脳

「ダイバダッタ」の記憶

一説によると、人間は色々なことを忘れたと思っているが、実は生まれてから今日までに見聞きしたすべての出来事を記憶しており、何かきっかけがあればそれを思い出すことができるそうだ。昨日、それを実感する出来事があった。

3月30日の日経新聞「半歩遅れの読書術」という小欄に、『ユダの裏切りは、ブッダにそむいたダイバダッタの翻案かもしれない。』という一説を見つけた時のこと。「ダイバダッタ、え?」全く知らない言葉のようで、そうではない。いつかどこかで聞いた気がする。どこだったか?すると、頭の中に「ダ~イバ、ダッタの魂やど~し~」というフレーズが浮かんだ。「でもこれは何かの歌の途中だ。冒頭は?」と自問すると、次の瞬間、「インドの山奥で、しゅう~ぎょ~をして」というフレーズが鳴り響いた。これは何の主題歌だったか???

急いでググったところ、レインボーマンという特撮テレビドラマの主題歌であること、そして1972年から1973年にかけて放映されたものであることがわかった。しかし、私にはこの番組を見た記憶がほとんどない。だとすると、当時まだ小学校低学年だった弟が見ており、その主題歌を聞いていたということか?

それにしても、46年もの間、まったく意識に上らなかった「ダイバダッタ」という単語を目にしてからレインボーマンの主題歌を思い出すまでに要した時間はものの数秒である。驚くべきは脳の働き哉。今まで潜在意識の奥深くに眠っていた記憶が、日経新聞のコラムによって呼び覚まされたのだ。

昨今の脳科学の発展には目を瞠るものがあるが、全容の解明にはまだまだ長い時間が必要かもしれないと思わされる出来事であった。

現在、読書中の脳科学の本: 「9つの脳の不思議な物語 (文春e-book) Kindle版」

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