見出し画像

続・ダウン症のある子は戦わずして普通級に入れないのか

さて、前回の我が家の長男の小学校進学にまつわるあれこれの続きです。

幼稚園の園長先生とも教育委員会とも戦うことをあきらめた我が家は、どうしたか、というと、

引っ越しをすることにしたのです。

職場が近いわけでもなければ、知り合いや親戚がいるとかでもない、縁もゆかりもない地域に住んでいた、という我が家特有の事情もあり、戦わねば普通級に入れない地域を脱してインクルーシブ教育を実施している学校の近くに引っ越そうということになったのでした。

しかし、これが案外難しかった。

インクルーシブ教育を実施している地域や学校なんて全然見当もつかないわけです。

インターネットで探しても、一年限定でやってみた的なモデル校がチラホラヒットするのみという限定的な情報しか得られず、ほとんど当てずっぽう状態で、問い合わせや見学を重ねました。

主人の通勤圏内を広めに設定して、可能性が高そうな都市部の公立や理解がありそうな私立、主人の実家の近くの公立等々当たったものの、「Welcome普通級」な地域って、、ないんだ!という、厳しい現実。

そんな中で本当に運良くインクルーシブ教育を掲げる学校に出会うことができ、年長の秋、なんとか進路が決まったのでした。

ばたばたと家を探して、県をまたいでの引っ越しは大変だったけれど、当時の私たちにとっては、引っ越しよりも住み慣れた地域で戦うことの方がはるかに大変に思えたわけです。

「ダウン症のある子が普通級を希望する」

たったそれだけのことなんだけれど、この希望は、教育委員会だけでなく、周りのお友達と同じことを体験させてくれようと心を砕いてくれていた幼稚園の先生方や地域の小学校の先生方、さらには、とっても優しいまなざしで息子を見守ってくれていたお友達の親御さんたちを一斉に敵にまわすことになるのではないか、と当時は思っていた。

振り返ってみても、「それは考えすぎだった」とも思えない。

卒園式の際、「長男くんがいてくれたからみんなとっても優しいいいクラスだったよ」と声をかけてくれたママ友がいて、「そう言ってもらえてうれしいな。ありがたいな。」と思った。

けれど、うちの息子が小学校でも同じクラス(普通級)を希望していると知っても同じ気持ちでいてくれただろうか。

私が逆の立場なら、自分の子どもの勉強に支障がでるのではと不安がよぎると思う。

少し上の年代の方が「昔はいろんな子がクラスにいて、それがあたりまえだった」とおっしゃっていて、我が家はその状態を望んでいるのだけれど、もう今はそれが「あたりまえ」じゃないんだよね。

分けられることで落ち着いて勉強できるタイプの子ももちろんいるし、うちの子のように周りを真似することでよく伸びるタイプもいる。それぞれに合ったものをチョイスできることが大切なんだと思うのだけれど、その選択肢が必ずしも平等には与えられていない現実が悲しい。

柔軟に、安定的に、子どもにとって一番いいスタイルを安心して選べる世の中になってほしい。切実に。

支援員の数が足りないとか、先生が忙しすぎるとか、現場のいろいろなしわよせが子どもに来ないよう、教育にはお金をかけてほしい、日本よ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?