君たちはどう生きるか 宣伝をしない手法は本当に成功だったのか?
スタジオジブリ最新作 宮崎駿監督10年ぶりの監督作品「君たちはどう生きるか」
「宣伝をしないのが宣伝」「SLUMDUNKで成功した前例がある」と聞いて私はそれちょっと違うんじゃないのと思っていました。 普段からTwitterをやっているからか、SLUMDUNKはむしろ公開まで煽りに煽って期待値を高められていた印象を受けました。 ひょっとしたらSNSで広告費をかけずという意味だったのかもしれませんが、少なくとも声優陣発表で炎上していたりと「映画が始まるんだ」という事は多くの人が知っていたのではないでしょうか。
それに対し、「君たちはどう生きるか」は公開数日前までその存在を知りませんでした。 なので「SLUMDUNKの「宣伝をしない」を何か勘違いしていないか?」と思っていたのです。 前々日くらいからTwitterでも鳥のイラストが出回りましたが、ジブリ=夏休みにファミリーが見に行くような感覚があったので、戦略としてはスベってるんじゃないかな?と思っていました。
結果はどうだったのか?
4日目で興収21億4000万円という数字が出ました。 ニュースやツィートでは、過去の千と千尋の神隠し等と比べて「成功だ!」「広告をしない広告という戦略が上手く機能した」等という論調ですが、果たしてそうなのでしょうか?
コロナ禍以降、最近の映画って結構興収が大きい印象があったのでこの数字は果たして成功なのでしょうか?
最近の映画の興収を調べてみた所、
鬼滅の刃 無限列車編 公開3日目 46億2311万7450
呪術廻戦0 公開3日目 26億9412万8150
コナン 公開3日目 31.4億
SLUM DUNK 公開2日目 12.9億円
スーパーマリオ 公開4日目 21億8249万
となっていました。 同じ時期に公開されている「スーパーマリオ」とほぼ同じでした。
これらと比較すると、ジブリ最新作・宮崎駿が10年ぶりにメガホンを持つ作品としては「普通」といえるのでは無いでしょうか。 もちろん比較対象は大ヒットと呼ばれる映画ばかりで大ヒット的数字ではあるので、「宣伝しなかったのに”普通に”客が入ったなら成功じゃないか」ともちろん言えますが、「広告しなかった事でそれがプラスに働いた」「してやったり」「高度な広告戦略」とは言えないのでは?というのが私は引っかかっているのです。
宮崎駿10年ぶり新作というだけで見込める興収に、何かしらの「戦略的宣伝」が加わればもっと数字が跳ねないといけないのではないでしょうか。 普通に宣伝してもこの数字は出たのではないでしょうか。
内容的に、この手法が別の意味で正解とは言えるのだろう
まだ観に行っていませんが、ストーリーが難解でアート的なアプローチの作品のようです。 だから、おそらく従来のようなファミリー向けの宣伝をしづらく、強引に従来と同じような宣伝をすると観た人から”批判が強まる”と考えて「あえて宣伝をしない」というアプローチだったのではないでしょうか?
映画って商品を手に取る前にお金を払うので「思ってたんと違った」と感じると騙された気分になってその発散としてネガティブな事を言いたくなるじゃないですか。
だから、その「思ってたんと」の部分を口コミ(観た人)に任せて自分らからは提示したくなかった。
いや、提示出来なかったのだというのが真相ではないでしょうか。
「面白いから見に来てね!」と言われて観に行ってつまらなかったら批判が出るけど、勝手に上映しているのを勝手に観に行ったのなら、批判しにくい。
なので宣伝手法に関しては「内容的に仕方なくそうなっただけ」で、決して「宣伝しない事が逆に宣伝になった」わけではないと思うのです。
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