【東北ひとり旅】突撃!福島の桃農家〜もぎたての桃が食べたいです〜

エピローグ的なやつ

東北ひとり旅でやりたいこと。
見知らぬ土地で知らない誰かと触れ合い、お泊まりさせてもらうこと。

旅を進めるにあたって、小さな叶えたいことを考えておいた。
今日はそのうちのひとつの夢の話。


* * *

大好きな桃の、もぎたてを食べてみたい


東京を出発し、とにかく桃畑を目指した。

宇都宮線の快速ラビット号は思いのほか混んでいて、Tシャツ短パンにスニーカー、リュックを背負っている私はなんだか浮いていて、先行きが少し不安になる。
だが人数は次第に減っていき、黒磯駅で東北本線に乗り換えた時には、各車両に数人だけだった。

ぎゅっと縮こまっていた私はようやくリラックスして、「福島 桃 畑」などと検索しながら、友人のお母さんがおやつにと持たせてくれたおからクッキーを食べた。
福島駅で私鉄の阿武隈急行に乗り換え、目的地にした瀬上という所にたどりついた。

そこは無人駅だった。看板に「りんごの里」といったことが書いてある。

あれ桃じゃなくて林檎・・・あれ・・・

とりあえず駅を出ると早速畑、畑。

桃?

林檎林檎林檎・・・あれ・・・

私はひたすら道を歩きまわり、もうそれは狩人のように(桃の木が分からないから)桃の実を探し回った。

ようやく桃を見つけ、達成感に満ち溢れたわたしは、あることに気づく。

誰もいない。勝手にもぎ取ったら、それは泥棒や・・・。

また歩き回り、ようやく農作業をしているおじさんを見つけた。
“第一村人発見!”の気持ち。(番組違う)
「こんにちは〜」

剪定作業のようなことをしていたおじさんがこちらを振り向く。

「この辺全部おじちゃんの桃畑ですか? すごーい」

たわいもない話をしたように思う。
もぎたての桃を一個売って欲しいと言おうとした時、おじさんはありがたく申し訳ないことに空気を読むことに長けていて、『食べてみるか?』と言ってくれた。
第一村人は神だった。

『ちょっと待ってて・・・』そう言っておじちゃんはいなくなり、誰もいない、周りに何もない桃畑だらけの場所に、ぽつんと一人になった。

祖父母は農家だったが、トマトや茄子、人参にじゃがいも、白菜といった野菜たちで、“木になるもの”は育てていなかった。
視線が下に向くのではなく、上に向くのがとても新鮮で、ぐるぐる見渡した。

私がスーパーで手に取る山積みにされた数百円の桃も、こんな地で、こんなおじさんが、大事に大事に育てた一個なんだ。

そう思うと、今までもワクワクしながら食べていたのに、なんだか感謝が足りなかった気がして反省した。


しばらくしておじさんはナイフと食べ頃の桃を持ってきてくれた。

「美味しーーー!」

桃の果汁がジュワ〜〜っと出て顔をつたっていったのも気にならなかった。


その冷えてはいない桃は、今までに食べた桃の中で一番美味しかった。

縁もゆかりもない福島の桃畑で、農家のおじちゃんににこにこ眺められながら食べたもぎたての桃は、家のダイニングテーブルで食べた高級な桃よりも、ずっとずっと美味しかった。



* * *

この後私は、白石蔵王で泊めてくれる人を探し、号泣することになります。(続)

2.素人が"田舎へ泊まろう"をやったらとんでもないことに…



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野口 桃花
人生第二章を歩むための、なにか"きっかけ"を与えていただけたら嬉しいです!あなたの仕事や好きなことを教えてください。使い道は報告させていただきます。(超絶ぽんこつなので遅くなっても許してください)