おもち闘病記③ 寛解導入相A
ランゲルハンス細胞組織球症は症状により単独臓器型(1つの臓器に症状が現れるもの)と多臓器型(複数臓器に症状が現れるもの)に分かれます。単独臓器型は自然と治るケースもあるため、経過観察されることが多いそうです。一方、多臓器型は治療しなければ生命に関わる悪性疾患となるケースが多いので、抗がん剤を用いた治療(化学療法)を行います。
多臓器型の中でもリスク臓器あり(肺や肝臓など、臓器に浸潤しているケース)とリスク臓器なしがあります。おもちはこの時点で右胸部に腫瘍ができていたものの、隣接していた肝臓には浸潤していなかったため、この時点では「多臓器型リスク臓器なし」と診断されました。
リスク臓器の有無は治療方針に影響しませんが、予後の統計などに使われるようです。
2021年8月31日(入院15日目・寛解導入相A1日目)
入院15日目にして、ようやくランゲルハンス細胞組織球症(以下、LCH)の治療(以下、プロトコル)に入れることになりました。それまで極端に減少していた赤血球を補うための輸血や、発熱を抑えるための解熱剤などは投与してもらえましたが、根本的な治療は病名が確定するまでできませんでした。
この日は抗がん剤であるキロサイドやオンコビンに加え、プレドニンというステロイドを投薬しました。
この日、清拭のタイミングでお見舞いに行ったので少しお手伝いしたのですが、生検するために切り取った右胸の傷口から腫瘍が飛び出ているのを見たときは、なんとも言えない気持ちになりました。我が子がエイリアンに乗っ取られているような、現実を冷静に受け止めているフリをしているけど、実際飲み込めていない。そんな気持ち。
2021年9月2日(入院17日目・寛解導入相A3日目)
キロサイドとプレドニン投薬。
薬を投与し始めて3日で首を圧迫していたリンパの腫れが引き、顔のむくみが取れ始める。目も元の大きさに戻ってきた。
2021年9月4日(入院19日目・寛解導入相A5日目)
キロサイドとプレドニン投薬。
入院前と遜色ないくらい、普通の状態に戻った。お腹空いていたのか、ミルク180mlを6分で一気飲み!首のリンパが落ち着いてきたので、ミルクも飲みやすくなったみたい。
歯固めを渡したら笑ってハムハムしながらおしゃべりし始めた。
2021年9月6日(入院21日目・寛解導入相A7日目)
プレドニン投薬。
治療開始してから1週間。心拍モニターと酸素チューブが取れる。
治療ではステロイド(ステロイド)を服用している副作用で、お顔がぷくぷくしてきた。
2021年9月7日(入院22日目・寛解導入相A8日目)
プレドニン投与。
入院前の容姿に戻った。治療開始前と比べると一目瞭然。
2021年9月9日(入院25日目・寛解導入相A10日目)
プレドニン投与。
入院前日、minneでキューピーハーフの衣装を購入した。まさか翌日入院するとも思わず、病院でこの日を迎えるなんて想像だにしなかった。
入院した当初、「この子は生後半年も生きられないかもしれない」と悲しみに暮れていたものの、幸いなことにお薬が合い、無事この日を迎えることができた。
キューピーハーフの衣装は看護師さんに大人気だった。
2021年9月15日(入院31日目・寛解導入相A16日目)
キロサイド、プレドニン投与。
好中球(白血球の一種で細菌などから感染を守るもの)が500を下回ったため、クリーンルームに入る。CRP(炎症の数値)は低く、本人は元気でキャッキャしている。
面会時に看護師さんと話していると、にじにじと柵ギリギリまで移動して手を伸ばして仲間に入ろうとする。
2021年9月16日(入院32日目・寛解導入相A17日目)
キロサイド、プレドニン投与。
おもちの病院は原則付き添い不可。この時点ではコロナ禍で面会時間は13:00-17:00の間1時間のみ。10倍粥2匙で入院したため、看護師さんに退院後の離乳食が不安だと伝えたら、入院も1ヶ月を超え母子の愛着形成を行う必要が有る観点から、特例で夕方の離乳食を与える許可をもらえた。
17:00で面会を終え、一度外で待機し、18:00前に再び病室へ移動。沢山お口を開けて食べてくれて嬉しかった。
お見舞い最中に胸に入れているCV(中心静脈カテーテル)用のテープの切り方を学んだ。売店で指定のテープを購入して、切る練習をする。
2021年9月18日(入院34日目・寛解導入相A19日目)
プレドニン投与。
抗生剤が効いて、熱は下がった模様。
CV用のテープを切って貼る練習をする。難しい。
2021年9月19日(入院35日目・寛解導入相A20日目)
プレドニン投与。
いつの間にか腕の力で方向転換ができるようになっていた。
2021年9月21日(入院37日目・寛解導入相A22日目)
プレドニン投与。
CV(中心静脈カテーテル)には治療中は点滴がつながっているものの、休薬中は管がぷらぷらしている状態。血液が固まらないように、2日に1回ヘパリンロックと言って塩化ナトリウム(体液に近い塩水?のようなもの)を入れる必要がある。退院後も親がちゃんとできるように、ヘパロックの手解きを受ける。気泡が血管に入らないように抜くのに四苦八苦。
2021年9月22日(入院38日目・寛解導入相A23日目)
プレドニン投与。
離乳食のトマトは口にして1秒後に「酸っぱーい!」という顔をして、それがなんとも言えず面白く、何度もあげてしまった。
2021年10月8日(入院54日目・寛解導入相A39日目)
プレドニン投与。
血液の数値が回復したため、クリーンウォールから出れることになった。今後はここまで血液の数値が悪くなることはないそう。
2021年10月11日(入院57日目・寛解導入相A42日目)
プレドニン投与。
今日で寛解導入相Aは終了。画像検査などはしていないものの、入院当初と比べて明らかに回復しているので、このまま次の治療である早期維持相Aに入ることが決定。
治療前はすごく長く感じた6週間だったけど、あっという間だった。