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【19日目】ジャーリーとカゼツヨスギル街道 ※セロ・カスティージャ〜40km先

【アウストラル街道単発自転車旅日記⑳】

2024年10月26日 走行日のみ→12日目
天気→晴れ(強風いや暴風) 気温→最低5℃ 最高16℃※大体

■ビージャ・セロ・カスティージャ〜40km先のキャンプ場
10時半〜18時半着

10月26日走行ルート

120km走るつもりが40kmしか走れませんでした。(うそーん。という気持ち)

はい。まじです。ではどうぞ。

昨日の続きなのか?いやそれ以上やん…

朝起きた時窓から見た天気は良すぎるくらいで「やっと普通に走れるぜ」と安心しました。

ホテルの朝食。パンにサラミにケーキ。昼食用にケーキとパンを包む。

特に今日は120km先のトランキーロという街に行く予定だったので尚更安心です。しかも、朝食付きのホテル。コーヒーを飲みながら優雅な朝を過ごします。

昨日は後半ほとんど(強風のせいで)押して歩いて104km行っんやしこれならいけるやろー。

と、思って外に出てたら驚愕です。

「バビュンバビュン!!ゴォゴォゴォー!!ジャジャシャー!!」

な、なんやこの風は…(目の前でなぎ倒されるのではというほど傾いてる木を呆然と見上げる)

強風にビビる僕を見上げるホテルの番犬

「お、おい。昨日並やんけ。いや、それ以上かも知れねぇぞ…」

と、独り言を言っていても仕方がないので(晴れてるだけまし。うん、まし)と自分に言い聞かせて出発です。

出発時の綺麗なセロ・カスティージョ


初っ端から10km押しでスタート

割と最初から強風(いや、暴風)に心が折れてたのもありますが、スタートから10km登りで完全に心が折れました。

結構な急勾配だった気がする

当然この10km最初は挑戦して自転車に乗ってみるんですが、如何せん、「カゼツヨスギテ」転ぶは、坂の途中で「カゼツヨワマル」まで棒立ちで直立不動マンをカマスわで全然太刀打ちできません。

気づいたら2時間以上経っていて、こう思ったわけです。

(そういや、30km先にキャンプ場あったような。もう体力限界。今日はそこまで!)

でも、30kmも無理、いやあと20kmも進めんぞワシ…

※冒頭でも言いましたが、今日僕は120km走るつもりでスタートしてます

綺麗なか川の水面。このあたりから本格的に青くなる。強風で水面が揺れまくり。

悪魔のジャーリーの到来です

120kmを30kmに変更した後、さすがに今後の日程も考えて「せめて半分の60kmは行こう!」と気持ちを立て直します。

しかし、気持ちを立て直したのも束の間。

120km走る予定を初っ端から60kmまでに変更したヘッポコチャリダーの僕の目の前に「悪魔のジャーリー」が登場したのです。

俗に言う、未舗装とかダート道とか砂利道とかいうやつです。まぁ、とにかくここでは「悪魔のジャーリー」と呼ばしてもらいましょう。

舗装路の終わりを告げる看板。非情で無情な佇まい。

そういえば、話に聞くところによるとセロカスティージョ以降ゴールまでずっと未舗装と先輩チャリダーから事前に教えてもらっていました。

風が強すぎてそんな事もすっかり忘れていたのです。

未舗装の下り道

「うぁぁぁ。そうだったあぁぁ!!」と心の準備が出来ていないまま、2時間以上掛けて登った坂を下っていきます。しかし、砂利道and風強でハンドルが取られそうになるわ、車は走るはその砂埃は凄いやで怖くてブレーキを握りしめてました。

やっと降りて、振り返ると美しいアンデスと碧い川が出迎えてくれこの瞬間は「あぁ」と感嘆な声がでます。まぁ、この瞬間はね。

綺麗なアンデス

そこから始まる砂利と向かい風の一本道。

「なに!くそっ!」と乗ってはみますが、風に押し返しされるだけでなく右側に押されてしまい側道に溜められてるデカめ石粒達に突っ込んでしまいます。

スピードが出る前に風に吹かれれば、おっとっとと転び掛けます。

この暴風が昨日から休む事なく、ずっと正面から吹き続けているパタゴニアに対して「ちょっとドン引き」し始めた頃にベンチがあったので一休みです。

絶望のベンチ休憩

「ゼェゼェ、ハァハァ」

自転車にも乗ってないし、別に登り坂でもない平らな道ですが息を切らしながらベンチに倒れ込みスマホを確認します。

なんと、下り坂を合わせて5kmも進んでいなくて本日二度目の驚愕と1,000回目くらいの絶望をしました。

「60km目指そう!」と決めた時間から1時間以上経っています。

非常に困りました。120kmはおろか60kmも走りきれそうにありません。

ベンチの壁で風を防ぎながら、仕方がないのでスマホで近場のキャンプ場を探します。

ベンチで一休み

この時点で60kmの走行を完全に諦めました。というより、もし目の前にキャンプ場があれば速攻で入ってしまう勢いです。120km走るなんてどの口が言っていたのでしょうか。

(屋根壁があるキャンプ場。屋根壁があるキャンプ場….)

そう声に出しながら探してると、38km先くらいにあるではないですか!!

38km…ちょっと、遠いけど仕方ない…

時刻は14時頃。よし、いくぞと思い再スタートです。

やっぱり乗れへんのよ

まぁ、気持ちとは裏腹に現実は無情です。

本当にびっくりするくらい「ずーっと同じ調子」で風は吹き続けチャリンコに乗せてもらえません。

砂利道も細かく波打ってガタガタと進みにくいですし、時には歩いてるのに風に押されて側道の大石礫に突っ込んでしまう始末です。

そんな中、5kmほど行った先に外だけど放置されている板とかを使えば風を防げそうなキャンプ場が現れました。

突如現れたキャンプ場

アプリには載ってない場所だし、本当の目的地は30km以上先だけど「もう、いいよね。無理というか、こんな日があってもいいよね。ほら景色もいいし。うん、ゆっくり行くのが旅じゃんか。」

と自分に言い聞かせて侵入してみました。

僕の心的にはもうここに泊まる(14時半だけど)と確信めいた運命めいたものを感じてました。

が、しかし。人がいないのです。母屋っぽいところで「オラ!オラ!オラァォ!(スペイン語でこんにちは)」と叫ぶけど反応がありません。

ちなみに、番犬がいるけど全く吠えてきません。なのに、デカニワトリのボスと子分のニワトリ達が僕に迫ってきました。

ボスニワトリ

仕方がないので、母屋から離れてテントが張れそうな場所で30分ほど座って待ちましたが誰も来ません。

(もうテント立てちゃおっかな)と一瞬思いましたが、やっぱりまだ時間があるので進む事にしました。

もう、風さへ凌げればどこでもいいのでそんな場所を目指して再出発です。
※この待ち時間で38km先のキャンプ場も諦めた。

景色は相変わらず綺麗。地層をむき出しの山々が増えてくる。

いいとこ発見。でもあと少し

そこから30分ほどで野宿場所やキャンプ場が見つけられるアプリ(iOverlander)にも登場する、風が凌げそうな野宿ポイントに到着です。

なんの小屋かは分からないけど、ビール瓶があるので誰かキャンプしてた。

見てください。この完璧な小屋。そして目の前は川です。風がなければすぐ横の木々の間でキャンプもできます。実際、誰かが使った跡もあります。

一瞬迷いましたが、10km先にはちゃんとしたキャンプ場がある事が分かり、迷った挙句先に進む事にしました。

相変わらず、道は悪く風は吹き荒れ、パタゴニアが侵入を拒んでいるかのようです。

パタゴニアサイクリスト対策委員会か何かで「自転車乗りが一番嫌がるタイミングで風を吹かせましょう」と決まっているのでしょうか。

「よし!!漕ぐぞ!!」と自転車に乗ると、そのタイミングで突風に見舞われに転びそうになったり、側道砂利ゾーンにまたしても突っ込まされたりするのです。

側道砂利ゾーン

こいつら、「ジャーリーとカゼツヨスギル街道」かよ。

しょうもないツッコミを入れてみたら、ちょっと元気が出たのでまぁよいとしましょう。(意外と気に入っているのです。)

はい。今の状況での10kmは100km走るような絶望感がありますが行こうではありませんか。

おいおいまじかよ

最初は勢いよく自転車に跨りますが、せいぜい乗れて200mです。

もう、一歩一歩押すしかありません。そして、たまに乗ってまた押すのです。

そうこうしながら、1時間半掛かってやっと9km走りきりました。

通りすがりの車が降りてきてバナナくれた

そして、僕は今日2度目いや3度目でしょうか。何度でもいいのですがまた驚愕をするのです。

「おいおいまじかよ…」

結構キレ気味というか半泣きのような感じで声に出してしまいました。

目の前には1km級の坂。しかも、丘が左に巻かれており終わりが見えません。

「しょうがなねぇ。とりあえず、バナナ食べよう。」

風が止み穏やかに

坂を登り(押して)始めるとこれまで一切弱める事なく正面から吹き続けてきた風が急に止み陽が照ってきました。

耳元のゴーゴーゴーという音がなくなり、身体が陽の暖かさに包まれ「心地よい」感じになります。

風が吹かない。雲りじゃない。ただそれだけの事が登り坂を押していても心地よかったです。なかなかいいですね。

その勢いのまま登り切りゴールイン。

たったの39kmに8時間掛かってしまいました。

峠の中腹に位置するキャンプ場。「中腹のオアシス」と呼んでいる。

今日はほとんど押して進んだチャリンコ旅初日とほぼ同じペースです。

「アウストラル街道第2章始まりやがったな」と、すこしドギマギしてしまいました。

中腹のオアシス

なんで、こんなところに?と言う場所にあるキャンプ場の名前は「Canping Rio Cajon」です。読み方はスペイン語でよく分かりませんが、峠の中腹にあるので勝手に「中腹のオアシス」と呼ばせてもらってます。

ちょっと、やんちゃな番犬達がいますがセニョーラも旦那さんもその家族もチャーミングで最高です。

7,000ペソでテント泊、10,000ペソでマットレス一枚掛け布団付き(室内)と言われ室内を即断しました。

相変わらず、キャンプをしないチャリダーです。

キャンプ場。敷地はめちゃ広いのでどこでも出来る。トイレシャワーは室内の使えると思う
室内、ぶれていてすいません。結構広くめっちゃ居心地よいです。
薪も勝手に使って良いらしい。火遊びできちゃう

今日はそんな感じ。ではでは。ふかふかベッドって最高おおおお。

プチ情報まとめ

◆セロ・カスティージョ〜トランキーロへの道
・最初の10km程登り。
・15km地点からダート、最初は下り。結構砂利が深く車も通るため注意が必要
・そこから、20km程度はほぼフラット。アウステラル街道特有のアップダウンはあるけど、それほど辛くはない。
・車も多く砂埃がひどいので、グラサンとネックウォーマー必須かも。※これがなくてとても体力を奪われた。直顔面に風を受けるのも体力を削られる。
・砂まみれになるから、汚したくないものは袋に入れていた方が良い

◆宿 
テント→7,000ペソ トイレシャワーは室内の使える。多分キッチンも。
室内→10,000ペソ マットレスはあるが掛け布団は厚くないので、寝袋いる。
僕が行った日が電気とホットシャワーがでなかった。たまたまなのかは不明。たまたまっぽいこと言ってたけど。
充電は母屋でさせてくれる。

・番犬が何匹もいて、そのうち4匹(茶色いやつら)を使って山でプーマを狩っているらしい。コイツラが獰猛で母屋に行く途中にオシリを噛まれた。アマガミだったけど、お詫びに母屋でやってるBBQチキンやら白ワインやごちそうになった。移動する時はそいつらが首輪で繋がられてるか注意したほうがよい。あっという間に囲まれる。

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