角由紀子の「ビゲローコンテストチャレンジ」その4
アメリカの大富豪ロバート・ビゲローが主催する死後の世界についての論文コンテストに私、角由紀子は経営戦略コンサルタントで地下クイズ王の鈴木貴博さんと組んでチャレンジしました。
全部で5章からなる死後の世界の存在証明論文。第四章はいよいよ「霊魂の世界の存在を検証できる科学実験についての提案」です。死後の世界は存在するのか?ぜひご確認ください。
********************************
4 死後の世界が存在することを証明する宇宙実験
これまで述べたように現代物理学と心霊研究のそれぞれの成果は、2021年時点できわめて近接してきている。しかし心霊研究は現実的に大きな問題に突き当たっている。
それは多数派の科学者が死後の世界の研究を拒絶していることだ。そのため死後の世界の研究は超心理学の範囲を超えられない、いいかえると物理学や生物学の重要ジャンルとして研究されてはいない。これはもったいないことだ。そこでここからは、この問題を解決できる具体的な実験について提案したい。
実験の前提となるコンセプトはこのようなものだ。われわれはSF映画や小説を通じて当然のように「地球から遠く離れた宇宙空間でも生命の繁殖が可能だ」という思い込みを持っている。しかしそれは実は誰にも検証されていない。
そしてこれまで1~3章で論じてきた内容を前提に考察すると、宇宙空間では生命は繁殖できない可能性の方が高いことをこの章で示したい。
これまで国際宇宙ステーションでメダカが誕生したことはある。しかし宇宙ステーションの軌道は地球重力にとらわれた地球表面のごく近いところにある。もっと地球の重力圏から離れた場所では話が違ってくるのではないかという問題提起である。
図は日本のSFアニメ―ションによく登場する未来のスペースコロニーである。
日本で最も有名なアニメーション作品の物語設定として、今から100年後の未来においては太陽系内の宇宙空間にこのような巨大な宇宙コロニーが数多く建設されている。
コロニーはゆっくり回転することにより、円筒形の壁面に地球上と同じ1Gの重力を生んでいる。コロニー内には大気と同じ組成、気圧の空気があり、建物だけでなく大地や川や森が建設されている。100年後の人類は宇宙に進出し、このようなコロニーひとつで1000万人の人々が暮らし、何世代もの新しい生命が誕生している。
このような宇宙コロニーの建設は可能である。われわれもSF小説や映画を通じて、宇宙空間で暮らすことは当然可能だと考えている。
しかしもし死後の世界、すなわち霊魂の世界が存在するとしたら、本当にスペースコロニーでの生殖は可能なのだろうか?
ここで、これまでの章で議論してきた一連の仮定をもう一度整理してみよう。
1 生命は肉体と霊魂がセットになっている
2 霊魂は生きている間は肉体と強く結合している。われわれの肉体が高速で移動しても、霊魂は離れずについてくることができるくらいその結合は強い。
3 しかし霊魂は死ぬと肉体から離れる。
4 霊魂はわれわれの意識を保持したまま死後も生存している。霊魂は新しい生命の誕生時にそこに宿る性質がある。そして転生すると前世の記憶が新しい肉体に宿る
5 この霊魂の世界は余剰次元にあって、霊魂はそこに存在する未知のダークマター粒子から構成されているようだ
6 霊魂を構成する余剰次元の未知のダークマター粒子は重力に囚われるという物理的な性質を持つ。
7 したがって霊魂は太陽系内に広く均質に分布しているのではなく、地球や太陽など巨大天体の近くに集積しているはずだ
われわれ心霊研究者はこれら1~4の仮定はかなりの部分、真実だと考えている。一方で、超ひも理論の最新物理学の知識からは5~7の仮定もかなりの部分真実だと考える。
これら仮定を前提とすると、地球と地球からはるか遠くの宇宙空間に地球環境に似せて作ったスペースコロニーとでは生命の誕生にとっての環境が異なることがわかる。地球近辺には霊魂が集積しているが、地球から遠く離れた宇宙空間のスペースコロニーでは霊魂は希薄なのだ。
地球を遠く離れた何もない真空の宇宙空間では、その近辺の余剰次元空間にも何も物質が存在しない可能性の方が高い。太陽系形成時に太陽や惑星の巨大な重力により余剰次元でもその近辺の粒子はスイープされて、天体の重力に囚われてしまったからだ。
余剰次元に満ちている霊魂が生命誕生の条件で、その霊魂は地球や太陽などの重力圏に球状にとらわれていると仮定すれば、太陽系の主要天体から遠く離れた宇宙空間では仮に受精が行われたとしても周囲に霊魂がないことから生命は誕生できない。
だとしたら宇宙移民は可能でも、移民の二世世代の誕生は不可能である。なにしろ宇宙コロニーが浮かぶ惑星から遠く離れた宇宙空間近辺の余剰次元には、霊魂が分布していないからだ。
これは霊魂を信じない物質主義者の科学者には予測できない現象だ。
それを実証する実験を提案する。地球から遠く離れた宇宙空間に実験装置を打ち上げてそこで生命の繁殖実験を行うことだ。
それは無重力ではなく図のような遠心力によって生じた地上と同じ1Gの重力下の実験装置で、地表と同じ空気組成と圧力、同じ温度と同じ光の量に調整した実験環境である。有害な太陽光の影響を受けないように、飼育ケージは宇宙線を遮断する構造になっている。そのようなケージの中ではすべての条件は地球と同じであるにもかかわらず、その周囲の余剰次元には霊魂が希薄であることになる。
物質主義者の科学前提では、生命はこのケージと地球上の環境とを区別することができない。生命が物質からしかできていないのであれば、このケージの中でも新しい生命は誕生する。
しかしわれわれ心霊研究家は、霊魂が周囲の空間になければ生命が誕生できないと考える。われわれの考えにしたがえば、何もない宇宙空間に置かれたケージ内では新しい生命は誕生しない。
そして宇宙実験によりこのことが実証されれば、それは物質主義者にはまったく説明がつかない科学現象だということになる。
まさにこの実験は、ピサの斜塔からガリレオが落とした2つの球体のように、科学者にコペルニクス的な思考転換を余儀なくさせる。
この実験対象は当然ながら人間でなくても構わない。前述したように死者の霊魂は昆虫の霊魂と相互作用をしている可能性がある。細菌や微生物についてはわからないが、少なくとも昆虫よりも大きな生物については人間と同じく霊魂が生命の誕生に対して作用している可能性がある。
つまり宇宙空間で昆虫の繁殖実験を行うことが一番コストのかからない簡単な実験だということだ。図4-3のような複雑な実験装置を作る前に、簡易実験としては繁殖力のある昆虫を地球の気温に設定した箱に閉じ込めて、遠い宇宙に放り投げて繁殖が続くかどうかを観察するのが一番早い。
より人間に近い存在と環境でその実験結果を多くの科学者に示すのであれば、医学の研究に使われるマウスの繁殖実験の方がよいかもしれない。これが図4-3の実験装置だ。
昆虫やマウスを自動育成するロボット飼育装置を造り、地球から遠く離れた何もない宇宙空間と、比較対象として国際宇宙ステーション軌道上の2か所で生物を育てる。その2つの飼育ケージのうち地球から遠く離れたケージでは生物が世代を経ず絶滅してしまうことが実証されれば、それは霊界が地球引力圏の近くにだけ存在する明白な証拠となる。
細かいことであるが、実験用のケージに遠心力を使って1Gの重力を発生させることにはふたつの大きな意味がある。ひとつは1Gの重力下での実験であれば、実験対象のマウスないしは昆虫は、それが宇宙空間なのか地上なのかを区別することができない。よって無重力空間のストレスが実験に影響を及ぼしたという反論をおさえることができる。
そしてもうひとつ重要なのは、仮にマウスないしは昆虫が死んで肉体と霊魂のつながりが切れてしまったとしたら、霊魂は遠心力で回っているケージから宇宙空間へと放り出されてしまうという点だ。なぜなら霊魂はケージの壁と物理的な相互作用できないのだ。つまり遠心力で回っているケージの中の霊魂は世代を経るにしたがってどんどん密度が薄くなる。もし霊魂が地球重力圏の狭い宇宙空間のみに存在するのであれば、この実験装置は早い段階で実験成果を上げることが期待できる。
もうひとつこの実験結果について指摘しておきたいことがある。実験がうまくいって、地球から一定の距離を離れた宇宙空間では新しい世代の生物が誕生せず、ケージの中は生命が死に絶えた世界になるとしよう。
その場合に、ひょっとするとケージの中の死体が腐敗せずにミイラ化する現象が起きるかもしれない。その場合は、われわれ哺乳類や昆虫だけではなく、腐敗を引き起こす細菌についても霊魂が細菌の肉体とペアになっていることを意味することになる。
そうなったときに、もしそのケージを回収して地球重力圏に戻したらどうなるのかを論理考察するのは面白い。地球重力圏に戻ったところで細菌はふたたび活動を始め、死体の腐敗が進むかもしれない。昆虫の卵も仮死状態から復活し孵化する可能性がある。
そしてそれは生命が太陽系外の宇宙で誕生したというパンスペルミア説の裏付けになるかもしれない。
かつて生命は他の恒星系に誕生し、その恒星系からはじき出された隕石に付着していた細菌が太陽系に到達して生命の源になったという説がパンスペルミア説だ。
細菌が宇宙空間を旅する間は冬眠状態で活動を停止し、他の恒星系に到達してその星の霊魂と出会い、それで初めて活動を再開するとすれば、それはさらに大きな宇宙の構造を示唆する証拠ではないだろうか。実際、ビッグバンで2つのブレーンが誕生したという考えに基づけば、他の恒星系でも太陽系同様に重力に囚われた霊魂が存在している可能性のほうが高いのだから。
これは実は現代科学の技術と数千万ドルの予算があれば実証できる科学実験である。そしてもしそれが実証されれば、科学者は霊界と余剰次元の存在可能性を無視できなくなる。言い換えれば霊界研究は超ひも理論やビッグバン宇宙論同様に有名大学の有力物理学者の間での重要研究テーマに格上げされることになる。
つまりここで提案している一連のステップは、死後の世界の研究を、メジャー研究領域へと引き上げ、同時に科学全体を一段階興味深い領域に進めるための提案なのである。
この章の最後に、この宇宙実験がうまくいかないリスクの可能性について整理をしておきたい。この実験が仮に失敗するとしたら、ひとつの結論として残念ながら死後の霊魂の世界はこの宇宙には存在していないのかもしれない。
しかし、仮に余剰次元空間に霊魂があり、その霊魂が生命の誕生に不可欠だったとしても実験が失敗するケースも論理的にはありうる。
たとえば宇宙空間にはわれわれの想定以上に薄く広く、霊魂が広がっている場合だ。銀河のような宇宙空間には主に水素で構成される星間ガスが広がっている。太陽系にそのような星間ガスが見られないのは、太陽系形成時に地球や火星、木星などの惑星が軌道近辺の星間ガスを巨大重力でスイープしながら吸い込んでいったからだ。
霊魂は星間ガスと同じく、惑星の巨大重力でスイープされるはずだが、霊魂の粒子的な性質によっては、スイープされきれずに真空ではなく宇宙空間にまばらに霊魂を構成する粒子の残骸が薄く広く分布している可能性はないとはいえない。
そしてもしそのような星間霊魂が、数は少なくても貪欲に生命にくっつこうとする性質を持っていたとしたら?宇宙に放出した飼育ケージの中での生命の誕生確率は多少下がることが観測されても、われわれが何もないと考える宇宙空間は、意外と生命をしぶとく誕生させることができる空間なのかもしれない。
とはいえ太陽系の果て、ヘリオスフィアの境界線を出ればさすがに霊魂は希薄となり生命は誕生できないだろう。それを検証するためには実験装置をあらかじめ火星、木星、土星でスイングバイさせながらボイジャー宇宙船のように猛スピードで太陽系を離れるようにち密に設計しなければならないだろう。
最初の実験としてはそこまでコストをかける必要はないように考える。まずはこれらのリスクが存在することを認識したうえで、地球と火星の間、比較的何もなさそうな宇宙空間に、実験ケージを射出することから実験を始めるというのが、われわれからの提案だ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?