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マシンライブのミキサーについて 2023 伝説のKORG ZEROシリーズ、ROLAND MX-1とAIRALINKなど

以前、このようなツイートをしたらプチバスっておりました。

https://twitter.com/shi_gara_mi/status/1381753523281399814?s=21

KORG Zeroシリーズはマシンライブ用ミキサーとして、いろいろな意味で伝説の機種です。後ほど後述します。

マシンライブにおけるミキサーは色々と深いものがあり、今まで使った機種のレビューや昨今思うところを記事にまとめてみました。


マシンライブにおけるミキサーとは

最近の状況(2023年)

マシンライブ用ミキサーについてはマシンライブの御大ryota氏も記事を書いておりますが、なかなか決定版がなくて難しいなと個人的には思っております。最近はモジュラーシンセだけでパフォーマンスを行う人も多く、MC-707やoctatrackのようなグルボで代用する人も多い気がしています。

そもそもマシンライブとは….ミキサーの種類とは

電子楽器をリアルタイムに演奏して、パフォーマンスをするライブのことです。DJミキサーもそうですが、通常のミキサーよりも、楽器のようにリアルタイムに演奏する機能が求められます。
ミキサーだとPA用や楽器用、DJ用ミキサーなど、いろいろな種類があります。最近はストリーミングやゲーム配信用ミキサーが人気で、各種発売されていますが、また全然違う機能が求められる気がします。ミキサーもどんどん細分化が進みつつあります。

マシンライブ用ミキサーに必要な機能

端的にまとめるとこういう機能が必要でしょうか。特に3番以降はマシンライブ向けミキサーに求められる機能で、特有の物でしょうか。

  1. 多数の機材をステレオLR(出口側)にまとめる。
    基本ライブ会場ではステレオLRで会場に渡すのが常識です。
    入力側(機材側)にもトレンドがあり、どの端子がついているかというのも重要です。
    最近だとモジュラーシンセの隆盛もあり、ミニプラグでも良いかもと思います。

  2. コンプやEQで音を整え、音の定位(ステレオの定位)を設定する。

  3. 各楽器の音をエフェクターで内蔵リアルタイムに加工する。

  4. 最終段(マスター)にもエフェクターを入れてリアルタイムに加工する。

  5. ミュートやスライダーで音を出し入れして、リアルタイムにパフォーマンスをする。

  6. ミキサー内蔵エフェクターと各種電子楽器とmidiやsyncで同期する。

  7. パフォーマンスで使いやすい可搬性や電源仕様。
    持ち運びがどうしても多くなるので、持ち運んでも故障しないというのも重要なのかもと思います、

  8. DAWにパラアウトで入出力可能。これは人によってはすごく重要かも

  9. 外部エフェクターも使えるSEND RETURNもあるとうれしい

マシンライブ用ミキサー各種について

伝説のKORG ZERO8 ZERO4

KORGから2007年ごろに出たミキサーです。

マシンライブに必要な機能を満載して、発売した機種として発売当時かなり話題になりました。
ZERO8が入力が多く、機材向け。ZERO4はDJミキサー風のスタイルのミキサーでした。
デザインもとてもかっこいいのですよね。

  • KAOSSPADでエフェクトをリアルタイムにかけられる

  • 各チャンネルに超強力なイコライザーがついている

  • DAWのコントロールサーフェースとしても使える

  • デジタル入出力が充実(当時はFirewireが主流でしたね)

機能を詰めすぎたようで…非常に故障しやすい涙 という悲劇の機種でした。ヤフオクとか出ている大半の機種が故障しているという噂もありました。
当方も非常に気になって購入しそうになっていましたが、結局買っていない機種です。

発売当時のレビュー記事を見ると確かに機能満載。デジタルで求められる機能を入れすぎてしまったのかもしれませんね….

最初のツイートに紹介したブログの修理記事です。中見ると部品がびっしり涙 特に電源周りのコンデンサの量がすごいですね。(表面実装部品が少ない…)

これだけ詰まっていると確かに故障しやすいのかもしれません。
なお、一時期他の楽器メーカーもDJミキサーを作っていたりしましたが、評判とかイマイチだったので色々難しいのかもしれません。

他にも故障について言及しているブログもありますね。
Korg ZERO4 のご紹介 - geek.conf.2 (hatenablog.com)

上記の修理ブログでも語られていますが、今の仕様で出しなおしてもいけそうな気もするのですが….
マシンライブ用のミキサーってなかなか決定版が出ていないのですよね。

Roland MX-1(過去所有)

RolandがAIRAシリーズの一環として出したマシンライブに特化したミキサーです。すでに手放してしまいましたが、このRoland MX-1、かなりいいです。

利点

  • AIRA LINKで多数のROLAND機材とケーブル一本でMIDIとデジタルオーディオ簡単接続

  • AIRA LINKで一か所は電源供給まで可能

  • エフェクターが楽しい

  • ステップシーケンスでエフェクターを時間軸でコントロール可能

  • DAWとの相性が良い

  • 性能のわりにかなり軽い

欠点

  • 各チャンネルつまみをちょっと簡略化しすぎている気配 確かEQとかレベルを一つのつまみで賄っていたような

  • アナログ入出力が微妙に少ない(モノラル x 4 ステレオ x1)
    (RCAのデジタル端子にエフェクターとかつければ拡張できますが…)

  • 個人的には設置しずらい大きさ TR-8系と同じ大きさのため、並べると場所を非常に取ります、その割には各チャンネルの操作性が…(スライダーはいいんですけどね) 軽いんですが、持ち運びはなかなかですね。

  • 端子接続が背面の奥まったところにあり接続がやりずらい(私はアナログのパッチベイ使っていました)

  • エフェクターのSEND RETURNが1系統しかなくてRCA端子 SP-404やKAOSSPADに接続するのには便利ですが…

  • ちょっと懐かしいRCAのデジタル入出力

不思議なのはこの機種についている、AIRA LINK端子。
AIRA LINKはものすごく便利で出力側のシンセも日々増えているのに、受け側の機種はこの機種とDJ-808くらいしかなかったかと。新機種出してほしいですね…もしかしたら開発がものすごく大変なのでしょうか。

Volca MIX(過去所有)

KORGからVOLCAシリーズの1機種として出ているミキサーです。

良いところ

  • 独特の迫力ある音が出る

  • 効きの異常に良いアイソレーター的なつまみ

  • これまた謎の迫力が出る内蔵ダイナミクスやステレオエキスパンダー

  • VOLCAの拡張電源付き

  • 端子が上面でコンパクト

悪いところ

  • 入出力が少ない(モノラル2  ステレオ1 合計3系統 これはちょっと少ないかも)

  • ここからVOLCAに電源を複数台取った時にノイズが出やすい(VOLCA 複数台つなげたときにグラウンドループしてしまう?)単体で使えばノイズは出なかったような

  • メイン出力がRCA

私は個人的に好きな機種なのですが、ノイズが出やすいというのと、入出力が少ないことであまり人気がない機種です。ただ、この機種はミキサーというよりもエフェクターとして、実は他では出ない物凄い音を持っている気がしており、将来大化けする可能性もあるのではないでしょうか。
純粋なマシンライブ用のミキサーとしてはちょっと癖がありますね。

TASCAM MM-1 (過去所有)番外編

※もはや検索してもなかなか出てこない….

1995年くらいに購入したミキサーで、結構流行っていたミキサーです。midiがついていて、コンピュミックスができて比較的安いのが売りだったような…
確か20inputくらいあったのですよね。MODEL12の先祖ですね。

当時もループ鳴らして、マシンライブっぽいことをしていた記憶があります、でもライブとかをやり始めたのは1999年ころからかな。この時代はROLANDやBOSSからも、パーソナルユースにも使える多チャンネルのアナログミキサーが出ていて、TASCAMのこのミキサーもその一環だったかもしれません。当時はどの機材つないでもヒスノイズとか大きかった気がしますが、最近はヒスノイズも少ない機材が多い気がします。
今使うとBOSSのアナログミキサーみたいにローファイな質感が出て楽しいかもしれません。

pioneer DJM600(過去所有) 番外編

純粋なマシンライブ目的ではないのですが、pioneer DJM600というPIONEER DJ機材の黎明期のミキサーに機材つないだり、CDJやターンテーブルにつないで遊んでいました。確か1996年とかそれくらいでしょうか。
当時はまだ分社化されていなくてpioneerだったのですね。

音楽の相方や友人たちと架空ラジオショーをやって遊んでいたのですねw
(スナックカーラジオショーというやつです)
今でもDATに当時の音が超高音質で残っていたはずです….

エフェクター内蔵でトークにディレイとかかけて、好きな曲かけて遊んでいました。DJミキサーはこういう遊びも簡単にできるのがいいですね。

1010music bluebox(未所有)

超小型軽量の、1010music社製のblueboxデジタルミキサーもかなり良いようです。タッチパネルで操作していきます。

doravideoさんが紹介記事を書いておられました!

最近、モジュラーシンセ版も出て話題になりました。モジュラーシンセ用のミキサーってなかなか難しいから、確かにこれは良いものですね….ただ、電源とかの仕様もなかなか特殊ですごいかもです。

デジタルミキサー各種

TASCAMのMODEL12やZOOMのLシリーズなどデジタルミキサー各種も結構良いらしいです。
値段が安くて非常に高性能、録音も可能でエフェクターも搭載されているので便利です。


なお、デジタルミキサー自体はHDRが普及し始めた1990年代後半から出始めました。当時のHDRも結構ミキサーが充実していて、このあたりの20年物のデジタルミキサーを使いたくなりますが、音瘦せとか結構酷いという話があります。今使うと大きくて重いかもしれないので、実戦で使うのは難しいかもしれませんね。ただ、このあたりの初期デジタルミキサーもいきなり再評価されてもおかしくないと思っております。ペケペケのクリアな音とか、わざとらしいリバーブとかクリアすぎるディレイとか….(ROLANDの初期VSシリーズの録音が良いとか言われているとか噂を聞いた気がしますが…)
二束三文で売られていることが多いので、遊びで使うのはいいかもしれませんね。ZIP やMD使ったMTRをあえてミキサーだけ使うとか….

アナログミキサー各種

SOUNDCRAFTやマッキー、ヤマハのアナログミキサー各種。
昔はみんな使っていましたが、最近はモジュラーシンセが増えたり、グルーブボックス本体の入出力を利用している人が多くあまり見かけなくなっている気がします。スタジオや箱にはよく置いてありますね。
最近、BOSSの昔のミキサー(BX-8など)が音の割れ方が良さげな感じ、ということでたまに話題になります。
Amazonだと配信用ミキサーに混ざってアジア各国製の格安のミキサーも売っており、サブミキサーとして使う人もたまに見かけます。ただ、マシンライブに特化したアナログミキサーというのは見かけません。

DJミキサー

最近あまり見かけませんが、DJミキサーをマシンライブ用ミキサーとして使う人もいました。前述のKORGのZERO4もDJミキサーよりのミキサーです。また、ROLANDもDJ用ミキサーを出していた時代がありました。

最近はデジタルDJコントローラーが主流になり、DJミキサーという機械そのものがだんだん減ってきている気がします。ターンテーブルとかを接続する必要があるので、あるにはあるんですが、コントローラーの中にターンテーブルを接続するphono端子が入っていたりとか。
最近はプロ向けの高級機種が主流なように思えます。
ハウス用のロータリーフェーダーとか良さそうなんですけどね。

ミキサー不要でグルーヴボックスや各種機材でまとめる

先日、マシンライブミキサーとしてのMC-707についての記事を書きました。

また、RYOTA御大もOCTATRACKでのミキシングについて言及しております。

機材が少ない場合は単体のミキサーを利用せず、MC-707やOCTATRACKといった多入力装備のグルボやそれ以外の機種でまとめてステレオアウトで渡すのも最近多いです。また、最近の機種は外部入力がついている機種も多く、単体のミキサーがなくてもなんとかなることも増えている気がします。
(ステレオインがついている機種だと2モノラルミキサーとしても使える機種もある)

また、SP404MK2などのサンプラーやルーパーはルーティングが非常に強化されているので、入出力は物足りなくても、最終ミキサー代わりに使えるポテンシャルがあります。

使っている人を見かけませんが、ROLANDのRC-505MK2もかなり色々できそうです。(よく見るとマイク2系統 ステレオ2系統も接続可能)

モジュラーシンセだとモジュラーシンセ内でミキシングしてグルボ等の外部機材に渡して、外部機材でミックスするだけで完結できます。
ただ、モジュラーシンセのミキシングは難しく、外部ミキサー使った方が音が良くなるということが多いみたいですね(後述)

モジュラーシンセのミキサー

モジュラーシンセの中でステレオLRでミックスして、直接箱のミキサーやPAに渡すのも一般的です。ただ、モジュラーシンセでマシンライブに求められるような高機能なミキシングを実現するのは結構コストがかかるので外部ミキサーにまかせてしまうのもありです。
(1台のミキサーだけでなくて、複数台のモジュールを組み合わせないとなかなかうまくいかないことも多い)

参考までに。。。またRYOTA御大の記事を出して恐縮ですが、非常によく書かれている記事です。

モジュラーシンセのはじめかた2022 – JunkYardMachineMusic (rudeloops.jp)

モジュラーシンセをやっていると、グルーブボックスや単体機材がいかにコスパが高い機種かというのがよくわかりますね…

ちなみにモジュラーシンセだとこのミキサーが機能のバランスが優れていてメインで愛用しています。ミュートがトグルスイッチで面白いですね。

※DIYで組み立てましたが、組み立て一部ミスって基盤を傷つけていそうですがちゃんと音が出ます。良かった…. EQもついていて便利ですね。まあ一部調子が悪いのですが….

オーディオインターフェース

DAWでライブされている方はオーディオインターフェースでそのまま箱にLRで渡している人もいるみたいです。当方はあまり詳しくないのですが、最近はPCなしで動いたり、高機能なオーディオインターフェースも多々出ているようですね。

理想のマシンライブミキサー(俺マシンライブミキサー)

マシンライブにおける様々なミキサーについて書いてきましたが、なかなか、これは!っていうのはない気がします。(私は当面MC-707かSP404MK2を使い分ける感じになりそうです)

個人的にはこんなミキサーがほしいかなと コストとかを無視した勝手な理想ですが….

MX-1の大型版と小型版があればいいかなと思います。
大型版はこんな感じで、小型版はもう少しスペック削って…

  • AIRALINK 4系統搭載 全部電源供給可能

  • ミニプラグによる、アナログモノ入力 4系統

  • フォーンによるアナログモノ入力 2系統 うち2個はマイクプリ搭載

  • フォーンによるステレオ入力2系統

  • ミニプラグによるステレオ入力 1系統

  • フォーンによるセンドリターン 1系統

  • ミュートスイッチ搭載

  • DIN MIDIおよびシンク端子搭載 USBとの同期設定の設定も可能(シンクコンバーターとしても利用可能)

  • 端子は上面に

  • 各チャンネルに簡易コンプと効きの良いEQ搭載

  • 内蔵エフェクターを4系統搭載 MX-1と同様の仕様でもう少しつまみ増やして操作しやすく

  • マスターエフェクター搭載

  • USB-B端子搭載

  • ADAT入出力端子付き
    (何気に汎用性が高くて拡張がしやすい)

と、ここまで書きましたが売れなさそうですね涙
ヤマハのミキサーにMX-1を混ぜたみたいになっています。

難しいのは、同じ機能の端子でも別の形があって、取捨選択が難しそうなところ(アナログ入力やMIDIなど)、デジタルオーディオの動作確認など…
機材を作るのって大変ですね…機材メーカーの方々に頭が上がりません。

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