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母が使い、父が使う台所、そして
実家の台所を整理した。
最近家事をするようになって、ふと気になったからだ。
台所事情が分からなければ、献立を考えることもできない。
私は、いわゆる『他人の台所』に足を踏み入れたのだ。
他人の台所を整理していると、様々な気づきがあった。
私は2年前に母を亡くしているのだが、まだ母の片鱗が台所に残っていたのだ。
とはいっても、母は整理整頓や掃除ができない人だったから、謎のストックが膨大にあった。
ココナッツミルク缶4個。
シナモンパウダー2瓶。
チリパウダー2個。
すべて未開封。
安いからと言って無暗に買うべきではない。
ほしいからと言って大量にストックしてはいけない。
母は死んでも私にたくさんの教訓を教えてくれるのであった。
母が亡くなった後父が家に来て、2人暮らしになった。
つまり、現時点で台所は父のものである。
冷蔵庫を探っていると、豚バラが大量に出てきた。
父は豚バラが好きだ。
台所を覗くだけで、使用者のプロフィールが垣間見えるのは何とも面白い。
私は今まで家事をしてこなかった。
誰かがやってくれると思っていたからだ。
しかし、そうではないと気づいてからは、家事の種類を調べ、頻度を知り、実際にアクションを起こすようになった。
父は仕事がある。私は療養中ではあるものの、無職だ。
父が安心して帰れる家を維持すること、それが私の今の目標である。
家事は面倒だ。だが、こなしていく度にすがすがしい気持ちになる。
夜は私が献立を考えて、父と一緒に料理をした。
食べながら、今度からは私一人で料理をするよ、と父に伝えた。
今までの私を知っているから、父は戸惑いながらも嬉しそうだった。
初めて一緒に作った料理は、素朴ながらもとても美味しかった。
台所を自分色に染める想像をしつつ、私は明日の献立を考えるのであった。
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