「アデル、ブルーは熱い色」を観て。
原題:La vie d'Adele
英題:Blue is the Warmest Colour
邦題:アデル、ブルーは熱い色
監督:アブデラティフ・ケシシュ(2013)
あらすじ: 文学を愛する高校生アデル(アデル・エグザルコプロス)は、青い髪をした美大生エマ(レア・セドゥー)と運命的な出会いを果たし、2人は激しく愛し合うようになる。しかし、時の流れとともに2人の気持ちは次第にすれ違っていく。
感想:
大人びた雰囲気だけど友人の喧嘩を買ってしまったり、ちょっとした好意で本気にしかけたり、思春期ゆえにすぐ寝てしまうという、高校生らしい子供っぽさを持っていたアデルが、気づいたら大人になっていた。
「1人でも大丈夫」という強い思いが背中から滲み出されるラストが印象的だった。きっとあの後、あの青年が追いかけて何かしらの縁が繋がってまた人生の歯車が回り始めるのではないかなあと。アデルに幸あれ。
最初によく映されたアデルの寝顔が、保育所の子供の寝言を見つめるアデルになってるのがうまいなあと。
パーティーでの、みんなに対する振る舞いも、高校生のアデルだったらあまり想像つかない。
逆に、エマは尖っているが同年代からしたらそこがかっこいいと見られるすこし大人びた印象を残す学生時代。そんなエマが、金髪にした頃から自分軸にどんどんなり、人との交流も増え、尖りがなくなり人が寄ってくるようになった。
アデルとエマは対象的に成長していた。対象すぎた故のすれ違い。切ないなあ。お互いを尊重しあえるまでの関係性には保てなかったんだろなと。
普遍的な、どこにでもいるようなカップルの話と思いたい。でも、やはり家族が認めてくれなかったり、LGBTQのデモ行進だったり、高校の友人間での細やかな差別視、など。悲しい。
ほっといてくれよ、となる。
他人同士が距離の近い恋人になるなんて、やはり奇跡に近いと感じてしまう。
アデルとレア・セドゥーの演技、すさまじすぎた。
アデルはもはや演技なのか?と思えるくらい。ボサボサ髪もきれいと言えない泣き顔も上品と言えない食事も、たまにしか見せない笑顔も、全て引き込まれた。
レア・セドゥー。「007」でのマドレーヌ役しか知らないから、こんな演技できるとは驚き。体当たり演技だなあと。
太陽をバックにしたキスシーン美しすぎる。オールマイベストキスシーンのひとつになった。
大人になるってなんだろう。孤独を愛せるかどうか?人と繋がれるかどうか?家族を、子孫を持つかどうか?
わからんね。