小木曽雪菜を語りたい
きた。
ついにきた。
「そう、こういうの!こういうの待ってたんだよ!」っていうお題が。
ずっとnoteで紹介したいと思っていたアーティストが私にはいる。
私はリアルの場で「好きな歌手は?」と聞かれるといつも返答に窮してしまう。
なぜなら、まともに答えれば「え?誰それ」となってしまうし、自意識の高い私ならではの感情だけれど「なんか通ぶってるヤツだな」と思われたくない。洋楽とかの場合は特に。
どうやら、アイドルならTWICE、歌手なら米津玄師、歌い手ならまふまふと言ったように、ネットメディアの充実によって音楽というジャンルは大きく広がっても、人々が好きになる範囲というのは変わらないものなのかもしれない。
そういう風に思うからこそ、自分の好きな事柄だけ語っていればいいネット空間というのは、ニッチな歌が生き延びる場所でもあるなと思う
王道コンテンツよりも、ニッチなコンテンツに惹かれやすい私は、たびたび自分の好きな作品をツイッターの検索にかけて、その作品を追う人々の少なさを憂いもし、どこかで「この作品を知っているのは私の周りにはいないんだろうな」という感情は、私の独占欲によく効く。
ということで今回紹介するアーティストの話である。
私にとっては、いわゆる”初めてのCDを買った歌手”というヤツである。
もっともMP3の音源と明かしてしまっては味気ないが。
彼女の名前は”小木曽雪菜”。
小木曽雪菜は何者か
もちろん、あまり世間一般には有名ではないはずだ(有名だったら前置きはなんだったのということになるしね)
有名ではない=人気がない=実力がない、という図式がある程度正しいことは承知の上だが、小木曽雪菜に関しては実力があっても、有名になって人気も出るという宿命を最初から与えられていなかった。
彼女の出身は、18禁の美少女ゲームである。
名を「WHITE ALBUM2」という。
このWhite Album2は美少女ゲームの中ではかなりメジャーなもので、のちにラノベ作家としてもアニメ化&映画化もされているシナリオライターさんの書いた傑作として知られ、「エロゲー おすすめ」で検索すれば数々の記事でトップランクに入るほどのゲームだ。
作品中での小木曽雪菜はメインヒロインとしての立ち回りだ。あらすじを簡単にするとこんな感じだ。
主人公が所属する軽音楽同好会は、高三最後の文化祭を目前にボーカルの女子がサークルクラッシュしたおかげで空中分解、ライブの出演が危ぶまれる事態に陥ってしまう。
自分が詞を書いた曲を演奏したいと願うギターの主人公は、諦めきれずに同学ミスコン二連覇中のヒロイン小木曽雪菜と、ピアノの天才冬馬かずさを誘ってライブを行おうとする。
ハイパー簡単なあらすじなため、ぜひ他のサイトなんかも見て欲しいが大筋はこんな感じ。
ゲームのキャラクターが歌?と思った方にはお分りいただけたと思うが、小木曽雪菜はここで即席バンドのボーカルという役回りだ。
もともと、歌うことが大好きで一人カラオケを誰にも言えない趣味として持っていた雪菜が見初められるシーンは私のお気に入りだ。
バンドが空中分解し、文化祭へのエントリーに諦めをつけた主人公が、最後の演奏と決めてギターを奏で出す。
そうすると、どこからか済んだ歌声が聞こえてくる。
声の出どころを探して主人公が屋上へと駆け上がるとそこに、夕陽をスポットライトに受けたヒロイン・雪菜の姿があるのだ。
歌手・小木曽雪菜の魅力
ここでは具体的に小木曽雪菜の魅力を紹介せんがため、三曲紹介したい。
まずはこれ、「POWDER SNOW」である。
まだうら若き時代、アニソンメドレーなんかを聞きながら勉学に勤しんでいたところ、この曲は耳にしがみついて離れてくれなかった。
YouTubeのメドレーだったため、いかんせん曲名が分からずなんとかコメント欄が目星をつけて検索したのが、全てのきっかけと言っていいだろう。
さて、この「POWDER SNOW」はWHITE ALBUM2の前作(と言っても世界観を引き継いでいるだけで、全くの別物)であるWHITE ALBUMに出てくる曲を小木曽雪菜がカバーした格好になっている。
原曲とは違い、サムネイルにあるように、アコースティックバージョンなんだがこれが最高だ。
落ち着いた音色が聞き手の感覚を研ぎ澄まし、歌詞の内容が深いところまでスーッと入ってくる。
良すぎて良すぎて、友達に半ば強引に聞いてもらうというめんどくさいオタクに一時変身してしまったこともある。
二曲目はこの「悪女」である。
「まりこの部屋へ〜」から始まるこの歌は紛れもなく、あの中島みゆきの名曲であり、どうしてエロゲーに?と思われるかもしれない。
「悪女」は作品の中で、カラオケでの雪菜のレパートリーの一つとして出てくる。
名曲を女子高生という設定でフレッシュに蘇らせている、聞き逃せない一曲である。
最後は「ヒトリ」という曲だ。
これは同じ制作会社から出た「天使のいない12月」というゲームのエンディングテーマである。
好きなところはやはり歌詞だろうか。
「言葉一つで大切な人を傷つけていた 子供のような恋はもうしたくはないの」
というサビの歌詞なんだが、「天使のいない12月」というゲームのことも「WHITE ALBUM2」のことも、というか世の悲しい恋愛全てに普遍的な詞であり、お気に入りである。
そして最後の
「波の数ほど 思い出は溢れてくるけど あなたの笑顔 今はもう思い出せない」
という歌詞も良い。
恋に破れた雪菜が記憶の隅からも全てを消し去ろうとしているところなのかもしれない。
声優・米澤円について
これまでアニメ・ゲームのキャラクターを主語に書いてきたが、もちろん演者さんがそこには存在する。
この小木曽雪菜を演じているのは、「けいおん」でも知られる米澤円さんだ。
歌唱に依るところが大きい役柄だと思うが、素晴らしい演技・歌唱だと思う。
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