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初恋

どうしようもないこの僕の日々を彩ったのは
あなたのその笑顔だった
食い違いもタイミングの良さも
過ごした時間もすべて運命なんて表現しては
あてもなく未来にすがりついてきた
ただただ美しくて愛おしかった
儚かった

君の線をなぞって、存在を確かめあった
まるで空気の抜けた生クリームのように
直ぐに消える実感の記憶が薄らと残る
ぼくらの愛はそこになかった
何も恐れを知らなかった、君は笑うかな

貰ったものは全て宝物とはまだ言いたくない
これが未練というなら悪くは無い
全てが裏目に出た日々だったことは認めたくない
勘違いだったらよかった
どうか迸る孤独に懐かしむ君でいてほしい

君がもう少し情けない人だったら
僕がいないとだめだったら
そんなことを考えては
耽る夜の感傷の波に飲まれそうになる
防波堤になりうる君のその姿が
薄らいでく今日この頃君を想っては
情けなく無情な秋風に体の芯を冷まされた
諦めたあとに啜る珈琲はなぜだか少し甘かった

「ゆらゆら揺れる世界は美しい
だめだったを繰り返し廻っている
とっくに僕にとってきみは奇跡なんだ」
そう思うと共に君の情けなさが思い出されては
心を蝕んでいく感覚に襲われて
やけに冷たい指先を実感した。

ぼくの初恋はきらきら虚しく終わる
終わるから美しい
君の身体も言葉も僕の包帯だったのかもしれない
随分寝過ごしたようだから行先を変えることにした
タイミング次第では僕らはまだ隣にいたのかも
そんなことはもう考えない

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