「無い」ことはシンプルか?ミニマルか?
「無い」という状態について考えると、それがシンプルであるか、ミニマルであるかは少し違いがあります。
シンプルとミニマル
まず、シンプルとは、「複雑さがない状態」を指します。物が無ければ、当然管理や選択の手間が減り、生活はシンプルになります。「余計なものが無い」という状態は、混乱やストレスが減り、生活がすっきりするので、何も「無い」ことはシンプルだと言えるでしょう。
一方で、ミニマルは少し異なります。「必要最低限のものがある」ことを重視しています。ミニマリズムでは、ただ物を無くすだけではなく、自分にとって本当に必要なものだけを持つことが重要です。つまり、すべてを無くすのではなく、生活に必要なものを厳選して持つことで、無駄を省きつつも豊かさを感じるという考え方です。
100から減らすシンプルと0から増やすミニマル
シンプルとミニマルの違いをもっと具体的に言えば、こうも捉えられます。
シンプルは、もともと100の状態から余計なものを減らしていくこと。多くの物を持っていた状態から、必要ないものを削ぎ落とすことで、シンプルさを追求する過程です。
ミニマルは、逆に0からスタートして、本当に必要なものだけを慎重に選び足していくこと。つまり、最初に何もない状態から、価値のあるものだけを増やしていくというアプローチです。
シンプリストとミニマリストの違い
この考えに基づくと、シンプリストとミニマリストも異なるフェーズにいると捉えられます。
シンプリストは、まだ物を削ぎ落としている過程の人。100から減らす段階にあり、生活をシンプルに整えていく過程を楽しんでいる。
ミニマリストは、削ぎ落とした後に残った必要最低限のものを維持し、そこからさらに慎重に取捨選択していくフェーズにいる人です。つまり、ミニマリズムは「減らす」だけでなく、必要なものを増やす、または適切に維持するという段階にあるんですね。
「自分」が変化することで、必要最低限も変わる
さらに、ミニマリズムは「不変」ではありません。自分の価値観やライフステージに応じて、必要だと思うものも変わっていきます。そのため、ミニマリズムは一度達成したら終わりではなく、常に見直しながら調整していくプロセスなのです。
ライフステージや価値観の変化: 年齢や生活環境の変化に伴い、何が必要かも変わっていきます。例えば、若い頃は身軽さを重視していたけれど、家族ができると必要なものが増えるかもしれません。
生活環境の変化: 引っ越しや転職などで、必要なものが変わることもあります。都市部から自然の多い場所に移った場合、持ち物や生活の仕方が変わってくるでしょう。
こうした変化に対応するために、ミニマリズムはただ物を減らすだけでなく、常に「今の自分にとって何が本当に必要か」を見極め、取捨選択していくことが大切です。
結論:
シンプルは、多くのものから不要なものを削ぎ落としていく過程。
ミニマルは、必要最低限のものを慎重に選び、必要なものだけを持つこと。
シンプリストは、物を減らしている段階の人で、生活をスッキリさせている途中。
ミニマリストは、減らしきった後に必要なものを厳選し、維持している人。
ミニマリズムは単に「減らす」だけではなく、生活にとって本当に価値のあるものを選び足すことも含む。
自分の価値観やライフステージが変わることで、必要最低限のものも変化するため、ミニマリズムは常に見直しが必要。
ミニマリズムは「今の自分にとって何が必要か」を常に見極め、調整していくプロセス。
おまけ:言葉の変化
ところで、「ミニマリスト」や「ダイエット」という言葉も、実は本来の意味から少しずつ脱線しているんです。現代では、どちらも「減らすこと」「制限すること」に結びつくイメージが強くなっているけど、元々の意味はもっと豊かなものだったんですよね。
例えば、「ダイエット」は元々「健康的な食生活」や「栄養管理」を意味していたのに、現代ではほぼ「痩せたい!痩せるために食べない!」みたいな意味合いで使われがちです。お腹が空くたびに「これはダイエットだから仕方ない」と言い聞かせる日々...本来は「バランスの取れた健康的な食生活をしよう」という温かみのある言葉だったんです。
同じように、「ミニマリスト(ミニマリズム)」も元々は芸術やデザインの分野で、「最小限の要素で美しさを表現する」という豊かな意味合いがありました。それが今や、物を捨てまくる行動にフォーカスされがち。「持たない自分、かっこいい!」というイメージが先行してしまいがちです。
それでも、こうした変化は、時代や社会のニーズによって生まれるもの。元々の豊かな意味合いが少しずつ変わってしまうのは、言葉の面白いところでもあります。だから、ちょっとしたユーモアを交えながら、ダイエットやミニマリズムを楽しむのもいいんじゃないでしょうか。「減らす」ことだけじゃなく、「何を大切にするか」を再確認することも忘れずに!
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