【最終回】ご厚意で貰い手が見つかる我が相棒たち
2024年11月20日〜21日
ペリトモレノ氷河からの帰り。適当なところでキャンプして、21時に寝落ちして泥のような眠りから目が覚めると4時半でした。
(朝4時?早すぎる…そういや昨日早く寝すぎたから仕方ないか…)と、思ってまた寝ました。
次に起きたときには8時を過ぎていて、あまりの長時間睡眠にビビりながら
外に出ると晴れた草むらがい良い感じでしたね。
とにかく、自転車とサイドバッグが売れたので「この単発自転車旅の終わり」まで書いてこの日記を終了しようと思います。
※リアルでは一週間程過ぎてパラグアイのアスンシオン日本人宿「らぱちょ」さんからイグアスの「民宿小林」さんに移動してきたところ。自転車旅をやめた途端書く気力がなくなってしまいました。まぁ、これもまた人情。やっとゆっくり出来るところにきたので最後仕上げていきます。
膝が痛い帰り道
8時に起床して9時頃に30キロ先のFUJI旅館を目指して出発します。
実は僕が野宿した場所の前の道路は「なかなかの登り坂」になっていて、昨日「うわー、これ朝一で登るの嫌だなー。」と漠然に思っていたんですね。
でもですね、寝て体力が回復した朝一の状態で見ると「なんて、しょぼい坂なんだ…昨日のあれはなんだったんだ…」となりました。
やっぱり、疲れやその時の状況でいろいろな見え方っていうのは変わってしまうもんですな。
そんな感じで、どんどん帰路につきます。
チャリダー達はすごいなと実感
結構前からなのですが、登り坂を漕ぐと膝(特に左膝)に痛みが発症していました。
僕的には単発なので(別に気にしなければ大丈夫)と思っていたのですが、この日はあまりいに痛くて途中漕げなくなってしまったんです。
なんというか、膝がゆるくて抜ける感覚があって力が入らないという感じ。
多分だけど、「毎日毎日チャリンコ漕いでる人」はどこかしらがやっぱり痛くなると思うんです。(知らんけど)
めちゃくちゃハードワークですからね。
そういった、身体の不調も感じながら何年も漕ぎ続けてるチャリダー達はやっぱりすごいなー、と実感しました。
これは本当に。そんなことを思いながら昨日来た道を戻って昼過ぎにはFUJI旅館到着です。
来た道をもどるの大嫌いですが、エルカラファテの街が見えてきたときは「安堵感」という気持ちよさがありましたねー。
この街が見えてくる時の「ホッ」とした感じは、何度味わっても良いものです。
ご厚意によりチャリンコを購入してもらうことに
2日ぶりにFUJI旅館に戻ると日本人管理人の西野夫妻が出迎えてくれました。
エルカラファテを経つまであと2〜3日の間に我が相棒(チャリンコ)の処遇をはっきりしなければいけません。
個人的には購入時「27,000円の自転車と8,000円のサイドバッグ×2」はどうにか売りたいなと思っていました。
とりあえず、エルカラファテは土地柄モノが入手しにくいので買い取りに関しては「どうにかなるだろうな」と楽観的に考えていたのです。
韓国人オーナーの優しさ
「今日、自転車売りにいくのですか?いくらで売りたいの?」
翌日、ビュッフェの朝食を取り分けている時に韓国人オーナーのキレンさんが自転車について質問してきました。
※オーナーの旦那さんは日本人でキレンさんは日本語が話せる。旦那さんは数年前に他界されている。
「希望は2万円で売りたいですね。今日自転車屋に持っていくのでそれで交渉します。」
中古だしボロチャリだしすぐ壊れる我が相棒。27,000円で購入したのに2万円で売るというのは「ちと、高いかも」と思っていましたが、こういうのは交渉事なのでその値段で最初はスタートしたかったのです。(修理に+3万円掛かっているし)
2万円と答えた僕に、キレンさんはこう言ってくれました。
「もし自転車屋に行って売れそうになったら、その前に私に連絡してくれない?」
内心、予想外に(FUJI旅館として最悪買い取ってくれるのかな?)と思いつつも心意が読み取れず「買い取ってもらえるのですか?」とは聞かずに一応「はい」と返事をしておきました。
というのも、チャリンコ屋であれば交渉事になるので金額は大胆に行けるのですが「お世話になっている人」なので商売心というのがこちらも出しづらいという気持ちもあったし、自転車が中古であるというのも気が引けてしまっていたのです。
とりあえず、朝食を取って席でご飯を食べていると10分後くらいにキレンさんが来て、こう提案してくれたのです。
「やっぱりその自転車私に売ってくれない?2万円で買い取りますよ。」
「え、本当ですか?僕としては嬉しい限りなのですが…本当ですか?いいんですか?」
若干期待していたわりに予想外の展開に戸惑いつつ、本当にいいのか尋ねるとキレンさんは「もちろん」と言ってすぐにお金を持ってきてくれました。
しかも、米ドルでのお買い上げです。ちなみに、キレンさんは一度も僕の自転車を確認していません。ただ、ペリトモレノまでチャリンコで行って帰ってきたということしか知りません。
なんとも、ありがたすぎます。
旅人に優しいFUJI旅館
実は最近日本からエルカラファテに移住してきた日本人カップルがいて、その方たちの移動手段として自転車を購入したようです。
前日にそのカップルとは僕も話をしていて、移動手段が歩きしかない彼らは「僕の自転車を買おうかな?」と内心思っていたらしいのですが、流石に2万円では買えないから「いくらで交渉しようかな?」と軽く思っていたよう。
それを知ったキレンさんが、FUJI旅館として僕の自転車を買い、日本人カップルが移動手段をゲットするまで無料で貸し出すことを決めたのです。※後でカップルから聞いた話と憶測ですが。
どういうことかと言うと、「僕とそのカップルどっちも損をしないように」取り計らってくれたんですね。※カップルも元旅人で去年FUJI旅館に泊まってらしく仲良しらしい
おそらく、「2万円は高い」と思ったはずですが僕が長旅ということで大きなご厚意が合ったかと思います。そして、僕はそのご厚意にそのまま甘えることにしました。
本当にありがたい限りです。
おそらく、日本人の旦那さんが生きている時にも旅人に優しい場所だったのかなと感じました。
今は日本人旅行者がほとんどいなくなっているようで、僕が行った時も韓国人しか泊まっていませんでした。でも、もっと日本人にも泊まってほしいようなので、もしカラファテに行く機会があれば優しいFUJI旅館おすすめです。
僕がFUJI旅館を去る時にキレンさんはわざわざ部屋まで来て「久しぶりに日本人が来てくれて嬉しかったです。ありがとう。」と言ってくれました。
こちらこそ、本当にありがとうございますです。
優しい青年とサイドバッグ
あとはサイドバッグをどうするかなのですが、めぼしいチャリンコ屋に持っていっても「買い取りなんてしてねぇよ」と鼻で笑われてしまいました。
(モノが入手しにくいからどこでも買い取ってくれる)という甘い考えは簡単に打ち砕かれてしまったのです。
とりあえず、iOverlanderでチャリンコ屋を探していると「bicicleteriaequel」という自転車修理屋が見つかりました。しかも、インスタもしているではありませんか。
僕は不躾ながらいきなり「サイドバックを購入してくれないか?」とGoogle翻訳を使ってスペイン語でDMを送りました。(時間的に早く売らないといけなかったので)
メッセージの感じとしてはこんなこんな感じでしょう。
僕👨「オッス。まだ一ヶ月しか使ってない超完璧最高防水のサイドバックがあるんだけど買ってくれねぇか!!?自転車旅しててこの街で終了予定なんだ。」
相手🤷♂️「うーん、よく分からんけどさ。写真送ってくれよ。あと、俺今日はカラファテいないから、対応できるのは明日以降だな。」
僕👨「あ、すまん写真すぐ送るぜ!!」(写真も送らずにいきなり買ってくれとはなんと不躾な…そして、購入してくれそうな雰囲気出しているありがたい。頼む)
相手🤷♂️「写真みたよ。僕で良ければ買ってあげるよ。いくらで売りたいんや?」
僕👨「1つ1万円で購入したから、6,000円で買ってほしい。できれば2つとも…」(ちょっとふっかけすぎたか?というか、買ってくれるなんて優しい。)
相手🤷♂️「よし、5,000円×2で買ってあげる。明日作業場まで来てくれ。」
とこんな感じで、あれよあれよと交渉がまとまりました。
爽やかなマルコス君
翌日、作業場まで行くと爽やかボーイのマルコス君という青年が迎えてっくれました。多分20代中盤くらいでしょうか。作業着が似合うイカした青年です。
正直当日まで、「本当に買ってくれるんか?」と疑っていたのも事実です。DMだけのやり取りでしたし。(ほら、ラテン系だしさ。昨日のことは忘れてたりしそうだしさ。ほらさ。)
そんな僕の疑いとは裏腹に、サイドバッグを見ながらマルコス君は「うーん、かっこいいね。」「おー、ここがナイスだ」としきりにサイドバッグを褒めてくれるのです。僕の傷だらけのサイドバッグをです。
※ちなみにマルコス君は英語しゃべれました。スペイン語でやり取りする必要なかった。
内心実物を見たあと値段交渉が入るかなと覚悟していたけど、確認が終わったマルコス君はニコニコしながらDM通りの現金を渡してくれました。
これも、なんというか彼なりの「旅人に対する厚意」みたいなのをすごく感じてありがたい限りでした。
話をしていると日本人でここを訪れたのは僕が二人目ということ。
一人目は「Yoheiさん」という7年近く自転車旅をしている人みたいで、事情は分かりませんがマルコス君いわくカラファテで旅を終えてその時持っていたアイテムを全て「無償でくれた」らしいです。
(すごい日本人がいるもんだ。)と、思いつつ買ってもらってるだけの自分が少し恥ずかしくもなりました。もちろん、マルコス君に他意はないのですが。
なんだか顔も知らないYoheiさんの優しさが僕への優しさに繋がっているという旅の機微を感じるとともに、「僕もなにかしないと」という思いに駆られ、持っていたテントをマルコス君にあげました。
ま、スーパーの安いテントだしもう必要のないものなので「自分を削って」という訳でないのがカッコ悪いのですが….
それでもマルコス君は結構喜んでくれていたので良しとしましょう。
ありがとうマルコス君!!
サンティアゴで自転車を購入という入口から、一応自転車とサイドバッグを売却するという「入口から出口」までいけたのでこれにてチャリンコ旅終了です。
いろいろな人にお世話になり非常によい旅でした。本当にありがとうございます。
日記的な内容はこの記事で終了にして、せっかくなんで最後にもう1記事くらい旅のまとめ的な内容を書いて終わりにしようと思います。
(いつになるかはわからないけども…)
とりあえず、なかなか最高な思い出になった自転車旅に感謝感謝で締めくくろうと思います。チャオチャオ。