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岸田奈美|NamiKishida
2024年6月8日 01:41
死にかけていたところを、落語家に救われたことがある。あれは、2018年3月9日のこと。流れる季節の真ん中でふと日の長さを感じるどころではなく、わたしは韓国の雪山で凍えていた。死を覚悟していた。勤めていた会社の命令だった。建物のバリアフリーをアドバイスする会社で、「韓国の平昌で、パラリンピックの視察をしてこい」とのこと。当時のわたしが許される発言は「はい」か「イエス」か「