68. ふゅーじょん?!
毎朝、家族を送りだしたら家事をする前に全身をゆるめるルーティンを始めて仕上げに呼吸やその他を整えたり短時間の瞑想をするのが日課になっているのだけれど、この瞑想に入ると必ずと言って良いほどぶっ飛んでいくのが小さな入り江状になっている砂浜の上で、ここのビジョンが現われ始めた頃は自分以外誰もいなかったのに、ある時期からかつて一緒に暮らしていた猫や犬たちがいるようになり、今では背後の岩場に顔も関係も不明のご先祖様らしき存在までが『空』の状態で点々と座っていたりする。
寄せては返す地球の呼吸音を彼らと共に聞いていると、ヒトと四つ足、見た目が違うだけのボディも、ここでは、誰もが寸分たがわぬほどよく似た質量で存在しており、魂においては本当に『きょうだい』であることを実感させてくれる。
過去世からの相棒犬テンは、ここでも安定のクールビューティを貫き、視線も合わせず水平線をジッと見つめていつも隣にいることが『答え』であるはずなのに彼女への懺悔や後悔をチクリとした刺激として感じてしまう。
先日も男前ニャンコのシーナをヒザに、太陽の申し子のようだったシェルティ犬メイさん、その反対側にテンと、これまたお決まりのフォーメーションで水平線を見ながら地球の呼吸音を聞いていたら何の脈絡もなく、
もう、ただ自分のまま光ってりゃイイんじゃね?
と思えて自分の本当の光を感じてみようと胸のあたりにフォーカスすると、
モミジバフウノ実のトゲトゲをきゅぴぃ~ん☆と伸ばしたような形状の、あえて言うならゴールドっぽぃような、プラチナっぽぃような言い様の無いメタリックな発光をしていた。
これまで自分の光として見ていたものとは形状も色も全く違うもので、ついに本性(本氣)を見せる氣になったのだなと感じた。
この世界では、何かを成す者が称賛に値する者とされるから、誰もが何かを
成そうともがいているのだけれど、その『成す』という幻想に付き合う氣力も失せてしまったがゆえに、そのまま光ってりゃいっか‥と思ったところで本氣を見せるとは謎ながら、この世界の幻想の渦に翻弄された時の灯台的な役割として有効利用させてもらうことにした。
ふとした時に思い出しては、本氣の光を確認をするのが日課になりつつあった先週、あの入り江でいつも通りに波音を彼らと共に聞いていた時、テンの
顔がいつもより近くにあったので手を伸ばして背中を撫でようとした時、
アラ ?!
ぇ? おそろい??
なんと! テンの胸にも全く同じものが光っている。
これの意味する所は分からないけれど、輪廻というファンタジーの中での
目印的なものなのかもしれないとは思った。
彼女と自分の光を交互に見ていたら‥ ん? ん? んんーーーっ?
両者のボディが半透明化するのとは対照的にトゲトゲメタリックの光度が増して互いの光が共鳴しているのを感じた瞬間、シューッ!とテンと自分のボディが重なってテンが自分の中に格納された。
あらためて確認するも、やはり、テンが自分の中にいる。
ほぇぇぇ ナニコレ‥‥
彼女的に自分の中に居るってのは不本意なんじゃないかしら?
飼い主としても友としても褒められたモンじゃなかったからねぇ‥
コアの領域では幻と分かっていることも、自我の領域になると自分次第でもっと良いコミュニケーションが取れたはずと後悔と懺悔の思いが溢れ、自分を許せないままになってしまうのを何とかしたかったのは事實だけれど、 この現象をどう解釈すればよいものかと考えていると、
統合
とコアが呟いたので「統合なんだ‥‥」とオウム返しのように呟いて自分の中のテンを感じたら、長年抱えて来た後悔や懺悔の存在感が薄くなっていて彼女とようやくちゃんと繋がれた氣がした。
過去世では、これ以上ないってほどの絆を感じていたのに、その絆の感覚が今生は自分のせいで味わい切ることができず不完全燃焼で終わってしまったと後悔していたから、これが救済であることは紛れもない事實で、これにより、またひとつ幻想が終わって行くことに安堵した。
そして何より、何処に居ても行ってもテンと一緒に『在る』という感覚が愛おしいほど柔らかくて温かい。
「また会おうね♪」なんて言わない。
もう分離なんて二度とごめんだからね。
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