を見るとこのような範囲が見える。
6000x4800、28.8MPの画像を100%表示した場合と比べてみて欲しい。
それでも100%で見る必要が無いと思われる方は、それでも良いでしょう。 見る見ないは個人の自由ですから。
次に35mmフィルムを5xルーペで見た時の写真。
ここで見えている範囲って、23”モニターに画面サイズに合わせて表示させた時と同じぐらいの範囲ですよね。 と言う事はもう少し拡大してフォーカスの確認がしたいと思った時は5x以上の拡大率のルーペが要りますね。 (そして市販もされている)
最後に「森を見ずして木ばかり見る」との書き込みを見て、この記事を書き始めたのだが、ちょっと調べてみたら、ことわざには「木を見て森を見ず」と言うのは有りますね。
いやそれはごもっともでございます。(笑)
2012/04/23 SeeSaa Blogに投稿
2016/02/17 SeeSaa Blogにて改定
2023/01/20 Noteに引っ越し