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”長さ”を考慮したハムストリングスのコンディショニング例

ハムストリングスに関しての以前投稿した記事ではハムストリングスに直線的に触れたものではなく、骨盤に焦点を当てた内容でした ⇨前回記事

今回はハムストリングス自体に負荷をかける際に個人的に考慮している
「長さ」に触れたいと思います

現場指導や個人の取り組みの助けに少しでもなれば幸いです


【導入】

肉離れなどハムストリングスのコンディション不良はスポーツ競技者や運動愛好者で頻繁に起こるものかと感じます

ハムストリングスはとても筋長が長い筋であるため受傷早期に大きな負荷(出力、筋の伸長)を加えると再負傷や回復を妨げるリスクが伴います
特に筋がより引き伸ばされた状態で収縮させることで大きなストレスを筋にかけてしまいます

しかし適切な負荷をかけない状態である程度の時間経過のみで再度スポーツ・運動に復帰すると組織耐性が回復していない筋に再度大きな負荷が加わりそれに耐え切れず再負傷することも多くみられます

そういったケースを引き起こさないためにリハビリテーション・リコンディショニングで心がけていることの一つが「筋長」を考慮してリグレッション・プログレッションすることです

受傷早期やコンディションがあまり良くない時期では筋長をあまり出さずにハムストリングスの収縮機能を回復させつつ、状態が良くなっていくにつれ
スポーツ動作局面を考慮してより長い筋長でもしっかりとハムストリングスが力を発揮出来るようにプログラムを漸進させていくことが大切です

アスレティックトレーナーの教科書ではExsの漸進に関わる要素として
筋収縮様式(等尺性⇨等張性 -短縮/伸張-)
運動様式(非荷重⇨荷重 / OKC⇨CKC)

などがありますがハムストリングスのような長い筋長を持つ組織に関しては上記の要素にプラスして筋長を考慮しながらプログラムを漸進させる必要があると感じます

※以下()内数字は引用文献番号

【ハムストリングスの特徴】

ハムストリングスは骨盤の坐骨結節から脛骨・腓骨に付着しており大腿部の後面を走行し股関節・膝関節をまたぐ筋肉です

そのため股関節を伸展させる / 膝関節を曲げる 際にハムストリングスは短縮し力を発揮します
骨盤にある坐骨結節にハムストリングスは付着しているため
腰を反って骨盤が前に傾く(前傾する)ことで相対的に坐骨結節部が上方に向かうことで筋長が変化します(1)

左:骨盤ニュートラル
右:骨盤前傾

しかしハムストリングスの筋長を長くし負荷を増強させる目的で骨盤前傾をあえて大きくすることは推奨できません。
理由としてはエクササイズ実施する際に腰椎や腰椎周囲の筋へのストレスを増加させる可能性があり腰痛のリスクがあるということに加え、
走動作中に骨盤前傾が大きくなることでハムストリングス肉離れの発症リスクが増加する(2-3)とも言われているため、わざわざ発症リスクを増長する形でエクササイズするのは現実的ではないと感じるためです

【エクササイズへの応用】

前項の内容からハムストリングスの筋長は
【股関節を曲げる】or【膝を伸ばす】ことで長くなります
※両方行えば最も筋長変化が大きくなります

それらを踏まえてハムストリングスの負荷を段階的に増加させる場合は
膝・股関節の角度/角度変化を変えずに抵抗の量(重りやバンドの強度)を増やす、もしくは抵抗の量を変えずに膝・股関節の角度/角度変化を増加させる必要があり、痛みや不調を伴う段階があればそれらを逆行させ負荷を減らしていく必要があります

抵抗の量は同じ(自重+ボール)
股関節の角度は同じ
膝関節の角度でストレスを操作

これらを考慮しながらリコンディショニングプログラムを構築していく場合は下記の順序にそって漸進させていくことが多いです

極力同じ収縮様式のフェーズ内で筋長の短いもの(Short)から長いもの(Long)へ細かく漸進させ過負荷にならないようモニタリングしながら進めていくことで適切な組織耐性を構築できると感じています

次項では各フェーズで実際にクライアントに処方することが多いエクササイズを動画・説明とともに紹介していきたいと思います。

【アプローチ例】エクササイズ動画全14種

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