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「結果が出ない焦り」と向き合う方法

柴田(@4bata)です。連休なので、適用範囲は広いけどすぐに役立たないことを調べつつ、自分なりに言語化します。

やりたいこと「一定の経験や学習量を超えるまでは全く答えが見えず、ある日突然答えが見える経験」の言語化

2019年の10月に、今働いている会社で管理部門全般の責任者になることが事実上決まった。2021年の5月現在、「やっと、担当範囲の全体像がつかめてきたぞ、あと少しで、施策の優先順位等をつけられるな」という手応えを感じている。ここまで1.5年。この前にやっていた人事職でも、2年ぐらい同じように試行錯誤をしていた期間があったので、個人的には焦りはなかった。ただ周囲を見渡してみると、「2年ぐらいは結果でないけどやってみるかー」というスタンスで仕事に取り組める人ばかりではない。なので、言語化してみたい。

よくある「努力と結果は比例しない」の説明。これも現実とは違う。

よくある説明図。頑張った分だけ比例して成果はでない、という図だ。しかしこれだけでは物足りないと感じて、もう少し調べた。

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達人のサイエンス」という本を読み直した。ここに書いてある図のほうが現実に近い。

現実:理解したと思っても、やっぱりわかってなかったところが見えてくる。そして、学習の停滞期間はものすごく長い。

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①「短期間の上達スパート」がある
②上達直後、わかったと思ったけど、やっぱりよくわからないところもでてくる(でもその前の停滞よりは、上達している)
③再び、先の見えない長い停滞が始まる

重要なのは「わかったと思ったけど、やっぱりわかってないかも」と、一度下降するフェーズだ。学習における「試行錯誤期間」を表現する図としてふさわしい。その後上下を繰り返し、最終的に上達期間前の「停滞ライン」よりは、できることが増えている。

余談:試行錯誤期間中の情報をオープンにしすぎると社内が混乱する

個人的なここ2年での失敗のひとつ書く。この上下している間の「試行錯誤中の内容」は誰とでもシェアするべきではない、という点だ。何でも情報をオープンにすればいいわけでもないのだろう。未決定事項まで社内に全部オープンにして、かつ混乱しないという状況を維持できている会社はすごい。私にはまだその能力はない。「ある程度固まるまで待って」というスタイルのほうがいいのだろうか。まだよくわかっていない。

本題:結果が出ない長い停滞期間にどう向き合うか

結論を書くと「成果が出るかどうかに関係なく、プロセスを楽しめ」ということが書いてある。「達人のサイエンス」から。

目標の実現は重要だが、成功失敗にかからわず、人生のプロセスそのもの、今生きていることをどう感じているかで判断されるべきで、努力の成果だけで判断されるべきではない。

しかしこれだけでは納得できない人も多いだろう。もう少し別の切り口で説明したい。これはつまり、アイデンティティーの変化なのだ。行動変化の3つの層(複利で伸びる一つの習慣、という考え方がある。

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たばこを断るときに、「いらないです。たばこをやめようとしてるので」という答えと、「いらないです、私はたばこを吸わないので」という答えは本人の自己認識に差があるというエピソードがわかりやすい。

「結果が出ないことに焦りたくない」というのは、結果の変化やプロセスの変化であり、アイデンティティーとしての変化ではない。「達人」と言われている人達は、停滞中の練習に関する向き合い方が違う。合気道の稽古中のエピソードを引用する。

なんだ、またプラトー(学習停滞)か。よし、こうなったらプラトーにじっくりと留まって稽古をつづけていくさ。そのうち、次のスパート(上達)がはじまるだろう。心の中でこう自分につぶやいていた。これは私にとって、最高に楽しい瞬間であった。
練習そのものが目的となる真剣な稽古を定期的に続けた。急に怠け心がでてくるときもあったが、練習を2時間すれば心はすっかり元気になってさわやかな気分で道場を出るのは確実だった。こうした喜びは上達や目標の達成とはほとんど関係なかった。

個人的な経験としても、人事の時の学習停滞は焦りがあった。今回は「ま、いつか見えるだろう」と学習しつつ、結果が出ていない停滞を楽しめていた気がする。結局「わかった!」となっても、またすぐに停滞が始まることも予想できているし、そのためだけに焦るのもどうなんだろう、というのは感じていた。それをこの書籍は言語化してくれた。

評価報酬制度に、「学習停滞の評価」が考慮されていないのでは。現状は信頼貯金を切り崩す方法でしか対応できない。

達人のサイエンス」においては、クライマックス(=急激な上達)ばかりがもてはやされる現状(1990年代の書籍なので、30年前)を批判している。でもこれ、現状の企業の評価報酬制度でもほぼ同じだろう。結果ではなく、プロセス評価、というのはある。ただ、実はそのプロセスは「既に成果が出ることが見込めるプロセス」のことであり、学習停滞中の状況を肯定するところまで踏み込んでいる評価報酬制度はあまりない気がする。どうだろう。

評価報酬制度にこの考えが反映されてないと、その人の過去の信頼貯金を取り崩して、学習を進めるしかない。私が焦らなかったのも、社歴が10年近くになっているからだろう。評価報酬制度にこの考えが反映されなければ、転職したばかりの社員にこれが許されるとは思えない。

長い停滞期間に対抗する「小さな習慣」

もうひとつ紹介したい。人間には、恒常性(ホメオタシス)と呼ばれる、変化から元に戻ろうとする傾向がある。学習停滞中にこれが発生しがちで、それにどう向き合うか、という話だ。

最も重要なのは「これはホメオタシスだ(元に戻ろうとしている)」と気がつくこと。そして、その上で使える方法として「小さな習慣」というものを紹介したい。「小さな習慣」とは、毎日これだけはやると決めて必ず実行する、本当にちょっとしたポジティブな行動のことだ。(書籍「小さな習慣」もある。)腕立て伏せを毎日20回やるぞ、と意気込んでも続けられない。でも、「1回だけやってみるか」とやるのであれば、結構はじめられる。そして、1回腕立て伏せをやれば、実は5回ぐらいはできる、というエピソードがわかりやすい。

学習の停滞が起き、自分自身が前の状態に戻ろうとしていたら、「ものすごい簡単な小さな行動習慣」を決めて、それだけやるところからスタートするのだ。これは本当に使える。

まとめ:「結果が出ない焦り」と向き合う方法

・結果が出ても、またすぐに次の結果を出すチャレンジがまっている
・次の結果までには「長い停滞期間」があるのがあたりまえ
・つまり人生のほとんどは、停滞期間だ
・だったら、その停滞期間を楽しもう
・どうすれば楽しめるのか?それは、行動習慣の3つの層という考えを知り、アイデンティティーレベルの変化をする必要がある

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柴田史郎
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