アール座読書館で。日常との境界線についての散文
アール座読書館で、吉田秋生の「櫻の園」を読んでみた。
そして、何気なくお店の自由帳(お客さんが自由に書くノート)を読んでみた。
内容は詳しくは書かないけれど、まるで櫻の園と同じ世界にいるような、一本の線で繋がっているような感覚がした。でも、自由帳は誰かの書いた、書かずにはいられなかった言葉。
現実は小説より奇なり。というけれど、それとは逆に、「現実の奇」(それも他者から見ればごく日常的に写ってしまう出来事)を漫画として表現したものが櫻の園なのだろうと思った。
そして自由帳に書かれた「現実の奇」は現実であるだけに苦しい。その苦しさを決して大声で表明しないという優しさを纏って、ここの自由帳の中に詠み人知らずとして、静かに佇んでいる。