貴方と出会えたことで貴方がわたしの全てになった


数年前、気付けば私は死んでいた。


自分が今どこにいるのかもわからず途方に暮れていたところを、

「君の目は美しい」

と言って拾ってくれたのが弓親さんだった。

弓親さんと過ごすようになって少ししてから、弓親さんが死神だと知った。私は、弓親さんと同じようになりたくて、毎日鍛錬に付き合ってもらった。そのおかげで私は晴れて死神になり、前線に出られるようにもなった。

私はまだ、弓親さんの斬魄刀のことをよく知らない。


そんなとき私は、ある虚との戦いの中で左目を斬られてしまった。

ああ、油断した。こいつは私を殺した虚だ、匂いでわかる。
初めて弓親さんに褒めてもらえたモノなのに。醜くなってしまったこの目を、貴方はもう一度、美しいと言ってくれるだろうか。それとも私への興味も失ってしまうだろうか。

許さない。

自分の左目から鮮やかな赤が流れ続ける。クラクラしてきた、立っているのがやっとだ。それでも目の前の虚は容赦なく向かってくる。こんなやつに。はやく立ち上がらなきゃ、絶対に葬ってやる。


「彼女に傷を付けたのはお前か」


と、虚の悲鳴と共に弓親さんの声が聞こえた。こんな霊圧は今まで感じたことがない。
弓親さん、怒ってるの?
霞む視界の中で戦う弓親さんは、よく見えなかったけど、今までに見た何よりも美しくそして残酷だった。
次に死ぬことがあれば私は弓親さんに斬られたい、そう思いながら目を閉じた。


目を開けたとき、そこには隊舎の天井が広がっていて、首を傾けると机に向かう弓親さんの姿が見えた。私の左目は機能していない。それもそうか、と思いながらその姿を眺めていると、不意に立ち上がって私が寝ている隣に座り込む。

「君の性格上、その目のことを気にするのはわかっていたよ。もうとっくに君自身を見ているというのに。君が生きているそれだけで僕は、君という美しさに触れていられるんだ。だから勝手に死ぬことは許さないよ。」

なんて、私の左目に触れながら言うものだから、今度は視界が歪んだ。この人のために生きよう。


私が死ぬときは貴方に斬られるとき。





弓親さんとの出会いを教えて?って言われたのでぱっと書いたもの。以前教えたものよりももう少し詳しく書き出しました。

弓親さん、すき。