Hagino

京都芸術大学大学院(通信課程)にてMFA取得。 研究テーマはストリートアート。 日々を…

Hagino

京都芸術大学大学院(通信課程)にてMFA取得。 研究テーマはストリートアート。 日々をより豊かに生きるため、生活・子育てに根差したアート思考を綴れるよう実践中。 ここでは論稿のため、鍛錬&下敷きなどなど好き勝手に書いてます。

最近の記事

島で遊ぶ~コミュニティについて考える~

香川に帰って一年が経った。 息子も2年生となり、すっかり日焼けしたわんぱく少年となっている。 生活圏としては20年ぶりの故郷。 以前少し書いたが、私が拠点を変えた最終的な理由は、息子だった。 研究を重ねる中で、自分が子供に与えたい環境が東京ではないと感じたからだ。 「日常に些細な何かを見つけ出せる環境。」 それを子供の視点で考えたとき、私は四季の感じられる豊かな場所を選びたくなった。 都会でできないわけではないが、なるべく自分が介入せず、子供が勝手に探しに行く環境が欲し

    • 続・ラジオ体操をはじめてみた ③ ~セルフケア~

      ついに第三弾。 かれこれ1か月半、毎朝の「本気のラジオ体操」に参加中。 朝というタイトな時間帯での組み込みに悩みながら始めたものの、今では6:00-7:00は自分と向き合う時間(身体も心も)として定着している。 忙しいときは丁寧とは言えないが、とりあえず継続はできている。 さて、今回のキーワードは「セルフケア」 この1か月の生活の変化を改めて振り返り、改めて大切さに気付いた。 またも私の昔話になるが、私はいわゆる「万年ダイエッター」というやつで、身長が止まった20数年前か

      • 続・ラジオ体操をはじめてみた~継続と息子~

        ラジオ体操をはじめて1か月が過ぎた。 正直仕事が忙しく、寝るのが1時、2時。 なんなら3時オーバーなんて日もあったにも関わらず、毎朝6時の起床とラジオ体操15分はやり切れている。 というか、眠たい~と思っても、 ラジオ体操をはじめるとなぜか元気になって、その日の仕事もはかどった。 本気のラジオ体操恐るべし。 いや、あき星恐るべし。 (学友に推し活と言われたっけ) そんなラジオ体操だが、春休みに入って私と息子のペースにずれが生まれ、息子はあまり参加しなくなっている。 実は

        • ラジオ体操をはじめてみた~変化すること~

          前回に続き、自分を変化させてくれた経験について。連鎖しているなぁ。 少しまた自分のことを。 私は多分理屈っぽい。物事を本能や感覚でかぎ分けることが苦手だ。 なので、判断の決め手は統計や理論、黄金比や、流行りだった。 仕事で引用するには、根拠説明が楽だし、提案を判断するのにも便利だ。 結果的に全部「まぁそういうものだ」と思ってきた。 ただ、この統計的なよいものが本当に自分に合っているのかを判断するのはすごく難しい。 自己啓発本も好き(そういえばアート勉強したら読まなくなった

        島で遊ぶ~コミュニティについて考える~

        • 続・ラジオ体操をはじめてみた ③ ~セルフケア~

        • 続・ラジオ体操をはじめてみた~継続と息子~

        • ラジオ体操をはじめてみた~変化すること~

          「対話」について考えた

          大学院修了から2年がたった。 学んだことが人生の下支えになっている感覚はあるものの、転職や引っ越しでアートに触れる機会は激減し、張り巡らしていたアンテナの感度は鈍くなるばかり。 そんな私のアンテナを刺激してくれるのはいつも学友との対話の場だった。 在学時代から私がいつも助けられてきた対話の場。 そしてそんな学友たちが始めた「超域Podcast」。 日々の中に「対話」が戻ったとき、改めて体感した私の経験を書いてみる。 まずは「超域Podcast」について少し紹介 私はこの

          「対話」について考えた

          本題の前に自分のこと~アートを学んだ結果~

          ちょっと考えることがあって久々に書いてみる。 だけど、その本題の前に私の経験を書くことにした。 私は京都芸術大学通信制大学院超域プログラム後藤繁雄ラボで、社会人大学院生として学んだ。 私が後藤ラボに行くのを決めたのはちょうど4年前の今頃。 当時の私は、友人アーティストたちのイベントを手伝うぐらいで、芸術の勉強をしたこともないただの門外漢だった。が、なぜか自分でわかった気になり、売れるアートが知りたいと後藤ラボに入学した。 授業が始まると、早々に自分の素養のなさを痛感。

          本題の前に自分のこと~アートを学んだ結果~

          9ヶ月かけてみつけたもの

          2022年新春。 6歳になる息子の某国立附属小学校の抽選があった。 前日の選考を終え、後は泣いても笑っても抽選結果を待つのみ。 受験者に対し、抽選で通るのは約半数。事前の選考結果は知らされない。 息子が選考を通ったはずと信じながらも不安で不安で夜中に4度も目が覚めた。抽選の夢を見ては起き、小心な自分を思い知らされる。 緊張の1時間の抽選の結果、、、息子は不合格だった。 かくして、我が家のドタバタなお受験騒動の9ヶ月が終わったのだった。 帰路につき、校門を出て息子と待つ母に

          9ヶ月かけてみつけたもの

          「平成美術」展の鑑賞と勉強会

           先日、京セラ美術館で行われた「平成美術 泡沫と瓦礫 1989−2019」を観覧し、ラボ仲間との勉強会にて取り上げた。  この展覧会はタイトル通り、平成史に照らし合わせながら日本における様々なアーティスト・作品を取り上げており、私(現代アートをきちんと知ることもなく大学院に入った)にとって初見の作品や情報に溢れた魅力的な展覧会であった。それと同時に仲間との考察を通し、現代アートの「アーカイブ」問題をはじめ、様々なファクターと問題点を知ることができた展示だった。  まず展覧会

          「平成美術」展の鑑賞と勉強会

          私がアートを学ぶと言うこと

          今日、2年間の修士課程をなんとか修了し、学位を得ることができた。 入学当時デュシャンさえ知らなかった自分にとって奇跡のような話である。こんな私を導いてくれた後藤繁雄教授をはじめとするラボの皆さんには感謝しかない。 その後、教授たちや学友とこれからのことを話していると夢見心地で心踊る自分がいた。大学院での学びは終わったが、ここから続く未来へ進み始めた実感の方が強く、生涯の学びの場を得たことに改めて強い幸福を感じたのだ。 そんな気持ちを反芻しながら寝床についたのだが、ふと隣に

          私がアートを学ぶと言うこと

          大山エンリコイサム「SPRAY LIKE THERE IS NO TOMORROW」

           新型コロナウィルスの影響で会期が伸び続けていた大山エンリコイサムの展示に行った。藤沢アートスペースで行われた展示タイトルは「 SPRAY LIKE THERE IS NO TOMORROW」  会期前から公開された制作動画などを視聴し、今年もっとも楽しみにしていた展示だった。(当初は製作を観覧できる予定だったのでこの点はとても残念だ。)  藤沢アートスペースのある辻堂駅に降り立ったのは午後2時。1日で最も暑い時間だ。梅雨明けの猛暑日もあり、日差しもきつい。しかし、海風と思

          大山エンリコイサム「SPRAY LIKE THERE IS NO TOMORROW」

          アルターワールドへの接続

          ■「ドローイングの可能性」展 戸谷茂雄 「視線体一散」  この作品は、室内に作られた空間を隔てる3面の壁の内側に配されている。その外壁には戸谷のドローイングのコンセプトを表す空間への眼差しを可視化した彫刻作品を配し、内側はその眼差しの「構造の結実」と表現する作品が配された。この作品は中央に刻印された立方体の木があり、その周辺の壁にはそこから出たように見える木片が一面にはりつけられている。  戸谷はこの作品を『空間の中を行き交う幾つもの視線が交差したところに立ち現れる「視線体」

          アルターワールドへの接続

          弱者について考える

          今回は、今後の考察を深めるキーワードとなる「弱者」について考える。 まず、私が想定する「弱者」とは 子供、障害者、人種、性別、LGBTQ、高齢者、貧困者、労働者、社会的マイノリティ思想者 である。 これらは複数のエレメントによって構成されており、 ①先天性と後天性 ②身体性・経済性・文化性のカテゴリー ③喪失内容(生命、アイデンティティ、社会的存在、機会) この3つにより表出すると考えた。 例えば、 「子供」は①生まれた時点で②身体的に未発達なこと、保護者の経済状況によ

          弱者について考える

          リニア化した人の権利への違和感

           新型コロナの発生から時間の経過とともに人権や生命の権利に関するニュースを目にするようになった。アメリカでは若者から新型コロナの要因は「Boomer」による環境破壊の末に生まれたものだとし、高齢者の高死亡率から新型コロナを「Boomer Remover(高齢者を除去する装置)」と呼ぶべきだという声があがり、ヨーロッパでは医療倫理ガイドライン(SAMW, Covid-19-Pandemie, 2020)に基づくトリアージとして、障害者、高齢者が少ない医療資源に対し、積極的治療要

          リニア化した人の権利への違和感

          大山エンリコイサム「ストリートの美術」

           この書籍は大山エンリコイサムがこれまで様々な媒体に記した論考(初出2009年〜現在)をまとめたものである。ライティング(グラフィティ)をはじめとするストリートアートを中心に歴史・概念・構造的な点から考察し、大山なりの今後の日本社会への提言を含め記されている。  まずは率直な感想をここに記したい。圧巻であった。おそらく日本国内(海外のことは不明なので)においてストリートアートをここまで多角的な視点から紐解いたものはないだろう。これまでにも大山は数冊の著書があるが、本書で取ら

          大山エンリコイサム「ストリートの美術」

          グラフィティの衝撃

          宣言より遅くなってしまったが、とりあえず「書く」ことに慣れるべく、noteを始めようと思う。駄文が続くと思われるが、とりあえず、まず第一歩を。 1本目はどうしてもこのことを書いておきたかった。私が現代アートを学ぶに至る、私の根幹となっている体験についてである。  現在私は大学院において現代アートを考察している。修論のテーマとしているのは「グラフィティ、ストリートアート」である。  私がグラフィティに出会ったのは19歳、大学2年の時だ。(あくまで私は鑑賞者でありライターで

          グラフィティの衝撃