「命の光に向かって 感謝の気持ちを胸に」物語?作:サクラ
今日は「命の光に向かって 感謝の気持ちを胸に」という物語を朗読したいと思います。
四つん這いで進みながら、明るい光の先を目指していた。
そこはどんな世界なのか、まったくわからなかったが、ただ明るい方へ行こうとしていた。
急に進む方向がわからなくなり、心はパニックに陥った。
前に進もうとすると苦しさは増していった。
しかし後ろに戻ることは考えなかった。
息はどんどん苦しくなって、意識が遠のいていく。
出口は・・どこにあるのだろう。
出産予定日をかなり過ぎていたお母さんのお腹の中に、その赤ちゃんはいました。
そしてある春の日、ついに赤ちゃんはこの世に生まれました。
皆が赤ちゃんの第一声を聞こうと耳をすませていましたが、その赤ちゃんは生まれた瞬間、息をしていませんでした。
背中を叩かれても、その赤ちゃんは泣くことができませんでした。
もうダメか、一度は諦めかけたその瞬間、看護師さんがその赤ちゃんを逆さにして背中を強くたたきました。
すると、突然「おぎゃー」と泣き声が響き渡り、ピーンと張りつめていた空気が割れ、その大きな産声にお母さんは涙を流しました。
その赤ちゃんは小さかったけどとても活発で無事に成長し、元気な大人になっていきました。
しかし、今でも狭い空間にいることが苦手で、あの時の息苦しさが蘇ってパニックになることがありました。
その赤ちゃんの人生は、あの春の日に始まりました。
今日まで生き抜いてこられたのも、あの時助けてくれた看護師さんのおかげです。
赤ちゃんはいつも命の光に向かって進もうとしています。今までも、そしてこれからも。
そう、その赤ちゃんはもちろん私のことです。
今日もお聴きくださり有難うございました。