【26日目】ミゲル、いやフローレスを探せ ※コクラン自転車修理
【アウストラル街道単発自転車旅日記㉗】
2024年11月2日 走行日のみ→16日目 ※本日走行なし
天気→曇り 気温 最低2度 最高10度
■コクラン 自転車修理のため停滞
後輪が使い物にならなくなったので、アウストラル街道第2の都市コクランで修理できないか駆け回りました。
ただ、コクランは第2の都市???と首を傾げたくなる街で、散策する限り「自転車屋」はなく困難さが漂っています。
まぁ、そんな困難さが「ウォーリーを探せ」的な楽しさを演出してくれるのですが…
アウストラル街道旅の本筋とはズレるけどこれはこれで、なんか楽しいですね。
自転車修理工「ミゲル」を探せ
朝起きて「※iOverlander」というアプリで自転車修理が出来そうなお店を探します。※キャンプ場や宿や病院、ショップなどを探せる旅用アプリ。
画面上に表示されている修理工場のマークを順番にタッチしていくと、自転車を修理してくれそうな「ミゲル」という人物がいることが分かりました。
場所も宿のスタッフが教えてくれた場所と近く、「間違いない」と思い行ってみることに。
このアプリでは実際に利用した人のコメントが記載されているのですが、その文章的にもどうやら修理工のミゲルはプロフェッショナルで、この小さな街で唯一頼れる自転車修理工のような感じです。
是が非でもミゲルに会いたい。いや、「俺の自転車を救ってくれるのはミゲルしかいないんや」と思い、ギゴギゴ泣き喚くチャリンコに乗って向かいました。
ナイスミドルな出会い
チャリンコを漕ぐこと3分ほどで、地図で記される「Miguels Bike Repair」に到着します。
そこにあったのは、昨日僕をコクランまでヒッチハイクで乗せてくれた人が連れて行ってくれたお店でした。
昨日は、その「お店のオーナーらしき人」と僕を「ヒッチハイクで乗せてくれたおっちゃんアミーゴ」が何言か言葉を交わした後に良くわからない肉屋の前に連れて行かれたのですが、その時の会話はスペイン語でよく分かりませんでした。
結局最後まで良くわからない状態で次の肉屋から出てきた人に「チャリンコは修理できない」と断れたのです。
と、昨日のことはさておき僕は再度昨日と同じ店に入り「ミゲルはいますか?自転車修理をお願いしたいのですが..」とオーナーらしき人にGoogle翻訳で伝えます。
すると、オーナーはGoogle翻訳で「彼はもう自転車修理は引退した。そして、ここにはいない」と言うのです。
なんとなく、昨日の車に乗せてくれた「おっちゃんアミーゴ」の行動が頭の中で繋がってきました。
(な、なに…これは困った…最新情報では2024年2月にも修理してはず…)
と思ったところで、道を歩く家族連れのお父さんが「ミゲルか?」と尋ねてきたのでした。
ナイスミドルだぜ。
ミゲルを探すの手伝うぜ
そのお父さんが近づいてきて何やら誰かに電話を始めました。
(お、もしかしてミゲルに電話してくれているのか?)と思ったのですが、相手は「ただのお友達」でした。
「その友達」が英語を話せるようで、「スペイン語しか話せないお父さん」は通訳として彼に電話をしたのです。
そこから、「スペイン語しか話せないお父さん」・「英語を話せるお父さんの友達(スピーカー越し)」・「英語の僕」の会話が始まります。
コクランの寒空の下、スピーカー越しに通訳をしてもらっているなかなかシュールな状況に笑いそうになりますが、【ミゲルに会えるかで僕の命運が掛かっているので】真剣にスピーカー越しから英語を聞き取ります。
その話の流れで、どうやら「お父さん」が車で「ミゲル」がいるところまで連れて行ってくれるということになり、近くに停めていたトラックの荷台に自転車を積み込むことに。「スピーカー越しの友達」が教えてくれた「ミゲルがいるであろう場所」に向かいます。
僕の心中はもう、ミネルヴァさんを探すエマのような気持ちです。まだ会ったこともない救世主に思いを馳せます。※約束のネバーランド知らない人はごめんなさい。
それか、ウォーリーを探せとでもいうのでしょうか。小さな街にいる唯一の自転車修理工を探すのはなんだか宝物を探しているようで「大きな期待と不安」で胸が高まってきました。
(見ず知らずのアジア人のピンチを助けてくれるチリ人は優しいですね。本当に。)
次はフローレスを探せ
車の向かった先は薄々感づいていたのですが、昨日の肉屋さんの前です。
昨日僕が一人で降ろされ「は?何言っているの?自転車修理なんて出来ないわよ」と言われた場所です。
僕の期待がいっきに不安の方に触れ始めます。
車の運転席を見ると僕の不安とは裏腹に、自信満々のお父さんが「ここだぜアミーゴ。ミゲルに会えるぜ」と笑顔でした。※なんか、みんなここにミゲルがいると思っているらしい。でもいない。
(うわー、なんか昨日来たなんて言いにくいわー)と思いつつ、英語で必死に昨日も来た事を伝えようと試みます。
しかしやはり伝わらず、またさっきの「英語が喋れる通訳フレンド」に電話をしてスピーカー越しに三人での会話が始まりました。
説明すると長くなるので詳細を省きますが、その話の流れで次のことが分かりました。
①どうやらミゲルは本当に修理工はもうやっていないということ
②ミゲルの紹介で「アレックス・フローレス」という男が自転車修理が出来るということが分かった
③だけど、アレックス・フローレスの家の住所も電話番号もわからない
④近くにあるレストランに行けば、そこのスタッフがフローレスについて知っているかも
いきなり出てきた「ミゲルの後任フローレス」に一瞬戸惑いましたが、これもまたゲームのようで悪くないなと内心楽しんでました。
④は「いきなり突撃レストラン?」という感じでしたが、小さな街です。どこかで誰かが繋がっているのかも知れません。
しかも、100%言葉が通じ合っているわけではないので細かいことを気にしている場合でもないのです。
「いざ、レストランへ!!」と思ったのですが、ここまで「ミゲル探し」に協力してくれたお父さんは仕事でもう案内が出来ないということ。
急激に心細くなった僕は、お父さんの友達「通訳アミーゴ」の電話番号を教えてもらい最悪の場合直接通訳をしてもらないかお願いしました。すると、ありがたいことに快く承諾してくれたのです。
僕はWhats upに「ismael(イスマエル)※通訳アミーゴ」と名前を登録して、歩いて1分程のレストランに向かいました。
Whats upの登録画面に表示され、初めて見る彼の姿(トップ画)はロン毛で顔が隠されていて、まるでパンクなイエス様のようでした。
頼むイスマエル
「通訳アミーゴのイスマエル」曰く、レストランのスタッフは英語が喋れるとのこと。
でも、実際に行ってみると「全く話せない」感じです。
僕はGoogle翻訳を使って、自転車修理が出来る「フローレス」という男を探しているとスタッフのセニョリータに伝えます。※おしゃれなレストランで、いきなり不躾な質問をする自分がいたく場違いに思えました…
そのスタッフセニョリータは裏に行き確認をしてくれましたが、答えは「フローレスはここにはいないし、自転車修理も出来ない」ということでした。
Google翻訳を介しての会話なので正確さに掛けるもどかしさを抱えながら、一旦レストランの外に出ます。
と、いうよりなんだかその場にいるのがいたたまれなくなったのですが…
でも、(フローレスを逃したらもうやりようがないじゃないか…)と考え直し、イスマエルに電話をして「通訳」をお願いしてもう一度レストランの中に入りました。
その後イスマエルはスタッフセニョリータに事情を細かく説明してくれ、そのお陰でスタッフセニョリータがどうにか「フローレスの電話番号」を入手してくれたのです。
さすが小さな街です。本気を出せば、誰々の電話番号などいつでも入手可能なのでしょう。
最初は困難に思えた「フローレス」の電話番号を本当に入手してくれた時は、「難事件を解決している刑事」さながら、事の成り行きを楽しんでいました。
その後、そのスタッフセニョリータが僕のWhats upからスペイン語でアレックス・フローレスにメッセージを送ってくれました。
あとは、連絡を待つだけだけど…
「ミゲル」を探して、その先に浮上した一人の修理工「フローレス」まで辿り着いたこの日。
宿を出てから2時間ちょっとの出来事でしたが、言葉も通じない顔も見たこともない、レストランに来ても食事もしない失礼な僕をコクランの人々は優しく助けてくれました。
なんだか、この一連の出来事自体が割と楽しく「自転車が治らなかったらどうしよう」という不安を少し和らげてくれたきがします。
といっても、フローレスからの連絡は返ってこないので「どうにか次の手を考えないといけないかも知れない」のですが…
ここまでやって、コクランでの修理が無理であればどうにかコジャイケまで戻るしかないかー。
そんな事を思ったコクラン2日目。(それにしてもコクラン寒いわー。)
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