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内的注意と外的注意 -Part2-
Part1はこちら
次に内的注意(Internal Focus、以下IF)の臨床的な活用について考えてみたいと思います。
多くのリサーチでは運動の転移やスポーツパフォーマンスへの影響から運動指導やコーチングに外的注意(External Focus、以下EF)を用いることを推奨するものが多いのですが、それはあくまでEFによる効果が必要なケースとなります。
Part1で紹介したように同じ課題におけるIFとEFを比較した場合、EFが運動の質やパフォーマンスをより向上させたというものが多いですが、IFは筋活動をより高めるという結果が多くみられます。
また別の視点として、「焦点となる部位により注意を向ける」ことを考えたいと思います。
このようなリサーチがあります
刺激されている自身の身体部位を見ると一次体性感覚野が活性化して体性感覚の感度が向上する (Schaefer et al 2006)
レジスタンストレーニングを実施している際に負荷が加わっている筋を目視したり、パートナーに触れられることでその筋の活動を強く感じるケースなどもこれが関係するのではないでしょうか。
距腿関節モビライゼーション、足底マッサージ、下腿三頭筋ストレッチが行われ、CAI症例に対するこれらの治療は片脚立位バランス機能の優位な改善が報告された (McKeon and Wikstrom 2016,2017)
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こちらはIFとは観点がずれるかもしれませんが、局所的に働きかけるという点では興味深いと思います。実際にバランスの訓練を反復したり、足部の緊張を高める訓練なしにバランス機能が改善したことは、メカノレセプターの反応や触感刺激が固有感覚の賦活につながったり、身体図式やボディーマップと呼ばれるものに影響を与えた結果にも思われます。
このようにIFやアプローチの対象となる部位に局所的に働きかけることは、その部位に対する認識を高め、筋活動や固有感覚入力を高めるのに役立つのではないでしょうか。
複合的な動作において特定筋の活動を感じない、力が入りづらい、過度に緊張が出る、などのケースの解決にはこういったアプローチが有効な可能性があります。
最後に今回記載したアプローチを考慮したエクササイズと、簡単にIFとEFの使い分けを解説します
足底に接触しているボールの圧力や移動に合わせて足部・足関節を動かしてもらうワークです。動画は圧と接触部位が一定になるように指示しています。ただ何かに触れさせていたりするだけでなく、その情報を使って何か運動を起こすような課題が適当かもしれません。
また応用としてはこれを視覚外、もしくは閉眼で行うとさらに触感刺激の入力を高められるかもしれません。
触覚刺激を入れ続けるよりも、触覚を識別する課題を与えた方が触覚定位の能力が向上した (Braun et al 2000)
受動的・能動的に関わらず、視覚的フィードバックを除外した訓練が最も体性感覚を向上させている (Aman et al 2015)
Part1と合わせてIF、EFの使い分けとして「膝関節の痛みに対して、股関節主導の動きを獲得し殿筋群やハムストリングスで膝関節の保護をする」というコンディショニングのテーマがあるとして、
最初はそもそも殿筋群やハムストリングスがしっかりと働くようにするため、OKCや関節の単独運動などで筋の収縮や緊張を感じてもらうために触知や活動箇所を目視してもらうようなワークを行い、筋感覚が出てきたらCKCや複合的な運動(スクワットやヒップヒンジ)を実施。その際は「お尻を使って」や「股関節中心に」という意識ではなく、股関節での運動が主体になるような環境を提示したワークを行う
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用いるものは何でもいいと思いますが、順序的にはそういったのが望ましいかもしれません