オウルン戦記 新2話
「王女様、これから致す処置はかなりの痛みを伴います。それでもよいですか?」
ミツエは、うんと首を振った。
「貴方様はこれからゴウ・ミツオと改名し、新たな人生を歩むこととなります。それでもよいですか?」
「あのね、人と喋れるようになるならなんでもいいの」
ミツエは精一杯ながらも、静かに答えた。
「そうですか、ではミツオ様。手術を始めますぞ」
そうよ、私はミツオなの。
この瞬間だった。
ゴウ・ミツオがこの世に誕生したのはこの瞬間だった。
ここで男としてのアイデンティティを確保したゴウ・ミツオは、最終的に他国であるS国のスパイとして暗躍することとなる。
しかし、それはまだずっと先の話であるのだ。