いかすみ
いかすみパスタ、これは厄介な代物である。
パスタの中では最も難物ではないか。
いかすみパスタを食するのに必要なものは、
古来より以下の3つだとされている。
曰く、口元を汚す覚悟
服を汚しても笑い飛ばせる諦観
周りの視線を気にしない強靭な意志
口元を汚す覚悟のないものは、いかすみパスタのおいしさを一緒堪能することなく、朽ち果てる。
そして…。
「あのパスタはきっと不味いに違いない、俺は食べんぞ!」と、ぶどうを食べ損ねた狐よろしく嫉妬と未練と呪詛に苛まれる。
服を汚しても笑い飛ばす諦観を持ち合わせていないものは、食べ出すのに躊躇してしまい、出来立てを味わうことがない。ご存知のように、パスタは出来立てこそが食べごろである。
躊躇いなど無用で、一切の雑念を捨てるべし。
周りの視線を気にしない、これは唯一対策が可能である。それは単純な解決策であるが…。
1人で、もしくは気心の知れた、汚れた口元を晒してもいいと思える人と楽しむことだ。
さて、そろそろパスタが茹で上がる頃か。
私に…。覚悟は、諦観は、強靭な意志はある?
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