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同人誌の装丁覚え書き2017
2017年発行の同人誌の装丁まとめ。
限度がある!
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/46635815/picture_pc_dd7ecb860765575519b12a425f90e969.jpg?width=1200)
2017/02/11発行
●表紙
用紙:ファンタスウグイス200kg
印刷:4Cオフセット
●本文
用紙:美弾紙フィジー
印刷:墨刷り
●遊び紙
用紙:色上質紙中厚口黄
どうしてもファンタスが使いたかった本。
ファンタスは強い光沢のあるキャストコート紙です。色のバリエーションもめちゃくちゃ豊富で、わりと手ごろな値段で読み手にインパクトを与えることのできる、最高の特殊紙。
コート紙側はあまり印刷に向いていないので、印刷するときはだいたい、裏面の白上質紙の側にフルカラー印刷して、表2にカラーキャストコート面を持ってきます。
印刷面はさらっとした手触りの、発色のいい上質紙という印象。重い色もきれいに乗せてくれます。でも濃い色にしてPPかけないとふつうに背割れします。
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/46635980/picture_pc_e85ac991a0452a3d6aaf3ad6fa54c297.jpg?width=1200)
これは印刷所の製本がかなりかっちりした作りだからなのかもしれない。
ただこの本はデザイン的にもめくったときのインパクト的にも、PPかけなくて正解だったな~という感じ。
表紙をめくるとこうです。
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/46636027/picture_pc_52fd443de1d7b128102d19f0cde6fe56.jpg?width=1200)
すごくないですか?このインパクト。あの配色の表紙めくってこの色が出てくるとは思わないでしょ。色選びが大正解だったんですよ。
メインキャラクターのシャツの色(黄色)と、ネクタイの色(水色)をここに持ってきてます。このキャラがめちゃくちゃトンチキな性格とファッションなので、それを表現したかったんですよね。
いや~ファンタスのぴかぴか、本当好き。色上質の黄色も、こんなに黄色なのかというくらい黄色で良かったです。
本文は印刷所の選べる本文用紙から美弾紙フィジーを選択。水色の本文用紙です。
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/46636376/picture_pc_68ac1b1dc889b53636852b35f28bd0d2.jpg?width=1200)
画像ではグレーっぽくなっちゃってますが、けっこうしっかりした水色です。これもメインキャラのカラーに合わせた色選択。
本文印刷は墨。印刷所の墨刷りの具合と、作画との相性がかなり良かったなという印象です。
印刷会社は安くて早くて特殊紙もいっぱい選べるBRO’Sさん。
https://www.bros-comic.co.jp/
まじで本文印刷のと相性が良かったので、頻繁に使いたい印刷所です。
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おろかものエンドロール
![画像5](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/46636865/picture_pc_b0fa1ee87c9e1240deb1d6fa1412039a.jpg?width=1200)
2017/05/04発行
●表紙
用紙:モデラトーンGAアイス160kg
印刷:4Cオフセット
箔:スカイブルー
●本文
用紙:オペラクリームウルトラ80kg
印刷:墨刷り
●遊び紙
用紙:D’CRAFTフラワー129.5kg
タイトルじゃなくモチーフに箔を押してみたくて出した本。
画用紙みたいな凸凹のある、ざらっとした風合いの紙に箔を押してインパクトにしたいという狙いもありました。
![画像6](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/46637456/picture_pc_66afe7d79b5a97f690f5949a9e7343fc.jpg?width=1200)
モデラトーンのナチュラルな風合いが良いです。箔もきれいに押してもらえて、紙と箔の印象の対比がうまくいってますね。
ただこれも備忘録なんですが、この紙めちゃくちゃめちゃくちゃ滑ります!!!積むのおすすめしません。ミニッツGAより滑ります。これはたぶん、紙のせいというより、紙にインクを乗せたせいな気がする…インクが乗ると、表面がちょっとつるつるするんですね。知らんかった。
売り子に二度と使わないでって言われました(2回目)
遊び紙はずーーーっと使ってみたかったD’CRAFTシリーズの紙。
![画像7](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/46638188/picture_pc_1373ab5ed5c158639142b91a67cf3241.jpg?width=1200)
クラフト紙に柄が空押ししてある、オシャレなエンボス紙です。表紙の紙がナチュラル系だったので、なんとなく印象を引き継ぐようにしました。
いやでもこれ、ほんとインパクト強くていいな。ほかの柄もオシャレなので、ぜひ検索してみてください。
本文用紙はオペラクリームウルトラ。少し黄味がかった、やさしい色の紙です。白い紙にしなかったのは、表紙と遊び紙のナチュラルな風合いを引き継ぎたかったため。全体的にふんわりした感じになりました。
![画像8](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/46638823/picture_pc_48a28b6a9d150d0a4c824055833465ec.jpg?width=1200)
話の内容がちょっと切なくかつやさしい感じだったので、なんとなく装丁と合ってたらいいな~というアレです。
印刷所は特殊紙が豊富なSTAR BOOKSさん。
https://www.starbooks.jp/
いつもお世話になっております。
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INDULGES YOU CAMPAIGN
![画像9](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/46639334/picture_pc_ef11c6a49157d88e49222c106dce84ac.jpg?width=1200)
2017/05/04発行
●表紙
用紙:マルチカメレオンスーパーホワイト180Kg
印刷:4Cオフセット
●本文
用紙:コミック紙ピンク
印刷:墨刷り
●遊び紙
用紙:トレーシングペーパー白
印刷所のサイトを見るたび気になっていた表紙の紙を使いたかった本。
マルチカメレオンスーパーホワイトって何!?つよそう!!気になる~~!!!って思って採用しました。
事前に調べた時点では、「めちゃくちゃ白い紙」としかわからなかったので、とにかく白いんだろうということで、白さを阻害しないデザインに。楽をしたわけではない。
実物を見たところほんとに白い紙で、ちょっと青みがかって見えるくらい。さらさらした手触りが印象的でした。「白い」ってだけであんま特殊紙感はないですね。
![画像10](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/46640510/picture_pc_bf4f894545faba082dab743c37fcd23c.jpg?width=1200)
インクを乗せると紙の繊維が見える。あんまりパキッとした色は出ず、くすんだ印象になりました。やっぱ色沈むね。
使い方としては濃い色を全体的に乗せて、白を抜く感じにしたら印象的になるのかな~という感じ。紙が白いからね。
PPするとまた印象が変わるかも。そもそもPP向きなのかもわからん。気になります。
遊び紙はシンプルにトレペ。金沢印刷のトレペ遊び紙はちょっと厚いイメージ。(ありがたいです)
![画像11](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/46641208/picture_pc_24ed07e5c452b2c68a18dc21eaf2ffc3.jpg?width=1200)
トレペの画像のはずが、表紙の紙の白さが目立つ画像になった。やっぱり白い。
本文用紙はわたしの大好きなコミックピンクです。
![画像12](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/46641569/picture_pc_6a4d31cbd7de077a180c253205394adf.jpg?width=1200)
成人指定本なので、白い紙からトレペ越しにピンク色がのぞくのもいやらしいかなと思って。なのに画像ではぜんぜんピンクが出ない。残念。
印刷会社は金沢印刷さん。
https://www.kanazawa-p.co.jp/
この本のときは墨がちょい薄かったのです。あと上手く使えなかったマルチカメレオンリベンジしたい。
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天衣無縫すべからく
![画像13](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/46642062/picture_pc_3ab0930e44eb90842c864ff60c5e193b.jpg?width=1200)
2017/08/12発行
●表紙
用紙:みすず紙市松<並口>
印刷:4Cオフセット
箔:金
●本文
用紙:OKアドニスラフホワイト73kg
印刷:墨刷り
●遊び紙
用紙:ヴィンテージゴールドアンティーク63kg
和の紙に金の箔を押したくて出した本。
みすず紙という特殊紙を見た時から、和風の本出すときは絶対表紙に使おうと決めていました。和紙に近い質感に、市松模様が透けて見えるすごくオシャレな紙です。
これに金箔を押したらさぞカッコイイだろうと思って。
![画像14](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/46644218/picture_pc_20f9b29c9d37147ba4a4b75fcc1ec2b9.jpg?width=1200)
モチーフとタイトルぜんぶに金箔押しちゃった。最高のやつです。
断裁するところまで箔が押したくて、押せるんかなと思いながら入稿したんですが、普通に大丈夫だった。すごい。
うっすら透ける市松模様がほんとにオシャレですね。だた紙質的に触ってると若干毛羽立つので、気になる人は気になるかも。
色も少し沈みますが、許容範囲内でした。大成功。
遊び紙はヴィンテージゴールド。表紙の金箔のインパクトを引き継ぎたかったのでゴールド系がよかったのです。
![画像15](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/46644795/picture_pc_1da74ec62f5836e95cc5a994c5f8e54f.jpg?width=1200)
控えめにキラキラする渋い紙です。和の雰囲気にもマッチしますね。
本文用紙はアドニスラフのホワイト。アドニスラフは厚くて軽い、コミック向けの紙です。今回は本自体が80ページと分厚めだったので、軽い紙をチョイスしました。
![画像16](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/46645097/picture_pc_6eb1f7752f62309618893a6efa8513ea.jpg?width=1200)
あと、作画というかペンタッチをかなり少年漫画向けに調整したので、粗目の本文用紙が良かった。おかげでだいぶ正解で、ざくっとしたペンタッチによく合う紙でした。
印刷会社は箔の種類は業界一のSTAR BOOKSさん。
https://www.starbooks.jp/
本当にいつもお世話になっております。
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バカとロマンス
![画像17](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/46645430/picture_pc_e4c12e60a25a993a975da53d1173a065.jpg?width=1200)
2017/10/08発行
●表紙
用紙:アートポスト180kg
印刷:4Cオフセット
加工:コールドフォイル加工・疑似エンボス加工
●ピンナップ
用紙:コート紙
印刷:4Cオフセット
●本文
用紙:コミック紙ホワイト
印刷:色刷り(DIC648・DIC579)
●遊び紙
なし
再録集なのでいろいろ新チャレンジしたかった本。
疑似エンボスはずっとやりたいなと思っていて、できる印刷所を探していたらコールドフォイル加工というものに出会ったのです。
コールドフォイル加工は、箔を押すのではなく、箔を貼ってその上に印刷をするという技術。箔押しと違うのは、型を作らなくていいので安価で済むところと、加工面積に限らず料金が一律というところですね。
あと、銀箔の上に印刷をするため、印刷する色で箔表現ができる。つまり何色の箔でも表現が可能。かなり面白いです。
![画像18](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/46646193/picture_pc_c023ab62bce80d20b1ccdc9e2080a3ea.jpg?width=1200)
![画像21](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/46657854/picture_pc_e663bc1113e19b90db6fa9ccd0b41e4a.jpg?width=1200)
表紙はイラストの主線すべてに箔を乗せてます。再録集の文字の背景は赤から青のグラデーションにしてるので、箔もグラデになってますね。わかりづらいけど。
全体の背景は疑似エンボスでデザイン。疑似エンボスは乗せてるところと乗せてないところでツルツルとざらざらの質感の違いが出るので、触るとわかりやすいです。
光を当てるとそこかしこがキラキラするのでめっちゃ楽しい。良い表紙になりました。
疑似エンボス加工はやってる印刷所はけっこうありますが、コールドフォイル加工は今のところみかんの樹さんのみだと思います。これから増えるかもしれない。疑似エンボスとセットでのプランがあるのでおすすめです。
遊び紙をなくしたかわりに、フルカラーのピンナップを挟み込み。これも初めて挑戦しました。
![画像19](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/46647070/picture_pc_5f9f0afa4ed7025cc968547de727ffd5.jpg?width=1200)
表紙開いてフルカラーが飛び込んでくるのはお得感あっていいですね。ピンナップには意識していろんな色を使ったので、華やかになって良かったと思います。
本文用紙はスタンダードにコミック紙ホワイト。
再録集なので、再録する本ごとにインクを色変えしました。青と赤です。こだわり。
![画像20](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/46647371/picture_pc_75c23a539cd1354c4d1fc7b2cc6873b5.jpg?width=1200)
縮小をめんどくさがってB5サイズで作ったので、150ページの本はちょっと読みにくかったな~と思いました。反省。でもいろいろこだわれて良かったです。コールドフォイルはもう一回やりたい。
印刷会社はみかんの樹さん。
https://mikan-no-ki.com/
コールドフォイルは特殊加工故に、表紙だけみかんの樹さんで本文と製本をほかの印刷所に…とかいう融通は利かないので注意。
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2017年は1イベントに2冊新刊という暴挙をやってのけたので印象的でした。
いろいろチャレンジできてよかった。