侵略者 第四章
”BIG ECHO”
高田馬場に来たのは、何気に初めてだ。
いつも岩美と会うのは渋谷駅。高田馬場で会うことはない。
どうせ新宿に行くなら、新宿駅で待ち合わせにしても良かったのだが、誰かと一緒に歩いて現場まで向かうというロマンスを何とかこの手で実現させたかったという想いが俺の中にはあった。
なので、それをぶっつけ本番、しかも勢いでイブに行うなんて、俺もどうかしてるなと我に返って恥ずかしくもなった。
今、俺のジャケットの懐には、故郷の実家から持ってきた12発式の拳銃がある。久々に持ってみるとズシリと重く感じ、少々火薬臭い。
俺は、これからクーデターを起こす。
理由は単純明快。
パデ〇ン〇ンの設定変更への抗議のためだ!
異論は認めない。俺は絶対に正しい。
そうやって、自分自身をきちんと信じきれないとこんなクレイジーな出来事、正当化できないぜ。
俺だって少し不安さ!
でも、それをはるかに上回る自信がある。
今の俺はなぜだか自信に満ち溢れている。なんだか脂が乗っている気分だ。なんでもできそう、やり遂げられそうな、そんな気持ちが俺の心の中に不思議と強くあるんだな。
そして、それをいま形にしたくて、ウズウズしている。
もう止まらない。
訳も分からず、やけくそでもいいから、もう理由は正直なんでもいいんだよ。
進む理由を取ってつけただけ!
そう、
何かをやりたいという気持ちを、
俺は捨てきることができんのだ!!!!
そう思って、俺は駅のホームを降りた。
ここは、酒を帯びた学生たちが行き交う繁華街。
もう、既に岩美はいた。ずっと俺を待っていたみたいだ。
冬らしく白い帽子を頭に乗せていて、スカートの下の黒いストッキングがなんだか生々しかった。
「あぁ、すまんすまん。待たせちゃったかな?」
「ううん、そんなことなーい」
「突然だが、今日、夜まで俺と一緒にいれるか?」
「いや、そりゃ当然でしょ!」
「あははッ、そうだよな~。当然だよな~、カップルなら」
「それで、今からまずどこ行くの?」
そう言って、岩美は俺の腕を握った。
その手は凄く暖かかくて、なんだか気持ちが落ち着いた。
だから、ここで俺は決意を固めて、
勇気を出して、本題を話すこととした。
「まずは、映画だ!」
「ん?なに観るの?」
「そりゃぁ、このジャック様と一緒に観る映画なんて
アレしかないに決まっているだろぉ?」
「ん? アレとは?」
( ゚д゚)ハッ!
「タイタニックだよ…」
そう耳元で囁くと、岩美は思わず赤面した。
To Be Continued… →