インスマスの湯

風呂はいい!

刺青入れたさの唯一の躊躇い、気軽に銭湯に行けなくなることだな~と
入浴禁止者の注意に関する札を見ながら暖簾をくぐる。
都心の銭湯だと 構わん!やれやれ!なところも多くていいよね。


炭酸泉の風呂に入ってると、肌にふつふつ泡がついてきて
そのまま動かずに手足を眺めてると、気が付いたら半魚人みたいな肌になってる。


大人なのでなんとかしているけど、それなりにインターネット依存が激しいので
何もせずに思考を宙に浮かせながら人間をやめゆく手足を見つめるって機会は
スマホ持ち込みが当たり前に禁止の銭湯の強炭酸湯でしか得れない機会だな、と。
せっかくだからもっと色々考えればいいのかもしれないけど、
物事を真剣に考えるほどに落ち込むたちなので余計なことは考えず、ゆくゆくの半魚人ライフに思いを馳せる。

海には素敵さよりも名状しがたい恐怖心があるんだけど、水棲生物になったらもっと素敵さばかりを楽しめるようになるのか。
どんな迫害を受けるのか。このうるさい時世に見世物小屋で就労することはできるのか。
現代でもアルビノが不老不死の妙薬呼ばわりされて人身売買されてる話を聞くけど、本当なのかな。だとしたら人魚枠になる魚人もやべ~かな~?


これは記録しておきたいな~と思いつくことがあっても、
スマホもメモも持ち込みできない状態なので
どうでもいいことも書き記しておきたいことも全部消える。
脳障害に近い記憶力、次のことを考える頃にはその前の天才的発想も消えていて、
でもその次には忘れちゃった悔しさのことも忘れてる。


そろそろサウナ行こうかな~って湯船から出たら
肌にふつふつ付いていた炭酸の泡がすぱっと消えて、人間に戻った。

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