#5「脾」のお仕事

続いて、「脾」の働きについて整理したいと思います。
脾の働きには、「運化」「昇清」「統血」の3つがあります。
まずは「運化」ですが、運=運送、化=転化や消化吸収の意味があります。
水穀を精微(人体の栄養素)に変化させ、栄養物質や津液を全身に輸送させるということ。
つまり、脾の運化が低下すると、消化吸収能力が弱り、食欲不振や軟便、気血不足による無気力や味覚異常などが起こると考えられます。
また、水液代謝の異常で、むくみ、めまい、喘息、痰飲などが起こります。
つぎに「昇清」ですが、持ち上げる働きがあります。水穀精微や津液を上へと輸送する働きです。内臓を正しい位置に保つためにも脾が正常でなければなれません。そうでなければ、内臓下垂や脱肛、慢性下痢を起こしてしまいます。つまり、私の腰痛も脾が弱っていることで内臓が正しい位置に保てていなかったと考えられます。
最後の脾の働きの「統血」ですが、血脈を統括し、血が脈外に漏れるのを防ぐこと(固摂)で、血の正常な運行を維持させるものです。脾の固摂の働きが弱いと血便、血尿、月経過多、皮下紫斑などが起こりやすいです。
また、脾が弱ると、涎(よだれ)、肌肉、口、唇にも異常が現れます。
つまり、脾の働きが弱ると、栄養が全身に行きわたらず、肌肉が落ちて、やせていきます。また、涎がダラダラと流れたり、手足がだるくなる、口中が乾いて、水が飲みにくくなるという症状も現れたりします。
漢方の診断を定期的に受けて、私は脾が弱いことを実感しました。だから、私にあてはまるものがあります。食欲は至って普通ですが、太らない、年齢とともにやせていくな。でも、これは腎とも関係があるのかな。若いころにレントゲン検査で胃下垂と言われたこともある。今は違うけれども。手足が妙にだるくなる時もある。
今は他の症状が出ていなくても、追々、これらが出ないよう今のうちから養生しないといけないな、と思います。そのためには薬を飲むのではなく、日常生活に薬膳の知恵をちょっと取り入れることが大切だと思い始めました。
さて、私の状態の肝脾不和ですが、どうして、肝と脾が関係するのか、それは五行理論の考えとして相生と相克の関係が大きく影響してきます。次はそれらを整理して、私なりに肝脾不和の薬膳を組みたいと思います。

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