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第八十八話 やりた

やりたいことしかないのに、こんなに気持ちがうねうねするのは、食欲が覆い被さってくる。わたしがもぐりこんでるのか、わからないけど苦しい。

甘いものが食べたくて仕方がないけど、口の中に甘い味が欲しいというわけではなく、色んな名前のついた、色んなパッケージに入った、誰か他人の手作った食べ物を、金を出して、手に入れて、口に入れて、咀嚼して、身体の中にとりあえず入れたい、みたいな欲求と思う、考えてみたところによると。こういう時はスルーしようとせずにとじっくり考えても、なかなか冷めないのに、今文字にしていくと、少し食べることの気持ち悪さがほらわかってきた。
そうやって明らかに余分な部分が取り除かれて次は本来の良質な食欲がまたちゃんと戻って来るから、結局また食べたい、にはなるのだけど。無限ループだ、今日食べても今食べてもまた明日には数時間後にはお腹が減るなんて、食べてみないと食べたくないことがわからないなんて、こいつ不便すぎ。

カロリーの上がった身体で、ねむねむになりながら、重たいお腹がまた、食べ物のことを考えさせる。食べ物の後悔は食べ物で取り返そうとしちゃ、ダメなんやって。わかってんのにわかってんのにな。今は幸い何も食べたいものもつまめるようなものも部屋にないので食えんけど。ココアの粉ときな粉の直食いが残されてる。
もうさ食欲ごと無くなってくれんと、意味ないんよねーー」ーーいや、でももう食べるのが好きじゃなかった昔の頃には戻れないどっちにしろ。全然興味のない野球中継をなんとなくつけて眺めてる方が今なんか、癒される。え、野球中継ってこんなに選手の顔や姿が鮮明に映るの、映像綺麗すぎてびびった、すごいな、早く終わらないかな。

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