【ショートショート】覗き #一方通行風呂#発砲通報プロ
ハジキ片手に女風呂への一方通行を腹ばいになって進んでいる。
あの子の裸が見たい一心での命懸けの潜入である。
女風呂を覗く輩は即時銃殺刑となる法律が施行されて半年、すでに幾人かの犠牲者が出たという。
覗きと恋愛は異質なものだ。
覗くことでしか成就できない感光があり、何より思想なのだ。
匍匐前進していると勃起した一物が擦れて痛む。
赤外線センサーを巡らせた一方通行は女性専用になっているようだ。
不審者がセンサーに触れた瞬間、発砲通報プロが作動して蜂の巣になる仕組みなのだろうか?
だが、自分の命とあの子の裸とを天秤にかけたとき、俺は迷わず後者をとった。
「しまった!」
不慣れなハジキが暴発して一方通行の看板を貫くと、同時に発砲通報プロが作動して銃撃を受ける。
咄嗟に翻ったおかげで弾を受けずに済んだが厄介だ。
厄介?いや待てよ?
発砲しない限り作動しないのだとしたら、正面切って覗きに向えるわけだ。
立ち上がって辺りを確認し、俺は真正面を進んだ。
(410字)
〜あとがき〜
たらはかにさんの毎週ショートショートに参加させて頂いて5週目になります。ありがとうございます😊
毎回、お題が難しくなっていって大変ですが、そこが面白いですね!
今回も、 #一方通行風呂 #発砲通報プロ の2つのお題を使用して410字に字数を合わせみました。
一方通行風呂は何となくイメージできたんですが、発砲通報プロってなんやねん?と😅とりあえず通報器の名称にしましたが、苦しかったです💦
今、安部公房の『箱男』を再読してまして、「覗き」というテーマを使用してみました。