見出し画像

【漫画】偽孔明の一人相撲『食の軍師』(1巻)

こんにちは、ごみくずです。
このレビューは有料表示になっていますが、記事は全て無料で読めます。
無為なコメントを避ける為にコメントのみ有料としているので、安心して読んでいただければ幸甚です。

最近『パリピ孔明』のアニメが人気急上昇中ですが、「そういえばこれも孔明だな?」とおもい紹介する事にしました。

自分を孔明だと人知れず思い込んでいる外食おじさんのお話です。

それでは見ていきましょう。

第十三回目は『食の軍師』(1巻)から



【個人的な評価】
※5段階評価で普通が3。数字が少ない程低評価。
なお、エログロ評価は低い方が安心安全です。
評価★4
エロ★1
グロ★1

タイトルは『食』と諸葛亮の所属した国名『蜀』を掛けていると思われます。
そういった乗りで作中もダジャレが多いです。いいから早く食べて欲しいです。

作者に『泉昌之』とありますが、作話と作画で1つのコンビ名のようです。
藤子不二雄さんやゆでたまごさんを想像すればよさそうです。

『食の軍師』(久住昌之/和泉晴紀/日本文芸社)第1巻より引用

『泉昌之』名義の作品も、作画の方の別作品も今のところ読んだことが無いのですが、久住さんと言えば『孤独のグルメ』の原作者で、私もドラマであれば2話程観た事はあります。

その為、考察不足もあるかと思いますがご容赦願います。
逆に言えば、殆ど先入観が無い状態で読みました。
そのうえで、結構面白かったです。

なお、以前記事を書いた『パリピ孔明』については、こちらをご参照ください。

あらすじ

最初、主人公の男性の名前が出てきません。
出てきませんが、『本郷』という名です。
恐らくサラリーマンで、営業職かと思われます。何を販売しているかは分かりません。年のころはアラフォーくらいでしょうか。

『食の軍師』(久住昌之/和泉晴紀/日本文芸社)第1巻より引用

本日は行きつけのおでん屋台で一杯…と脚も軽やかに向かうと、パーカーの男が、本郷も危機感を感じる程粋なしぐさで飲み始めます。

『食の軍師』(久住昌之/和泉晴紀/日本文芸社)第1巻より引用
『食の軍師』(久住昌之/和泉晴紀/日本文芸社)第1巻より引用



勝ち負けとかあんの?


と正直思いますが、どうやら本郷に言わせるとこういう事らしいです。

『食の軍師』(久住昌之/和泉晴紀/日本文芸社)第1巻より引用

なるほど。

「行きずりでしかない周りの利用客の顔色とか気にするとかどうかしている」と思うのですが、周囲の利用客が何をオーダーしているのか?や、あの利用客が食べているおいしそうな料理は何なのか?というのは気になるので、こういう「幼稚園児の独りごっこ遊び」的な内面描写は面白いな、とも思います。

こうして、毎回様々なお店と料理にこのスタイルで挑んでいくのがこの作品の魅力かと思います。

誰にも迷惑かけてない「独り妄想三国志ごっこ」

もつ焼きの回でも、あのパーカーの男と出会いますが、彼の職業は何なのでしょうか?スーツも来ていないので自営業でしょうか?
本郷と同じテリトリーでふらふらとごはんを食べており、出会う店全てで常連であり、店舗ごとの詳細な事情にも詳しい。
そして、オーダーの仕方は、本郷も認める自分以上の通。

『食の軍師』(久住昌之/和泉晴紀/日本文芸社)第1巻より引用
『食の軍師』(久住昌之/和泉晴紀/日本文芸社)第1巻より引用

食べたいもの食べなよ。。

ただ彼は何故か自分の中で孔明ごっこをするんですよね。
演義系の三国志世界なので、時代的には吉川英治や横山光輝の時代の方かもしれません。
正史では蜀の皇帝と家臣は自分たちを「漢」だと言ってますからね。

ただこう言った、通常外食する際にあまり考えないような発想が話を繋いで盛る要素になっていて、個性があります。

勝手に思い込み勝手に負ける

そんなパーカー男と何度も何度もバッティングしていくうちに、彼が『力石』という名前な事が分かり、偶然相席した事からたまに一緒に飯を食う仲になります。

本郷は力石が自分に挑んできている、と思ってニコニコしながらも内心張り合いますが、それも本郷の独り相撲という事が分かってきます。

『食の軍師』(久住昌之/和泉晴紀/日本文芸社)第1巻より引用

その後、力石は本郷を気遣うそぶりを見せたり、単なるマイペースな食通なのかもしれない、と思えてきますが、本郷にとっては自分より通なので些細な事でも神経を尖らせ、行動をベンチマークし超えようとしてきます。

「俺強え!」と思って自己陶酔していたら自分以上の実力者が現れ、内心歯ぎしりしている姿が、単なる子供の妄想話で終わらないオチがあり作品として成立しているな、と思います。

牛レバ刺し

『食の軍師』(久住昌之/和泉晴紀/日本文芸社)第1巻より引用

禁止されてから10年近く経つのを思い出しました。
2012年頃には禁止になったと記憶しています。
当巻が2011年1月発売なのでまだ食べられたのですね。

ブタレバ刺しは余り得意では無いので食べないのですが、私は牛レバ刺しは好物で、お腹を壊すことはありましたが、あの濃厚な味が癖になっていました。

現在は「レバーのシャトーブリアン」などで炙って食べますが、やはりあの薄切りがおいしい。

書いていてお腹が減ってきました。

少し癖のある絵柄が作品にマッチしていて癖になる

現代的な流行りの絵柄では無い為か、某書評サイトに不評な感想がありました。
個人的には、表紙の絵があまり馴染まなかったのですが、中をみるとほりのぶゆきさんの『江戸むらさき特急』を想い出しました。
作風に合っていて、いい味わいがあり、この作品には欠かせない絵柄だと思います。平たく言うと「しっくり来る」というか。

ただ、現代10代~20代前半に流行と思われる、お歳の大きなお子さんの方々が好きな異世界漫画の絵柄と比べると絵も含め情報量が多く、私も一度全体を舐めてからでないとしっくり頭に入って来ませんでしたので、その意見は分からないでもないです。

特になろう系?ラノベ原作の漫画は、文字ばかりで描写で説明する作品が少ないと感じておりますが、文字が多い=情報量が多いにはならないので、読み慣れない分疲れてしまう人もいるかもしれません。

しかしながら、読み慣れるとノリが面白いと感じます。
一人ひとりにルールがあるような含蓄を見せてくれる点が結構癖になります。

本郷が勝手に負けて泣きをみるのが面白いこの作品、読んでみてください。

また更新しますので、次もお読みいただけますと幸甚です。
それでは良い一日を。

なお、コメントだけ有料にさせていただきます。

ここから先は

0字
この記事のみ ¥ 150

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?