国民年金基金とは自営業者の2階建て年金|FPがわかりやすく解説
会社員および公務員は2階建て年金、自営業者・フリーランスは基本的に1階建て年金です。
会社員・公務員は2階建て年金
国民年金+厚生年金
自営業者・フリーランスは基本的に国民年金のみの1階建て年金
なので自営業の方は老後の生活資金について不安に思われているかもしれません。
国民年金基金は国が制度化した自営業者・フリーランスの方が任意で加入できる2階建て年金です。厚生年金がある会社員・公務員との年金格差を解消するために平成3年に創設し施行されました。そして国民年金基金は国が設置する法人、国民年金基金連合会が運営をおこなっています。
今回は自営業者・フリーランスの年金給付を手厚くする、国民年金基金をファイナンシャルプランナーが解説します。
年金制度の基本をおさらい
会社員、公務員は2階建て年金
65歳から受給できる老齢年金額は15万5千円(老齢基礎年金+老齢厚生年金)
自営業者は国民年金のみの1階建て年金
65歳から受給できる老齢年金額は6万5千円(老齢基礎年金のみ)
会社員と自営業者との間では受給できる年金額には2倍以上もの差があることがわかります。
では、会社員・公務員と自営業者との年金格差を解消するための国民年金基金は、どのような人が加入できるのかを見ていきましょう。
国民年金基金に加入できる人
国民年金基金は20歳以上60歳未満の自営業者・フリーランスの方(国民年金の第1号被保険者)が加入できます。
国民年金基金に加入できない人
会社員や公務員など厚生年金に加入している人
厚生年金に加入している人の被扶養配偶者
次に、国民年金基金が用意しているプランについて詳しく解説します。
国民年金基金のしくみ
任意で加入できる自営業者のための2階建て年金、国民年金基金は7種類の給付タイプが用意されています。
A型 終身年金 65歳支給開始 15年間保証付
B型 終身年金 65歳支給開始 保証期間なし
Ⅰ型 確定年金 65~80歳支給 15年間保証付
Ⅱ型 確定年金 65~75歳支給 10年間保証付
Ⅲ型 確定年金 60~65歳支給 15年間保証付
Ⅳ型 確定年金 60~70歳支給 10年間保証付
Ⅴ型 確定年金 60~65歳支給 5年間保証付
1口目は終身年金のA型かB型のいずれかから選ぶこととなっています。
そして2口目以降は全7種類の中から自由に選べます。
ただし、
50歳以上の人は2口目以降 A型、B型、Ⅰ型、Ⅱ型、Ⅲ型の5種類から、
60歳以上の人は2口目以降 A型、B型、Ⅰ型の3種類から、それぞれ選択します。
そして毎月の掛金が68,000円以内であれば何口でも増やすことができます。
また、申し出をすることで掛金を途中で増口や減口、あるいは一時停止することも可能です。
遺族一時金
終身年金A型と確定年金Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴ型には保証期間があり、万が一加入者が死亡した場合に遺族に一時金が給付されます。
遺族一時金の給付の要件
年金受給前に加入員が死亡した場合
保証期間中に受給者が死亡した場合
ここからは、国民年金基金の具体的な掛金と給付額について見ていきます。
国民年金基金の掛金と給付額
男性で加入時の年齢が30歳の方を想定して、掛金と給付額の試算を見てみましょう。
1口目 終身年金A型
2口目 確定年金Ⅰ型
で加入した場合
1口目 終身年金A型 掛金10,740円
年金月額 20,000円(65歳~終身)
2口目 確定年金Ⅰ型 掛金3,790円
年金月額 10,000円(65歳~80歳)
毎月の掛金合計 14,530円(60歳まで納付)
65歳から80歳までの間に受け取れる国民年金基金からの年金月額 30,000円
1階部分の国民年金が給付月額65,000円、2階部分の国民年金基金が給付月額30,000円なので、合計95,000円の年金が65~80歳の間、給付されます。
81歳からは1階部分の国民年金給付月額65,000円と、国民年金基金のA型終身20,000円で、合計85,000円の給付となります。
加入時の年齢やタイプの選び方によって掛金額や給付額は異なります。いろいろな条件で試算したい方は国民年金基金ホームページでシミュレーションするか、または詳しい資料を無料で送ってもらえます。
国民年金基金は掛金が全額所得控除になる
国民年金基金で払い込んだ掛金は、全額が社会保険料控除の対象になるため、節税効果があります。所得税や住民税が軽減されます。
例
課税所得が400万円で、国民年金基金の年間掛金合計が170,000円の場合
所得税・住民税が51,000円軽減
年間実質掛金は119,000円
国民年金基金の加入申込方法
国民年金基金の加入申込は簡単です。
① 国民年金基金ホームページより資料請求する
② 加入申出書に住所、氏名、年金番号、掛金払込金融機関、希望する年金タイプ、口数を記入
③ 封筒に入れ居住する地域の国民年金基金支部に郵送する
④ 加入員証が送られてくる
⑤ 初回の掛金が引き落とされる
次に、国民年金基金への加入を申し込む前におさえておきたい留意点がありますので、お読みいただければと思います。
国民年金基金の加入を検討するにあたっての留意点
国民年金基金の加入は任意ですが、一度加入すると途中で解約や脱退はできないこととなっています。また、自営業者の2階建て年金には国民年金基金のほかに付加年金というものがありますが、これらはいずれか一方しか加入できません。そのほか、国民年金基金は国民年金と異なり物価スライドがないため、物価が上昇しても給付される年金額は改定されません。
これらの留意点を考慮しながら加入を検討しましょう。
まとめ:国民年金基金で自営業者も年金を2階建てにできる
今回は自営業者・フリーランスのための2階建て年金、国民年金基金を解説しました。国民年金基金は、厚生年金がある会社員や公務員との年金格差を解消するために国が制度化したものです。
1口目は終身年金、2口目以降は終身型と確定型の7タイプから自由に選択できます。
商売の業績変動などさまざまな理由で、途中で掛金の払い込み額を減らしたい、または増額したい場合も自由に減口・増口が可能です。
掛金が全額社会保険料控除になり、節税効果があるのもうれしい点ですね。
ぜひ家族で話し合いの機会を設け、検討してみてはいかがでしょうか。
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