焼肉

無になることを望んでいる.

無我夢中という言葉がある.何かに心を捕らわれて,我を忘れるほどに没頭する様だ.僕は無我夢中になり,我を忘れること,あるいはその時間が好きなのかもしれない.

僕は大学院生なので,日頃研究室で研究をしている.その中では考え込むことや悩むことがある.一方で,自分でも驚くほどに集中して,気が付くと夜になっている,なんてこともある.おそらく,その時間,僕は僕でなく,いわゆる考える葦になっていたのだろう.

また,僕の趣味はジョギングやサイクリングである.これらの間にも,同じような時間が訪れるときがある.自分という存在が消え去って,ただ走っている人,ただ自転車に乗っている人になる時間である.

こうやって,自分という存在を離れ,まるで魂と肉体が離れたようになる瞬間が僕は好きなのだろう.だから,そういう時間を求めて研究をするし,ランニングやサイクリングをするのかもしれない.

こんなことを,焼肉を食べながら考えた.そういえば,無になって肉を焼いていた.

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