無題
売ってる服や靴はかわいい。
でも、それを着ている私は
それを履いている私は、きっとかわいくない。
記憶にある1番古い自分は
とんでもなくふくよかだったと言えるくらい
幼い頃から私は太っていた。
90㌔なんて余裕で越していたと思う。
スカートは穿いても似合わなかったし
そこまで太っていたから股擦れもすごくて
穿かされる事も、買う事も
幼い私が選ぶ事もなかった。
小学校に入学して
スカートは私のような子が穿くものではなく
容姿の可愛い女の子が穿くものだと知った。
自分の性別が分からなくなった。
親にバカにされるようになって
自分の容姿が醜いのだと知った。
幼い私は泣きながら
「やめて欲しい。」
とお願いした事もあったけど
「言われたくないならなおせ。」
と叱られて終わりだった。
言われたくないからなおさなくちゃ。
と何度も思ったけれど
ご飯は親が「食べろ。」と言えば
食べなくてはならなかったし
おかわりは当たり前、残せば怒られるし
食べろと言われた時に食べなければ
また叱られる。
小学校を卒業するまでそれは続いた。
中学に上がり、環境の変化でご飯が食べれず
最初の内は叱られていたものの
戻しているのを祖母に見られてしまい
それからは誰も何も言わなくなった。
それどころか
それまで茶化して来ていた父は
食べない私を心配して精神科を勧めてきたり
基本的に家に居ない母は
「ダイエットしてるの?」
なんてまた別の事を言って笑っていた。
50㌔以上痩せた。
制服というものが出来て、スカートが身近になり
私は女の子なんだと知った。
毎日スカートを穿くようになって
痩せた事によって
体型についても、食欲についても
何も言われなくなっても
休みの日や私服で
スカートを穿く事は無かったし
制服でスカートを穿く自分を
好きにはなれなかった。
頭はとてつもなく悪く
成績も良くは無かったけど
選べる範囲で
制服の可愛い高校に入学した。
自分で選んだからか
制服でスカートを穿いている自分が
好きだった。
それでも、休みの日や私服で
スカートを穿く事も、選ぶ事もなかった。
ガリガリに痩せ細そってしまったけれど
高校に入って、少し体重が増えて
メイクを覚えた。
少しは自分の外見に自信が持てるようになって
父も母も私の外見を褒めるようになった。
外見でばかにされる事はなくなった。
liru.