(短編) 芙蓉
「ねぇ、君。なぜ、ここにある他の芙容の花は白いのに、この株の花だけピンクなのだと思う。あのピンクの花の下には美しい少女の死体が埋まっているさ。花の咲く時季になると、少女は花の前に座り自らを栄養に咲き誇る芙容を眺めるんだ。」
「へぇ。そうなの。なんか可哀想ね。」
「僕もそう思うよ。ずっと一人ぼっちで。」
「そう思うなら、あなたも私の隣で咲いてくれる。」
「やっぱり覚えていないんだね。僕なんかに花は咲かないよ。君の美しさを永遠にしたかったのに、僕が埋まったら、また君を枯らしてしまう。」