コーヒー

夜にコーヒーを飲んだ。冷蔵庫からペットボトル入りのコーヒーを取りだし、900mlのうち100mlくらいを紺色のコップに注いで、あとは水で薄めた。


椅子に腰を掛ける。苦味につられて、僕はコーヒーを注ぐ彼のことを思い出す。豆をフィルターに入れて、お湯を注ぐその後ろ姿。白いカップに注がれたコーヒー。やや薄めで、カップが手にほの熱い。


コーヒー、雨、とりとめもない話題、そして秋。季節のゼンマイを君は回し続ける。それが生きることだと言うかのように。

いつか会わなくなっても、ゼンマイは回る。僕も同じように回し続けよう。それ以上でも以下でもない。

そしてまたコーヒーをいれて、その苦みに身を浸すと思う。

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