内的注意と外的注意 -Part1-
Part2はこちら
数年前から運動指導において注目されてきた
内的注意(Internal Focus、以下IF)と外的注意(External Focus、以下EF)
その二つの臨床への応用を自分なりにまとめます。
まず一般的な定義ですが、Jason Vance (https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/?term=Vance+J&cauthor_id=15695233) やGabriele Wulf (https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/?term=Wulf+G&cauthor_id=15695233) らの研究によると
IF=自分の身体の運動に注意する
EF=運動の結果に注意する
とされ、
”スクワット動作において股関節の動きを強調する” というテーマの場合
IF ⇒ 「股関節をしっかり使って」というキューイングや鼠径部に手を置いて挟むように動作を行わせる
EF ⇒ 後方に置いたイスにそっと座るようにしゃがむ
などがそれらに該当すると思われます。
引き出したいものを直接的に促すのか、間接的に促すのかという解釈が適当かもしれません。
同一運動内に対してそれぞれを用いることの効果は複数の研究から組み分けされており、
大きなポイントとしては運動の転移や課題に対するパフォーマンスの向上にはEFが効果的というリサーチが多い
よって運動学習という観点からは動作を実行する際にその結果や自身の身体以外に注意を向けさせるような課題、環境を設定するのが望ましいとされている
それらを踏まえて私が用いることが多いEFを考慮したエクササイズの例です
●足関節の運動時に距腿関節を中心とした運動を促すワーク 「ここを中心に」とキューイングするのでなく、”ボールをかかとで潰すよう”にという課題に置き換える
●足関節底屈時にMP関節へ荷重を促すワーク 「ここで押す」とキューイングするのでなく、”パイプが転がらないように踵を上げていく”に置き換えると直線的な荷重を促すことができる
●「もう少ししゃがんで」や「しっかり股関節伸ばしきるまで」ではなく、しゃがむ幅、股関節伸展が引き出される”結果”を提示する
●脛骨と大腿骨の関係性を保持できないケース(Knee-inなど)に対し、「膝が内に入らないように動きましょう」ではなく、実行さえできれば必然的に制動されている課題にする
これらは一例なので、
課題⇒それをクリアする過程が引き出される環境
それをうまく設定できれば外部注意による恩恵を受けられると思います。