(短編) ウソ
「ねぇ。今日エイプリルフールだから私ウソつきたいの。私がウソつくから、あなたもウソついて。」
「えっ。なんだよそれ。」
「いいから。あのね、実は私お姫様なの。」
「ふーん。お姫様もOLやる時代なんだ。だったら俺のじいちゃんカッパだよ。」
「えー。あの髪型になっちゃうのは嫌だな。でも、私も宇宙人だし人のこと言えないか。」
この後も、彼女は複数人と浮気してるとか、俺も目からビームが出せるとか、たわいもない時間を過ごした。
それから半年後、満月の夜に彼女は突然俺の前から姿を消した。
あの日、俺が馬鹿なウソをついていた時、彼女がどんな顔をしていたのだろう。