オウルン戦記 新章

西暦1☓☓3年より15年前
マルティーダ王国内
コロシアムにて

きらめく照明の数々。
ざわめく観客、手を振る国王。
そして、国王の一人娘であるゴウ・ミツエは、周囲のざわめきにストレスを感じていた。

ミツエは人前で全く言葉を発せない。なぜならコロシアムでの殺し合いの風景が残酷すぎたあまり、そのショックで口をきけなくなったのだ。
しかし、その姿を国王は爆笑して、笑い飛ばした。

「そんなにミツエがおかしいのなら治療すればよいだろう!治療はいつだってできるのだから!」

ミツエはだんまりした。

しかし、その治療というのも国王の指令通り影で進行していた。
王女が言葉を発せるように雇われたのが、シマ・プロキシマ博士だ。後にペッグ教授に名を改名し、タカイド国に身を捧げることとなる、マッドサイエンティストだ。
そんな当時はプロキシマ博士と言われた男は、彼女にまずストレートに訪ねてみた。
「なぜ言葉を発せないのですか?」

すると出た答えはこうだ。


「私が女だから」


プロキシマ博士の出した答えはとてもシンプルだった。

じゃあ男になればいい、と。

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