見出し画像

おやすみ最推し、さよなら前の私


今思えば酷い悪夢だったなあと思うし、どん底の時って人生が転期という言葉どうりだなあとも思う。
こないだ、22年間生きてきて一番心を殺られた日があった。少し自分語りが入る、了承願う。

当時私は某アイドルゲームにハマっており、数年にわたってプレイしていた、およそ課金額は200を超えるだろう。盲目になるくらいハマり、新規カードが出る度課金許可の顔認証を繰り返していた。

待ちに待った、私の最推しのイベントが始まる噂が流れていた。最高に興奮していたし詳細が出る日を今か今かと待ちわびていた。
……だからこそだったんだ。期待して、こうあってほしいなどと思ってしまっていた。故に、私の期待は簡単に後に裏切られることとなる。
扱いが酷すぎて受け入れられないイベント内容と現実、それを楽しみとみんなが言ってるのに私は全く受け入れられず実に苦しかった。どうして、なにか悪いことした?……なあんて、なんかもうクソほど病んだし、全部どうでもいいなとか、喜べなくて申し訳ないとか腹が立つとかムカつくとか色々と感情がぐっちゃぐちゃでその日から眠れなくなった。何も食べれなくなった。

しかし、音楽だけは相変わらず愛していたのだ。インスタで流れてきたカバー動画を見ていい曲だな〜なんて本家のところに聞きに行った。しかしピンと来ない、まあバンドってこんなもんだな、なんてクソみたいなこと思って覗いたコメント欄に”このグループなんかクリープハイプに似てる”と書かれていた。

……クリープハイプってなんだ?なんか語呂が良いけどどんなアーティストなんだろう、バンド?アイドル?なんてくらい私は全くアイドル以外詳しくなかったのだ。
しかし多分既に惹かれていたんだろう、なにかに引き寄せられるようにクリープハイプを検索したのだ。
”おやすみ泣き声、さよなら歌姫”というMVを再生してみた。なぜならマイクを片手に持つサムネが印象的で、女性バンドか〜!なんて思ってたし今じゃ実に笑えるな。

喧しい蝉の声が聞こえて、写っている男性がプレイヤーを叩き付けた。えっ?なんて思っているうちに切なげなイントロが流れドラムが入り世界観に一気に虜になった。

先に言っておくが、私は声フェチであり低音が大好きな人間だ。だから歌い出しで耳に飛び込んだ歌声に正直驚いたけどめちゃくちゃ、そう。めちゃくちゃにドキッとしたのだ。恋や焦りとは違うドキッとした、心臓をぶち抜かれたようなドキッ、だった。ギクッ、かもしれない。ギターを弾く男性が出てきてよりドキッとした。なんだこれは、なんだこれは!

さよなら____その声がなんだか本当に切なくて、初めて出会ったバンドなのにいきなり別れを告げられたような気持ちになった。今思えば出逢えたと言うより、見つけれた様な気持ちで居心地が良かった。
てか、どこがあのバンドと似てんの?ってくらい唯一無二の音楽過ぎてクラクラした。酔った感覚に近い。

夢中で他の曲を聞き漁った、サブスクも登録して片っ端から毎日聞くようになった。どの曲も唯一無二のメロディに歌声で最高に涙が溢れた。嬉しかったんだと思う、出逢えたことが。

それから毎日毎日聞いて、歌えるようになりたくてサビだけでも何度も再生して口ずさんだ。段々歌詞を覚えてきて、脳内に自然にながれるようになった。
それまでゲームの音楽や洋楽ばかり聞いていたのが一気にクリープハイプというバンドに埋め尽くされたのだった。まるで、クリープハイプという音楽しか知らない子のように聞いて歌って音に乗って頭を降って、音を楽しんだ。ああ、これが真の音楽かと22年生きて初めて感じた。

室内で聞くだけには足らず、外でも聞きたくなりイヤホンをして毎日散歩をするようになった。日光を浴びながら四季を聞くのがたまらなく好きだ。
クリープハイプを聞く、そのために起きるようになった。気がつけばアプリゲームは開かなくなったし、泣かなくもなった。ぐっすり眠れるようになったし、明日は何を聞こう。明日はこれを歌おうなんて毎日が一気に虹の色に変わった。

そんなある日、いつもより3時間も早い9時に突然目が覚めた日の事だった。9時に起きるなんて何ヶ月ぶり?ってくらい久しぶりで何となくTwitterを開くと、おすすめツイートにクリープハイプの公式ツイートが流れてきた。10時から一般販売を開始する、と。
私はこの時のことを後世まで語り継ぐ予定なのだが、確実に運命だったと思う。見事チケットを得ることに成功し3月26日を待つ。

( 繰り返して言うが、私は今までずっとアイドルオタクで1人でライブなど行けない人間である。)

1人で会場に向かった。不安だったし怖かった。上手く乗れるかな?どんな風に見るんだろう、どんな感じだろう、あの掛け声言えるかなとか、バンドって怖いのかなとか。しかし正直言うとそれよりも生で聴きたいが遥かに強かったのだ。
悪夢を虹の色に変えてくれたクリープハイプとやらを絶対目にして耳で聞きたい!と死ぬほど思っていた。

不安と期待と雨が入り交じった中、入場して会場に入るとオーケストラのような音楽が待ち構えていた。
ドキドキした。めちゃくちゃドキドキしていた。
オーケストラの音が徐々に大きくなり、大きな音で暗転。少ししてボーカル、尾崎世界観の声が聞こえた。
……マスクをしていて良かったと思った、何故なら喉の乾きで暫く口が半開きになっていたことに気付いたからだ。

なんだこれ。

マジで、知らなかったこの気持ちも光景も、姿も脳内がおかしくなったかと思ったし薬でもやったのかと思うくらいぶっ飛んだ。最高以上に最高だった。絶頂に達するような、絶頂寄りも上に上がってしまったというか。最高に気持ち良かったし、脱皮したような感覚だった。
沢山履修していてもまだ知らない曲があったが、どれも全部懐かしく、音を楽しめた。なんて曲なんだろう?と毎回思ったし2番のサビでも音に乗って余裕で手を挙げていた。だってあの声で、ベースで、ギターで、ドラムならクリープハイプが演奏してるんだもん、最高でしょ。

少し前の私は周りと同じでいたがり、安心を感じていた。人目を気にしてやりたいことを上手くやれない人間だったのだ。そんな私が、”クリープハイプを聴きたい”その気持ち一心で1人でライブ会場に行ったのだ。
宗教勧誘じみたことを言うが、ライブに行ってから恐ろしいくらい人生が好転した。自分の気持ちに素直に従えるようになったし、好きを追求できるようになった。もちろん、躊躇うこともまだまだある。しかし、確実にクリープハイプのおかげで私は強くなったし成長したと思う。もうとっくにあのアプリゲームはアンインストールした。

音楽、とは音を楽しむことだけだと思っていたが、クリープハイプに出会ったことにより、音楽とは、音で人生を楽にするという意味を加えることにした。

おやすみ最推し、さよなら前の私。
極上の音楽をありがとう、クリープハイプ。これからの人生が楽しみで仕方ないよ。



#だからそれはクリープハイプ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?