依依恋恋
絡まったものを解こうとした。引っ張って、引っ張って、そしたら一層深く絡まって解けなくなってしまった。
ひとつひとつ丁寧に辿ると簡単に解けるはずなのに無闇に引っ張ってしまうのは、そうする術を知っていたのにしなかったからなのか、何も考えていなかったからなのか。
雨が降っている、この雨は誰を探しているのだろう、ふとそんなことを惟た。雨音が激しくなり眠れなくて窓を開けてみるとそこにはこの世の終わりみたいな暗闇が広がっていた。
朝なんて来なければいいのに。
人間の姿になったわたしは、恋と引き換えに声を失くしてしまった。声を失くしてまで残しておきたいものだったの?自分の声なのに今となってはどんなものだったのかわからなくなってしまった。このまま、キラキラと煌く小さな泡になってこの世界から消えるのだろう。誰にも気付かれないだろうか、まあそれもいいや。
今年の春もあなたがすきです。