エモいデザートはワインの後に【最終章・リレー短編小説サウンドノベル】
リレー小説の最終章がなぜか俺に回ってきた。だから初見さんには悪いが、完全に理解するにはこの第一話、第二話を読む必要がある。
【あらすじ】
第一話
脱サラBarオーナー乳野満男は、ダンディな常連客、猿時と誕生日に関係を持つ。しかし熱いワンナイトラブのあと彼はバーに現れることはなかった。
第二話
Barニューノマンの常連客の一人、宇佐野 兎はブレザー制服を着た美魔っ女っ子戦士ブレザームーン。ある日彼女は見ず知らずの客に店外デートに誘われる。が、その男の正体は触手の化け物だった、襲われたところを逆に撃退した彼女は、化け物のなけなしの小遣い11,561円と分厚い手帳を手に入れる。そこには7枚の写真がはさまれていた…。
最終章 「白物家電を扱っているあの人」
俺の名前は布里座 冷蔵(ふりざ れいぞう)。
そこそこ名の知れた白物家電メーカーの営業を5年手がけているサラリーマン。そんな俺にも行きつけのバーがある。
酒なんて2cmしか飲まないんだが、営業のつもりで立ち寄ったら、先客に宇佐野 兎という女の子がいた。
カウンターで仕事の話を何気なくすると、「冷蔵庫を売るの? 大得意!」となぜか俺の担当の冷蔵庫を全部買い取って売りさばいてくれた。
※参考文献(笑)
その成績のおかげで主任に出世して、ボーナス査定も上げてもらったので彼女に会ったときは必ず奢ることにしている。好きなものがパインジュースとか安上がりだし。
他にも面白い常連がいて、ここで酒を飲んだり営業するというより、ただしゃべりにいくのを楽しみにしていた。そんなある日、事件が起きた。
ある日一人でトマトジュースを飲んでいたら宇佐野 兎、通称兎女史が突然息を切らしながら店に飛び込んできた。黒猫のキナコもするりと店に入り、身を寄せてくる。かわゆ。
「事件発生よ、フリーザ様! 昨日触手モンスターに襲われそうになったの! アングリーパワーアタックでぶっとばしたけど! そうしたらそいつ、手帳とここの常連客の写真持ってたの!」
そう一気にまくしたてて彼女は、手帳の写真をカウンターに並べ始めた。
①バーでよく見かけるゆず子さん
②ワディと名乗っているあの人
③漫画家のかこさん
④白物家電を扱っているあの人(俺)
⑤お医者さんの佐野さん
⑥カウンセラーのけるぼんさん
⑦店内でライブをしているキキさん
⑧グリーンピースさん
全員、知り合いなんてもんじゃない。しょっちゅうふざけあって話している、※平均コメントやりとり推定20回以上。
「…そんなことがあった、のか?…えーっと、なんで警察に行かねーんだ?」
「信じてくれるはずないじゃん。美魔女アタックで触手モンスター倒したらこんなの出てきたなんてさ、11,561円だけ預かっとくとか言われても嫌だし」
「11,561円って何だ?」
「ううん、こっちの話! それよりさ、フリーザ様、何か心当たりない?!」
触手モンスターなんぞエロゲーでしか見たことがない。このメンバーだって、珈琲店とかで顔を合わせるようにはなったものの、経緯はバラバラ。
「んー…普通に考えると、俺含めたこの写真の8人をその触手モンスターが狙ってたってことじゃねーのかな。んで兎女史がそいつ倒したんだろ? だったら問題ってのは解決したんじゃねーの?」
「だとしたら…グリーンピースのおじさんは、どこにいるの?」
…すでにその化け物に食われたとか? そう言いかけて言葉を飲み込んだ。まだはっきりしないうちからあまり不謹慎なことを言うもんじゃない。
「こういうのは、俺と二人で考えてもラチがあかねえ。情報も足りないし、とりあえずその写真の全員に連絡してここに呼び出そう。一応猿時さんも…ああ、猿時さんには俺が連絡する」
兎女史はうなずいて、スマートフォンを取り出した。俺も猿時さんとは連絡先を交換をしたことがある。店ではダンディな紳士風だったが、LINEになるとはっちゃけるタイプで、よくふざけて「ロックオン」とか「やらないか」という件名で変わったスタンプを送ってくる陽気な人だった。
猿時(2)
…え? 行方不明の猿時さんからLINEが来ている?
フリーザ、詳しい時間を話す暇がないから、簡潔に言うよ。
私は秘密結社「KNH」に今捕らえられている。君がこれを読んでいる時、兎ちゃんが触手の化け物を退治したというニュースを君はきっと受け取っているだろう。
兎ちゃんを襲ったのはメンバーの一人、触手プレイありの官能小説を彼女に書かせるのが目的だったらしい。KNHは(K官能小説をNnoteにH広める会)、だ)
なんで英語の頭文字で日本語なんだよ、そこはせめて英語にしとけw
と入力すると、すぐに返事が来た。
今、兎ちゃんと協力して、写真の6人がBARに向かっているだろう? その中の一人は、偽物だ。彼らには変身能力がある、兎ちゃんをデートに誘ったときも35歳の男性に化けていただろう。
あーあれ、どうせ化けて誘うならジャニーズ風の二十代のイケメンにしときゃいいのにな…イケメンすぎると警戒するとでも思ったのかね。
って、化けて混ざってこっちに来る?? なんで??
奴らの目的は、全てのnoterに官能小説を書かせることだ。そのために一人に官能小説を書かせて、それを皆に広める作戦らしい。
それはまたずいぶん地道な…つか、猿時さん、つかまってるんだよな? こんなにLINEピコピコ送信して大丈夫?
実は、このやりとりもKNHの監視の上でのことなんだ。我々はKNHに踊らされているんだよ。
これから6人、BARニューノマンに来る。
その中にKNHのメンバーが混ざっている。それを見破れたら君の勝ち。私は解放されて、晴れてグリーンピースを食べながら乳野君とちちくりあう生活に戻れる。
もし、君が見破れなかったら…私はここで触手プレイ小説を書くようにねだられながら、noteはKNHのいいようにされてしまうだろう。君にも新作の18禁小説を書くよう圧力がかけられるかもしれない。
え、ちょ、なんで?! なんで冷蔵庫売ってるごく普通のメーカー社員の俺にそんな厳しい選択が課されてんの?!
君にリレー小説がまわってきたから♥
てめええwwww
「フリーザ様? 聞いてる? 全員に連絡したよ…どうしたの?」
LINEのやりとりに夢中になっていると、兎女史が俺の顔を覗き込んできた。
百聞は一見にしかず。俺は自分のスマートフォンのLINEのやり取り一部始終を彼女に見せた。兎女史の顔色がみるみる変わる。
「…これから来る、6人の中で誰が偽物か見分けるってこと? えーどうしよう…本物かどうかなんてどうやって見分けんの?」
「うーん…何か、本人らしくないことを言っている、とか?」
「でも化けるくらいだったらいろいろ予習してきてそうだよねー…。まあ、万が一のことがあっても猿時さん殺されるとかじゃないし、外してもドンマイ。がんばって、フリーザ様!」
監禁されて触手小説ねだられるってのもそれはそれで地獄な気がするが…彼女なりに、プレッシャーを感じすぎないように励ましてくれているのかもしれない。うん、きっとそうだ。何か面白がっているようにも見えるのも、肩に力が入りすぎないようにするためだろう。
そうこうしているうちに、6人が現れた。
①バーでよく見かけるゆず子さん
こんばんは。╰(*´︶`*)╯♡ 寝癖いつもつくのに今日はめちゃ綺麗にセットできたんです!!♡ 猛烈に寒くなって来てもふもふマフラーに包まれる日が来ました、彼ともこもこのコートがお揃いなんですよ♡
②ワディと名乗っているあの人
ワディです。(`・ω・´)サワディーカーップ うちの奥さん、芋を愛するあまり、グッズを作ることにしたみたいなんだよね。あっちゃん(kikiさん)の似顔絵とかも書いてたよ。自分のnoteゲーム化は第二弾、半分くらい完成しているところ。
③漫画家のかこさん
皆さんこんばんは(´∀`*)ウフフ 今、黒猫のキナコさん(ピスタチオさん)とコラボで曲を作っているところなんですよ、どんな風に完成するか楽しみです。あと私の漫画が公式マガジンに入ったんですよ! フリーザさん、ケーキのお祝いありがとうございます(*´▽`*)
④お医者さんの佐野さん
こんばんは、近所の小さな公園で子供達を遊ばせつつ、自分は読書していました。もう何年も医学書以外の読書をしていなかったけど、今年度からは少しずつ読んでいます、漫画家のかこさんのオススメでドレの神曲を読んでいたけど、絵が素晴らしかった。
⑥カウンセラーのけるぼんさん
こんばんは。今日、電話線が切れました⚡️ ロックダウン中はカフェもやっていないし、友達の家も頼れないんです。いつもオンラインでやっている仕事や子供の学校、携帯一本でどこまでやれるか…機能しているのは家の鳩時計くらいですね。
⑦店内でライブをしているキキさん
こんばんは。昨日はstand・FM聞いてくれてありがとね(*´▽`*) あ、私めっちゃ関西弁やったけど( *´艸`) あと、エモデザ挿入歌、歌わせて貰いました~~肉声には肉声を(*^。^*) と使命感たっぷりに歌ったよ~~笑
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「…え?」
兎女史が皆の話を聞いて、目を丸くして、俺の顔を見た。俺もうなずいた。皆のnoteをいつも読んでいればわかる…この中で一人、確実に本人ではない嘘をついている人がひとりいる。そいつが猿時さんの言っていた、KHNのメンバーに違いない。
さあ、うそつきは誰だ?
※6人の中で、嘘をついていると思う人をクリックしてくれ。正解に当たればエンディングが読める。間違った人を選んだらゲームオーバー。上から順に選べば正解にたどり着けるけど、ゲーム感覚でよく考えてから正解をさがしてくれると嬉しい。
※コメント欄でネタバレ発言はNG。うそつきの正体がわかる類のコメントは、正解のページでコメントをもらえたら嬉しい。