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ピンクのミクロマン  

子供の頃、ミクロマンというおもちゃがありました
文字通り小さい、手のひらサイズの青年の顔をした人形です
ミクロマーンというCMをテレビで何度もみて
近所の子らもちらほら持ちだしていて
欲しいぃ と思っていました
人形だけならそんなに高いものではないのですが、子どもながらに我が家は貧乏だろうと思っていたので、あきらめ半分、親に頼んでみたら、買ってもらえたのです

ピンクのミクロマン

ミクロマン

嬉しくて、嬉しくて
外で遊ぶ時も持って行きました
ある日、団地の裏の狭い広場で野球をすることになり
ミクロマンを打席の後ろの側溝に置いて、遊び始めました

野球をするわたくし

ひとしきり遊んで、ミクロマンを置いた側溝に行くと、

ないのです

側溝は見晴らしの良い場所で、何度も覗いて周りを見渡しても見当たりません
仕方なくあきらめて、一人で帰りました
遠い記憶のことですが、ミクロマンを失くしたことを親に叱られた覚えはないのです
ただ、どうしてミクロマンがなくなってしまったのか、今だに納得できていないのです
打席の後ろに側溝があり、審判もいません
守っている時も真正面でみています
目を逸らす間なんてなかったはずなんです
まあ、子供のすることですし、野球に夢中になって、目を離した時があったのかもしれません
誰かが持って行ったかもしれないし、
犬か猫がくわえて去って行ったかも…
今となっては分かりません
突然の原因不明の別離だったからこそ
いつまでも気になるのでしょう
誰かが持って帰ったとして、大切に遊んでもらえただろうか
犬か猫なら土に埋められて、忘れ去られてしまったかもしれません
などなど、あれこれ考えてしまうのです
片思いの人が突然何も言わずに消えてしまったかのように、
ピンクのミクロマンは今でもわたしの心をつかんで離さないのです
最後まで読んでいただきありがとうございます



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