人を崇めることと卑下/フラットに
医師という職業は人間社会に不可欠で尊いことは言うまでありません。医師になるには熾烈とも言えるトレーニングを経て厳格な試験に合格しなければなりません。しかしながら、一部の医師によるハラスメン=ドクターハラスメント(ドクハラ)が行われていることも事実です。こんなことがあるのかと思われていますが、医師とて生身の人間です。そのために訴えられたドクハラ医師向け専門弁護士事務所があることはドクハラ件数が少なくないことを示しています。ドクハラについては自らが医師である土屋繁裕氏が以下のように記しています。
(1)診療・診察の場で、医師が患者を傷つけるような言動をとること。
(2)外傷後ストレス障害 (PTSD) につながることもある。
(3)ドクハラ医師が増える原因として、医師(医学の玄人)と患者(素人)の間におけるパターナリズムや情報の非対称性、患者から感謝される機会が多くしだいに奢ってしまう心理状況、親や先輩の影響で自分達が特権階級だと勘違いしてしまう狭い価値観、医療社会の閉鎖性、あるいはマンパワー不足の現在の医療制度問題、医師としての評価に患者からの信頼度が含まれないなど、様々な要因がある」
医療過誤が頻繁に発生しており医師任せにする時代ではありません。無知に甘んじることは自らの身体を危険に晒すことにさえなります。そして真摯に医師と対話する気概を持つことが必要です。それでその医師が機嫌を損ねるのであればその医師はここで述べている意識の持ち主です。彼らは誇りを持つことを差別に連動させているようです。本来医師とは人間を見て接し対峙し会話する職業であり人間力が必要なことは言うまでもありません。
「俺は偉いオーラ」を放つ医者は多くいます。しかし、いつのまにか自然に尊敬してしまう先生もいます。
数年前「患者様」という呼び名が生まれました。奇妙です。立場のアンバランス是正かもしれませんが取ってつけています。対して古くからある「お医者様」は死語ではなく今もよく耳にします。個別のコミニケーションなく無闇・極端に人が人を崇める精神は卑下の精神と表裏一体です。人との関係に上下を作りたがる意味で同じです。フラットで良くありませんか?
引用文献
[1]土屋繁裕『ドクターハラスメント - 許せない!患者を傷つける医師のひと言』扶桑社、2002年。ISBN 4-594-03729-1。https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ドクターハラスメント
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